働くようになると税金や社会保険などを納めなければなりません。
税金については「納税は国民の義務のひとつ」として学校で学びますが、社会保険については深く知らないまま大人になってしまうことも多いのではないでしょうか。
恥ずかしながら筆者はほとんど知識がないままに社会に出ました。
そのため、どうしてお給料から加入した記憶もない保険料が引かれているのか、「社保完備」という求人は何が違うのか、社会人になった当初はよくわかっていなかったのです。
社会に出る前に、学校では教えてもらえなかった社会保険について家庭で学んでおきましょう。
目次
社会保険とは
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まず保険とは、万が一の出来事に備えた相互扶助システムのことです。
加入者でお金を出し合って、トラブルに巻き込まれた人の命や健康、生活、財産などをフォローしあう仕組みです。
保険には、
・ 公的保険(社会保険):一定の要件を満たすと強制加入となる
があります。
社会保険はいくつかの種類があります。
社会保険とくくる際は、たいてい社会保険のうち健康保険と厚生年金を指しますが、求人で社保完備と表記されている場合は、前述の2種類のほか、労災保険、雇用保険が含まれることがほとんどです。
社会保険の種類と内容
社会保険には、主に次の3種類があります。
1. 健康保険
国民皆保険という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この言葉に入っている「保険」は、健康保険を指しています。
健康保険は公的医療保険ともいい、医療費の一部を加入者が支払った保険金で賄う仕組みのことです。
病院に支払っている治療費や薬代は実費の3割で、残りの7割は健康保険から支払ってもらっています。
この健康保険は働き方や会社の規模、年齢などによっても細かく分けられますが、どの健康保険に加入するかは自分では選択できません。
2. 厚生年金、国民年金
健康保険と同じく、国民年金には必ず加入しなければならないと法律で義務付けられています。
会社員や公務員は国民年金に支給金額が上乗せされる厚生年金に加入しています。
年金は何かと話題になるので、新社会人世代でも年金というフレーズすら知らないということはないでしょう。
年金は支払うべきなのか
年金というとどうしても、
というネガティブなイメージがついているのが現状です。
確かに日本の年金制度の未来はとても明るいとは言いづらいかもしれませんが、筆者としては納付するのが正解だと思っています。
年金とは、保険料を納める代わりに働けなくなったときに定期的にお金が給付される制度です。
この「働けなくなったとき」というのがミソで、高齢になったときだけでなく、障碍者になったとき、そして自分が死亡したときには子どもや配偶者に対して支払われます。
民間保険で同内容の保障の保険商品に入るより、国民年金を納める方がずっとお手頃です。
年金が支払えなくなったら
安くはない金額をコツコツ納め続けるのは負担になる時もありますが、状況によっては納付を免除、もしくは猶予されます。
と覚えておきましょう。
3. 労災保険、雇用保険
労災保険とは、通退勤中を含む勤務時間内のケガなどの治療費を補償するもの、雇用保険とは、失業した時に生活や次の就職のために給付されるものです。
雇用保険料は雇用主と雇用者で折半して納めますが、労災保険料は雇用主だけに納付義務があります。
また雇用保険の加入には細かい要件があり、その要件のひとつとして基本的に学生の間は雇用保険に加入できません。
学生でバイトをしている間は、たとえバイトをやめても雇用保険は給付されません。
社会保険は自分の助けになるお金
筆者は社会人になって数年は給与明細を見るたび、石川啄木の短歌「はたらけど はたらけど 猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」が脳裏によぎっていました。
ただでさえ薄給なのに、訳の分からない名目でたくさんお金を取られていると思っていたのです。
でも項目をひとつひとつ知ることで、安くはないけれど無駄ではないと思えるようになりました。
お子さんが給与明細を見てその天引き額にびっくりしたり悲しんだりする前に、社会保険の内容と意味をレクチャーしてみてはどうでしょうか。(執筆者:金子 ゆかり)