学習塾費は教育費の中でも大きな支出のひとつです。
平成30年度文部科学省の「子どもの学習費調査」によると、中3の5~8月より高校受験までの間に平均45~60万円ほど学習塾費として使っています。
公立中学校と私立中学校で差がありますが、1学年から3学年にかけて学習塾費は高くなる傾向にあります。


目次
学習塾との相性

年間10万円以上のお金がかかる学習塾は、子供の将来の選択肢を広げるために通わせたいと考える方が多いと思います。
しかし急いで学習塾に子供を通わせると、子供や親と学習塾の相性が悪く、退塾してしまうことが起こります。
子供が学習塾校をやめた経験のある保護者へ行ったアンケートによると、40%が学習塾側から親への報告頻度に不満があったということがわかりました。
子供の学力や成績の向上への不満よりも、多くの親が学習塾側からの報告頻度などが少なかったことに不満を持っています。
また、入塾前にしっかりと下調べをしないと、予想していた金額よりも価格が高くなったり、カリキュラムが違ったりすることもあります。
出典:「Comiru調べ」
せっかく年間10万円以上のお金をかけるのであれば、子供の成績が向上して勉強が楽しいと思ってもらえるようになってほしいと思うのが親心です。
子供の勉強に対する姿勢を把握する
学習塾選びの失敗しないポイントは、子供の勉強に対する姿勢を把握することです。
どの学習塾にも「得意な生徒」と「苦手な生徒」があります。
学習塾ごとにどのような生徒に入塾してもらいたいかのモデルを想定して、営業活動をしています。
もちろんビジネスですので、その学習塾に合わないと思われる生徒から入塾希望があるのであれば、入塾をすすめるでしょう。
そこで自分の子供の勉強に対する姿勢を把握して、いま時点に合った学習塾へ入塾させるのが良いと思います。
自分で勉強することに慣れていない子供
中学生になると、定期テストがあります。
通う中学校のレベルにもよりますが、基本的には自宅で復習をしないと良い点は取れないと思います。
小学校のテストは習った直後に理解度を確認するために行われるため、良い点を取りやすいテストです。
小学校のテストの点数が比較的に高得点でも、中学校のテストでつまずく子供が多いです。
理由としては、学校の授業以外で勉強をする習慣がないことが多いです。
そのような子供には、自分で勉強する習慣をつけることが必要です。
オススメは個別講義型の学習塾です。
明光義塾や、スクールIEがあります。


個別講義型は基本的に子供1人に対して、先生が1人つきます。
週1コマ90分が一般的なプランとなっており、1万~1万5,000円/月となります。
私が学生時代に講師として働いていたときは、中学1~2年生の子供が多く利用している印象でした。
講義内容は、通っている学校の定期テスト対策や苦手科目の克服など、生徒1人ごとに違う講義内容を用意していました。
指導内容について、相談して決めることができるのが、個別講義型の学習塾の強みになります。
週1の学習塾と学習塾の宿題があるため、学校の授業以外の勉強時間がおのずと増えていきます。
苦手教科がある子供
中学生になると、苦手な教科ができてしまう子供がいます。
多いのは、数学と英語です。
学校の先生の教え方の相性が悪いと、授業についていけなくなり、苦手意識を持ってしまいます。
苦手意識を持つと意識改善に時間がかかってしまうので、早い段階で克服させてあげるのが良いと思います。
苦手な教科をピンポイントで克服するには、映像学習型の学習塾がおすすめです。
東進衛星予備校の授業料は、1授業20コマ(1コマ90分)で7万円程です。
入学時には入学金と担当指導料の6万円程が別にかかります。
特徴としては、自分のペースで映像授業をすすめることができます。
例えば、中学1年生の夏休みの45日間に英語の文法の講義だけを受講して、英語への苦手意識を克服するなどの使い方ができます。
夏休みであれば、2~3日に1コマ受けると20コマの講義を終わらせることができます。
1コマ見終わるごとにwebの確認テストがあります。
確認テストに合格しないと次のコマに進めないようになっているので、映像を見ただけの状態にならないようになっています。
同じレベルでも複数の講師による授業があります。
いくつかの先生の授業を見てから、子供にあった講師で受講することができるのも映像授業の強みです。

受験の意識を高める
中学で部活に意欲的に取り組み、3年生の夏に引退する学生もいます。
部活を頑張ってきた子供が部活から受験勉強に切り替えるには、集団講義型の予備校がおすすめです。
河合塾や栄光ゼミナールが有名です。


授業形態は学校の授業のような講義型が一般的です。
3年生の夏期講習から始まり、週に2~3日のペースで講義があります。
講義のレベルは志望校や現時点での学力によって、決めることができます。
学校や部活以外の友達ができ、一緒に受験勉強を頑張っていこうとやる気が上がります。
大学生のバイトが講師ではなく、高校受験のために必要な勉強内容に特化した授業を得意とする講師が講義をしてくれます。
受験までの時間が限られており、効率的に受験に必要な知識を身につけるには良い環境となるでしょう。
授業料は、ひと月に1教科で7,000~1万円ほどで、8月から2月までの7か月間、5教科(国語、数学、英語、社会、理科)で約25万~35万円と高額になります。
中学入学から3年生の夏まで学習塾に通わずに、最後の半年程度だけ通うのであれば相対的には安いのかもしれません。
勉強習慣が身についている子供
勉強する習慣がすでに身についており、子供自身でどんどんと勉強をすすめていくようであれば、スタディサプリなどの動画学習サービスを利用するのも選択肢のひとつとなります。
スタディサプリの個別指導コースは月額9,800円で、好きな講義を受けられます。

個別指導コースには担当コーチによる個別指導や勉強スケジュールの作成支援や進捗(しんちょく)状況の確認など、学習塾と同じようなサービスをネットを通して受けることができます。
自宅での動画学習で「質問などはどうすればよいか」と心配される方もいますが、個別指導コースに入っているのであれば、チャットなどで質問することもできます。
もし対面で質問できる環境を用意したいのであれば、月額1,980円のベーシックコースを利用し、家庭教師を週1程度で利用することをオススメします。
家庭教師の料金は、1時間で2,000~6,000円が相場です。
必ず体験講義を受ける

学習塾の選ぶ事例をいくつか紹介させていただきましたが、最後は、やはり体験してみることが重要です。
学習塾のホームページには、メリットばかり書かれています。
実際に校舎に行ってみて、2~3講義試しに受けてみましょう。
学習塾内の環境や講師の人当たりなどは、実際に行ってみないとわかりません。
最終決定権は実際に通う子供にあると思います。
体験講義の感想を聞いてみて、「通って成長しできそう」と思えた学習塾が、子供にとって良い学習塾となります。
3年間で45万円以上かかる学習塾費を、ムダにしないように子供と学習塾の相性を確認してください。(執筆者:FP2級、一級建築施工管理技士 田中 かな太)