「できる奥さま」といえば、食費を安く抑え、家事を完璧にこなすイメージがあります。
しかし共働きが増えている現代では、「安い生活費で家事も仕事もこなせる奥さま」になることは難しいのではないでしょうか。
奥さま向けの雑誌には、毎月のように
「時短メニュー」
「4人家族1日1,000円でできる」
という言葉が並び、食事作りが金銭的にも精神的にも「つらいもの」になっていることがわかります。
今回は、食費を節約しつつも従来のような「完全自炊が1番」や「休日にできる作り置き」という、結局は手間も時間もかかる節約術ではなく「今までは節約界ではタブーだったこと」も上手に取り入れた食費の節約術を紹介します。
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目次
手間と原価が高いおかずは「お総菜」もよろし
今まで「食費の節約」では「できあいのお総菜」は悪者として扱われていました。
「割高」、「不健康」というイメージが強いお総菜ですが、考え方によっては完全自炊よりもお得で健康的かもしれません。
例えば、夕飯にエビフライを作ろうと思えば、エビを買ってこなければなりません。
エビフライに使用するエビはある程度の大きさが必要になり1,000円以上することもよくあることです。
しかも、揚げ物をするときには油をたくさん使います。
つい「せっかく油を出したから」と考えてしまい、冷蔵庫の中に残っている人参や玉ねぎでかき揚げを作ります。
そして「夕飯はエビフライ」だったはずが、かき揚げやフライドポテトなどの揚げ物オンパレードです。
完全自炊にこだわったために手間も材料費もかかり、さらに食べ過ぎというおまけまでついてきます。
エビフライのような揚げ物は、お総菜の定番です。
スーパーではエビフライ1本が150円程度で販売されています。
たくさん入ったパックならば、より安い値段でしょう。
「スーパーのお総菜は節約の敵」というイメージがありますが、それは夕飯のすべてをスーパーのお総菜でまかなった場合です。
手間と原価が高いおかず1品をお総菜にして、その他のメニューを作れば時間もお金も上手に節約することができるのではないでしょうか。
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一汁三菜ではなく一汁一菜でよろし
お母さんが家族の健康を考えて「一汁三菜」にこだわる気持ちもわかります。
しかし、一汁三菜の呪縛に苦しめられているママや奥さまが多いことも確かです。
一汁三菜を毎日実践していれば、それなりに食費もかさみます。
台所を預かる人は「品数と食費のどちらを優先すればいいのか」のはざまで苦しみます。
そんな気持ちもお財布もラクにする考えが「一汁一菜」です。
一汁一菜とは、料理研究家の土井善晴氏が書いた本「一汁一菜でよいという提案」(グラフィック社)に登場する言葉です。
一汁一菜とは、言葉の通り「汁物とおかずとご飯がひとつずつあればいい」という意味になります。
1985年に厚生省は「1日30品目」を推奨しています。
さまざまな味で30品目を一汁三菜にして網羅しようと思えばつらくなりますが、一汁一菜で済むならば適当に詰めこめば30品目くらい突破できる気がします。
現に土井氏はみそ汁の中にさまざまな食材を入れて汁物をおかずレベルに仕上げています。
一汁一菜は、品数を減らして手間を省くという考えではありません。
品数は減っても一品の充実度をあげることで、
「手抜きしちゃった」
という罪悪感は湧きません。
品数にこだわる人は「品数が足りない=手抜きした」という罪悪感を払しょくするために不必要なおかずを買いたしてしまうことがあります。
「一汁一菜でよろし」という考えを持つだけでも、気持ちも食費も軽くなるのではないでしょうか。
完全手作りより半調理品がよろし
完全自炊にこだわる人が豚汁や野菜炒めを作るならば、サトイモやニンジン、キャベツをそれぞれ買わなければなりません。
食材の種類が増えればそれだけ買い物の量は増え、食費もかさみます。
しかし、半調理品を上手にとりいれれば食費をおさえて食材の種類を増やすことができます。
例えば、豚汁に使うサトイモは下ごしらえに手間がかかります。
そのため「サトイモはやめておこう」とあきらめてしまう人も多いようです。
しかし最近は下ごしらえまで終えたサトイモが販売されています。
もっと言えば、豚汁用にカットされたニンジンや大根も半調理品としてあります。
節約本には「野菜やお肉は週末にまとめて加工して小分け保存しましょう」と書いてありますが、週末は週末でやることがあり、大根やニンジンは冷蔵庫の底の方で漬物のようにしなびていくのが現実ではないでしょうか。
食品ロスは食費節約の最大の敵です。
半調理品の野菜は100円程度でさまざまな食材が少量ずつ詰め込まれています。
普段なら買う機会が少ない野菜も半調理品を使うことで食べる機会ができるかもしれません。
日にちと店を選べば外食もよろし
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外食が高いことは間違いありません。
家族で外食をすれば、店によっては1週間分の食費が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、外食には家庭だけでは補えないプラスの面もあります。
ある子どもが「カキフライが好きだ」と言ったところ、友人は果物の柿をフライにしたものだと思ったそうです。
友人は貝の牡蠣を知りませんでした。
しかしに子どもに生ガキはまだ早いし、カキフライを家で作るとバチバチと油がはねてしまうことも多く作らない家庭もあります。
また、親が苦手な食材は食卓に登場しない傾向もあるでしょう。
外食は、家庭では扱いにくい食材、作りにくいメニューを食べられる場所でもあります。
食費の節約を重視するあまり、食材やメニューがとぼしくなってしまっては寂しいです。
「食事を作りたくない」と思う日は、社会勉強代を支払うつもりで外食してみてもいいのではないでしょうか。
しかし、外食するときにはいくつかポイントがあります。
外食店では、店ごとに「お得な日」があります。
例えば、天丼のてんやは毎月18日は上天丼が190円引きで500円です。
エビ天が2本のほか野菜天がたくさんのった天丼が500円ならば、家で作るよりもお得です。
家の近くの外食店の「お得な日」を知っておくことは、外食を使いつつ節約する大切なポイントです。(執筆者:式部 順子)