配偶者控除は共働き家庭の場合はあまり意識することがない制度ですが、共働きでも産休・育休の間に活用できることは知っていましたか。
知っておくと、払う税金が安くなるだけでなく、次の年の保育料が安くなる可能性があります。
目次
配偶者控除とは具体的にどんな制度
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「配偶者控除」とは、専業主婦(専業主夫)や年収の少ない配偶者がいる場合、働き手側の税金を安くするという制度です。
これは夫が大黒柱、妻が主婦という昔ながらのスタイルでも、妻が大黒柱、夫が主夫という家庭でもどちらでも適用になります。
配偶者控除は年収が少ない側の年収額によって種類が2つあります。
・ 配偶者特別控除 … 年収上限額201万5,999円以下
この配偶者特別控除は2018年に税制改正があり、141万円未満だったのが201万5,999円以下となりました。
正社員やフルタイムで働いているのであれば、配偶者控除はもちろん配偶者特別控除の年収を超えることも多く、普段は配偶者控除の恩恵は特に受けられません。
ところが、妻側が産休・育休中は共働きでもこの配偶者控除を使える可能性があります。
産休・育休中に配偶者控除が適用される条件
産休・育休中に配偶者控除、もしくは配偶者特別控除が適用される条件は妻の年収が先ほどの年収条件を満たしていることです。
普段ガッツリ働いているママさんたちは育児休業給付金や育休手当も出ているはずなので、自分には関係がない…とつい思うかもしれません。
ここでポイントになるのは、
ことです。
産休・育休中にもらえる手当の一例です。
・ 出産育児一時金
・ 育児休業給付金
・ 退職後の失業手当
など、給与ではなく自治体や国から払われる一時金や給付金は税金の計算に入れないと、、かなりのママが配偶者控除の対象になるのではないでしょうか。
配偶者控除には働き手、この事例の場合はパパ側の年収にも条件があります。
パパ側の年収が給与収入1,220万を超える場合は配偶者控除・配偶者特別控除の対象にはなりません。
配偶者控除の手続きで保育料が安くなる可能性も
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配偶者控除でいくら控除されるか、つまりいくら税金が安くなるかはパパ側の年収などによって変わります。
しかし所得税、住民税それぞれから控除されるので合計するとおおよそ10万円以上の控除額になる人が多いようです。
年10万円と考えると結構大きいです。
配偶者控除を受けるメリットはそれだけではありません。
育休明けに子どもを保育園に入れる家庭の場合、保育料が安くなる可能性があります。
保育料は年収ではなく納めている税額をもとに算出されます。
控除を受けていれば税額は減るので、保育料もより安い階級になる可能性があります。
配偶者控除を受ける方法 育休明けでも間に合うかも
夫が会社員もしくは公務員の場合
配偶者控除は夫が会社員、もしくは公務員であれば基本的に年末調整で手続きをします。
10月か11月頃に職場から年末調整の関連書類が渡されます。
そのなかに「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書類があります。
これに妻側の見込み年収を記入して、期日までに職場に提出します。
分かりにくい場合は職場の担当者に確認するか、国税庁の記載例を参考にします。
夫が自営業などで確定申告をする場合
夫が自営業などで確定申告をするという時には、確定申告書に配偶者(特別)控除の欄と配偶者の合計所得の欄があるのでそこに記入をして確定申告をします。
また、夫が自営業や個人事業主の時には夫の年収上限は所得1,000万円となりますので注意してください。
年末調整で手続きを忘れてしまった、もしくはもう育休が明けているという場合でも過去5年間分まで確定申告でさかのぼって手続きができます。
確定申告というと年度末頃というイメージがありますが、還付の確定申告は年中いつでも可能です。
ステイホームで時間があるという人はこの機会に手続きをしてしまいましょう。
知らないと損する産休育休中の配偶者控除
産休・育休中は配偶者控除の対象というのはあまり知られていません。
国や税務署、自治体が広く告知しているわけでもないので、職場の給与担当者がよほど親切に教えてくれない限り知らない人も多いようです。
でも出産直後の物入りな時期の10万円は大きいです。
ぜひ覚えておいて、産休・育休の時にはしっかり手続きをしてください。(執筆者:金子 ゆかり)