例年6月といえば、3月期決算の企業の株主総会が集中し、出席するために活動的になる株主が多い時期です。
しかしながら、2020年については新型コロナウイルス感染の恐れがあり、企業から送られてくる招集通知には「なるべく出席しないように」と郵送やオンラインでの議決権行使が強くすすめられているという例年にない事態が発生しています。
株主総会出席で楽しみなのが会場でいただけるお土産ですが、今年に限っては中止とする企業、そしていままで機会をうかがっていたのか「今年から」中止する企業も多く見受けられます。
今回は、6月10日現在、筆者の手元に届いた招集通知の一部から2020年の株主総会におけるお土産事情をまとめてみました。
目次
【通常はお土産あり・招集通知に「お礼あり」明記の企業】

株主総会当日のお土産配布はとりやめるものの、議決権を行使した株主に対して後日お礼を送るという企業を紹介します。
(1) アサンテ (6073)
「アサンテ」は、住宅などの建物にシロアリ防除を行う企業です。
株主総会では、例年はお土産として自社名が印字されたカステラを配布していますが、2020年については「配布なし」とのことです。
その代わりとして、書面・インターネットにて議決権を行使した株主に対し、クオカード500円分を後日送付するそうです。
コンビニなどで現金と同じように利用できるクオカードをいただけるのはうれしいですね。
(2) NSD (9759)
「NSD」は、金融機関向けシステムに強いソフト開発会社です。
株主総会では、例年はお土産としてカタログギフトをいただけるという太っ腹でしたが、2020年については「本年は見合わせ」とのことです。
その代わりとして、書面またはインターネットで議決権を行使した株主に対し「感染拡大防止への協力のお礼(内容の記載なし)」を後日送付するそうです。
(3) ハーバー研究所 (4925)
「ハーバー研究所」は、基礎化粧品を主とした化粧品の製造販売を行う企業です。
株主総会は、例年は自社商品が割安で手に入る販売会やタレントの萬田久子さんを招いた懇親会が行われる大々的なものでしたが、2020年は「いずれも中止」だそうです。
その代わりに、議決権行使をした株主に対し、お礼の品を7月中をめどに送付するとのことです。
名物の懇親会が行われないとあって、残念に感じる株主の方も多いのではないでしょうか。
【通常はお土産あり・2020年に限り招集通知に「お土産なし」が記載されている企業】

株主総会にて例年はお土産を配布していましたが、2020年については招集通知に「お土産配布なし」と記載されていた企業を紹介します。
来年はお土産が復活するのか、期待して待ちたいところですね。
議決権行使のお礼については明記されていませんので、有無は不明です。
(1) 田谷 (4679)
「田谷」は、直営美容院を全国に展開する企業です。
株主総会では、例年は自社製品のシャンプー&トリートメントを配布していましたが、2020年については「例年配布していた記念品は取りやめ」とのことです。
(2) ハウス オブ ローゼ (7506)
「ハウス オブ ローゼ」は、主に百貨店に出店しボディケア用品などを製造販売する企業です。
株主総会では、例年は自社製品のボディソープなどがお土産として配布されていましたが、2020年については「本年はとりやめ」とのことです。
(3) ナック (9788)
「ナック」は、主にダスキン代理店、戸建て住宅販売などを手掛ける企業です。
株主総会では、例年はお土産としてスープなどの食品を配布していましたが、2020年については「お土産配布なし」とのことです。
(4) ダイオーズ (4653)
「ダイオーズ」は、コーヒーや飲料水もしくはマットなどの環境製品をオフィスに供給する企業です。
例年は、始めから終わりまで株主総会に出席した株主に、後日お礼としてコーヒーを送付していました。
そのコーヒーの量が大盤振る舞いの200杯分ということで、毎年の株主総会では大きな会場が満員になるほどの株主を集めていましたが、2020年については「特例として中止」とのことです。
優待好きの間では知られた株主総会ですので残念さもひとしおです。
(5) 三井物産 (8031)
「三井物産」は、日本を代表する商社のひとつです。
株主総会では、例年は関係会社の製品(2019年はスープカレー)が配布されていましたが、2020年については「本年の記念品はとりやめ」とのことです。
(6) 大戸屋ホールディングス (2705)
「大戸屋ホールディングス」は、定食を主なメニューとした外食チェーンです。
株主総会では、例年は総菜の素やふりかけなどの自社商品のセットを配布していましたが、2020年については「お土産の配布はとりやめ」とのことです。
(7) ファンケル (4921)
「ファンケル」は、化粧品やサプリメントなどの製造販売を行う企業です。
例年、横浜アリーナで大々的に開かれる株主総会では、自社製品の割引販売や懇親会も行われており、毎年にぎわっています。
そして、お土産として自社製品を配布しているので、特に女性に高い人気を誇る株主総会です。
しかし、2020年については「本年に限り割引販売・懇親会のとりやめ、お土産のとりやめ」とのことです。
【昨年まではお土産あり・2020年から「お土産なし」が記載されている企業】

例年は株主総会にてお土産を配布していましたが、2020年以降は「お土産を廃止」すると招集通知に記載された企業を紹介します。
もともとお土産廃止のタイミングをうかがっており、「新型コロナを契機に廃止に踏み切ったのか?」と邪推してしまいます。
(1) 丸紅 (8002)
「丸紅」は、日本を代表する商社のひとつです。
株主総会では、例年はお土産としてクオカード千円を配布していましたが、2020年の招集通知では「本年より公平性の観点から中止」との記載がありました。
(2) サノヤスホールディングス (7022)
「サノヤスホールディングス」は、造船会社などを傘下に持つ企業です。
株主総会では、例年はお土産としてホテルのお菓子を配布していましたが、2020年の招集通知では「本年よりとりやめ」との記載がありました。
(3) 日本取引所グループ (8697)
「日本取引所グループ」は、傘下に東証、大阪取引所などをもつ企業です。
株主総会では、例年はお土産として和菓子を配布していましたが、2020年の招集通知では「本年からとりやめ」の記載がありました。
(4) 日本管財 (9728)
「日本管財」は、ビルや住宅の清掃・警備を中心とした総合管理会社です。
株主総会では、例年はお土産として和菓子を配布していましたが、2020年の招集通知では「本株主総会よりとりやめ」の記載がありました。
招集通知に記載されているのはもちろん、招集通知が郵送されたときの封筒の表面にも「お土産取りやめ」と書かれており、ある意味徹底していました。
議決権行使はネットや郵送で
2020年はネットや郵送での議決権行使を活用し、現地になるべくいかないことが推奨されています。
また、株主総会のライブ配信を計画している企業もあり、今後もお土産なし・リモート開催がトレンドになっていくのかもしれませんね。(執筆者:吉井 裕子)