2019年の末より、楽天証券はじめ、セゾン投信やSBI証券など大手証券会社が投資信託における「定期売却サービス」の提供を次々と開始・発表をし、投資家たちの間で大きな話題となりました。
この定期売却サービスは、保有している投信を毎月自動的に現金化してくれるものであり、老後の生活資金確保の手段としても注目されています。
そこで、今回は定期売却サービスのポイントについて分かりやすく解説します。
人生100年時代と呼ばれるいま、将来に備えて選択肢を増やしておくことは大切です。
「年金だけではちょっと不安」と感じている人は、ぜひチェックしておきましょう。

目次
定期売却サービスってどんなしくみ
投資信託で運用をしている人たちの目的はさまざまですが、なかには将来や老後の資産形成のためという人も多いでしょう。
運用をして資産を形成し、退職後に次のステップとしてその資産を切り崩してセカンドライフの生活費に充てていく。
しかし、人生100年時代と呼ばれる昨今、運用するだけでなく、どれぐらいをどのようにして切り崩して受け取っていくのか、運用したその先のことについても計画性をしっかり持っておかなければなりません。
そこで、そんな点に注目をして始まったのがこの「定期売却サービス」です。
定期売却サービスは、保有している投資信託を毎月自動的に取り崩して現金化してくれるというもの。
投資信託の購入には、一定の金額を決まった日に買い付けしていく「積み立て投資」がありますが、定期売却サービスはまさに積み立て投資の売却バージョンとも言えます。
次で売却の方法について詳しくみていきましょう。
主な売却方法について
定期売却サービスは主に以下の3つの方法から選択ができます。
証券会社によって選択できない方法もあるため、注意してください。
1. 定額売却
あらかじめ金額を指定しておき、毎月もしくは隔月でその金額を売却することが可能です。
シンプルで分かりやすい点が魅力です。
また、毎月入ってくる金額が明確なため、生活の見通しが立てやすいのもメリットです。
2. 定率売却
割合を指定して売却する方法です。
口数に一定率を掛けて計算されます。
たとえば、300万口を運用していた場合で1%ずつの割合で解約指定していたと仮定しましょう。
この場合は300万口 × 1%= 3万口分が売却されることとなり、翌月は297万口 × 1%で計算します。
月を追うごとに売却する口数が減っていくのが特徴です。
評価額の変動によって取り崩す金額も変わりますが、暴落時には取り崩す金額が減ることとなるため資産が減りにくいのは魅力と言えます。
3. 期間指定売却
最終の受取期間を指定しておき、その期間に応じて均等な口数分を取り崩していく方法です。
基準価格の変動によって毎月受け取れる金額も増減しますが、資産寿命をできるだけ延ばしたいという場合に有効な手段の1つ。
上記で説明した定額売却と定率売却を掛け合わせたようなイメージです。
定期売却サービスを利用するメリット

定期売却サービスの需要が高まっている背景には、次のようなメリットがあるからと考えます。
退職をしてからの年金代わりとして活用
1度にまとめて解約してしまうと運用はその時点で終了してしまいます。
しかし定期売却サービスを活用すれば、運用を続けながらも生活に必要な資金を取り崩せます。
つまり、資産が尽きることを防ぎ、運用の寿命を先延ばしできるというわけです。
たとえば、2,000万円を月10万円ずつ切り崩していくと、約17年で資産は尽きます。
しかし、年率5%で運用できたと仮定すると、同様に月10万円を切り崩しても36年間まで資産の寿命を延ばすことが可能になります。
人生100年時代とも言われている高齢化社会の現代において、資産の寿命を延ばすことは大変重要です。
また、年金受給額の減額が不安視する声も少なくありませんが、一定額を現金で受け取れるシステムがあれば、年金を補完する役割も担ってくれることでしょう。
売却時の手間や負担を軽減
投資経験が豊富な人であっても、売却のタイミングを見極めるのは難しいものです。
そのため、決断できずに売却時期を見失ってしまい、結果保有し続けてしまう人も少なくありません。
その点、定期売却サービスを活用していれば、タイミングを考えなくてもよいため、知識や経験の少ない人であっても気軽に始められます。
また、通常売却には金額指定や口数指定をしなければならなかったり、ネット解約であってもパスワードを入力したりと、さまざまな手続きのステップを踏まなければなりません。
この手間を省ける点も定期売却サービスのメリットと言えるでしょう。
安定した売却が可能
定期売却サービスは、あらかじめ指定した日程で定期的な売却を行えます。
そのため、市場平均を取れて、結果安定した売却が可能となります。
リスクを軽減したいという人にも有効でしょう。
参照:SBI証券
将来に備えて選択肢を増やしておくことが大切
現在、日本の平均寿命は年々延びており、超高齢化社会へと突入しています。
そんな背景からも、この定額売却サービスの需要はますます高まっていくことが見込まれており、取り扱う証券会社も今後増えていくことが予想されるでしょう。
ぜひ、いまのうちから選択肢の1つとして、検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:吉村 みき子)