2020年度も始まって4か月が経過しました。
今年から新社会人になった皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルスの影響もあって、出社や研修もままならないという方もいらっしゃるかと思います。
しかし、今の状況がこのまま続くはずもありません。将来をしっかりと見据えて準備をしていきましょう。
今回は、新卒や社会人2~3年目の若手向けに、マネープランとライフプランの関わり合いをお話しします。
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目次
人生の3大支出とは
私が社会人になりたての頃の話で恐縮ですが、電車の走っていない地域にある実家暮らしで通勤時間が長く、少し残業をすると家に帰るのは最終バスでした。
実家の周りには畑しかなく、休みの日にもお金を使うことなどほとんどありませんでした。
必然的にお金はどんどんと貯まりました。
貯めたお金は「結婚式代」と「自宅の購入資金の頭金」として消えました。
貯蓄額は数百万円ありましたが、一瞬でなくなりました。
家庭の事情もあり結婚と同時に家を建てた影響が大きかったのですが、その後に起こったことを考えると「もう少し計画的にすればよかったか」と反省しています。
さて、人生の中で3大支出とは、
「教育資金」
「老後資金」
です。
個人的には、その前の「結婚資金」も大きいと思うのですが、それは横においておきましょう。
結婚して子供ができ、小学校に入学するころには「教育資金」が必要です。
これは子供が大学を卒業するまで続きます。
ほぼ同じ頃に住宅購入の計画が始まります。
私が話を聞く限りでは、子供が小学校に入学してからでは転校させるのがかわいそうなので、小学校入学に合わせて新居に引っ越したいと考える方が多い印象です。
そして、子供が社会人になってしばらくすると定年の時期を迎えます。
定年後は年金中心の生活ですが、公的年金だけでは足りないと言われています。
老後を安心して過ごすためには、それなりの「老後資金」が必要です。
人生で訪れる貯蓄のタイミング
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このように書き連ねると「結婚するとお金が出ていくだけじゃないか?」と思われるかもしれませんが、現に結婚はコスパが悪いと言われることがあります。
「独身でいればお金の面でも自由に生活できる」と話す方もいます。
さて、「結婚して子供ができる」、「家を買う」、「定年して老後を迎える」と人生を送るうえで「3大支出」が待ち構えているとなると、いつお金を準備すればよいのでしょうか。
貯蓄にもタイミングがあります。
・ 結婚後、子供ができるまで
・ 子供が社会人になり、定年を迎えるまでの間
この3つの期間が貯蓄をするチャンスです。
独身時代は説明不要ですね。実家にお金を入れたとしても、それ以外は基本的に自分のためにしか使いません。
保険なども独身時代は医療保険だけあれば十分で、高額な生命保険などは不要です。
結婚後、子供ができるまでの間は夫婦2人で一緒に稼ぐことができます。
以前のように結婚と同時に家庭に入る女性も少なくなりましたので、共働きで「教育資金」や「住宅資金」を貯めるというのは非常に効率的な考えです。
2人で一緒に生活するということは、別々に生活するよりも住宅費や生活費も1つにまとめられて経済的にも負担が小さくなります。
子供が社会人になると「教育費」の負担から解放されます。
ここから定年までの5年~10年が「老後資金」を貯める最後のチャンスです。
退職金も「老後資金」の重要な要素です。
まずは今後10年間のライフイベントを想像してみる
今回は若手社会人向けの記事なので、社会人になってからの10年間ほどに焦点を当てましょう。
期間は23歳~32歳で、30歳で結婚、32歳で第1子誕生と仮定します。
23歳~29歳までの7年間は自由にお金が使える独身期間です。
仕事の繰り返しでは疲れてしまいますので、年に1回は国内旅行に行くとします。
結婚までに1回ぐらいは海外旅行に行ってもよいかもしれません。
趣味のサークルでゴルフセットを買ったり、英会話教室に通ったりすることもあるかもしれません。
毎月1回は高級レストランで食事をして自分へご褒美をあげるのもいいですね。
このようにたくさんのイベントが出てきたら、1年ごとのライフイベントを表にまとめてみましょう。
表には、イベントにかかる費用を想定して書き込みます。
そして、自身の給料の中から必要経費を抜いた金額も書き込みます。
恐らく余りが出るはずですので、余った分は貯蓄にまわしましょう。
余りがでなければ、少し支出を調整する必要がありますね。
リクルートマーケティングパートナーズが行った「ゼクシィ結婚トレンド調査 2019(pdf)」によると、2019年の「結婚資金」の全国平均は354.9万円です。
独身期間の貯蓄目標は、上記の金額が妥当だと思います。年間に直すと約50万円の貯蓄です。
実際には、結婚資金はご祝儀で返ってくることがほとんどですが、ご祝儀目当てで結婚するわけではありませんので、少額でもコツコツと貯蓄にまわしましょう。
結婚してから第1子が誕生するまでは、夫婦2人でしっかりと働いて教育資金の源泉を貯めましょう。
もちろん、子供を作らないという選択肢もあります。
その場合でもしっかりと貯蓄をしておけば、将来に自宅を購入したり、病気などの急な出費にも対応できたりします。
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もしも奨学金等の返済に困ったら
奨学金と呼ばれるものには、日本学生支援機構の奨学金や国の教育ローン(日本政策金融公庫が実施)、民間の教育ローン(各金融機関が実施)など数多くの種類があります。
注意すべき点は、給付型の奨学金以外はすべて借り入れ、すなわち借金だということです。
返済が滞ると通常の借金と同じように信用情報機関に登録されてしまい、以後の自動車ローンや住宅ローンの借り入れに支障をきたす可能性があります。
日本学生支援機構の奨学金であれば、「減額返還(月々の返済額を1/2もしくは1/3へ減額)」や「返還期限猶予(最長10年)」を申請できます。
特に「減額返還」は延滞していると申請できませんので、早めに日本学生支援機構の奨学金相談センターに相談することをおすすめします。
日本政策金融公庫や各種金融機関の教育ローンを利用されている際には、それぞれの金融機関窓口に相談する必要がありますのでご注意ください。
ライフプランとマネープランは状況に合わせて修正
想定通りにいくことは限りませんが、何も考えずお金を使っていては貯蓄も増えませんし、急な出来事にも対応できなくなってしまいます。
まずはライフプランやライフイベントを考えてみて、状況に合わせて少しずつ修正していくことをおすすめします。
日本FP協会のホームページには、ライフイベントやキャッシュフロー表を簡単に作成できるワークシート型の便利ツールが無料でダウンロードできるようになっていますので、興味がある方はぜひご利用ください。(執筆者:行政書士 風見 哲也)