何かと慌ただしい時期ですが、ぜひ忘れずにしてもらいたい手続きがあります。
それが「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」の提出です。
名前が長くて分かりづらいですが、端的に言うと、
という仕組みです。
どのいった制度なのか、どのような手続きをしたらよいのかを見ていきましょう。

目次
制度の対象となるのは誰なのか
この「養育期間標準報酬月額特例制度」の対象となるのは、
です。
さらにざっくりとした括りでいうと、企業に雇用される、もしくは公務員として役所に勤めている人が対象と考えていただいても大丈夫です。
・ 子の出産前から厚生年金を払っていないパートタイマーだった人
・ 自営業などで厚生年金を払っていないという人
はこの制度の対象外です。
また、時短勤務ではない、もしくは時短勤務でも産前より給与が下がっていない人も対象にはなりません。
子どもが扶養に入っていなくても、パパママどちらでも使える制度
この制度は「厚生年金に関わる制度」なので、子どもが扶養に入っているかどうかは関係ありません。
子どもがパパの扶養に入っていてもママが時短勤務中であればママはこの制度を利用できます。
また、性別による制限はありませんので、パパとママどちらでも、あるいは両方が手続きさえすれば対象になります。
どのようにお得になるのか
この制度は名前が長いうえに2段構えになっているので、一見して分かりづらいのが難点です。
記入して提出する書類が2種類ありますので、それぞれの役割を説明します。
(1) 育児休業等終了時報酬月額変更届
通常は、社会保険料は標準報酬月額を基準にして決まります。
つまり、時短勤務が始まった後でも通常時の給与をベースにした金額になってしまうということです。
この書類を提出することで、手続きをして4か月後からは時短勤務後の給与をベースにした社会保険料になります。
(2) 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書
納める社会保険料が減るということは、将来受け取れる年金の金額も減ってしまうということです。
しかし、この書類を提出することで、時短勤務中に納める社会保険料が減っても将来受け取る年金額は変わらなくなります。
すなわち、
というのがお得な点です。
今の生活はもちろん、将来の年金までお得になる仕組みです。
時短勤務が終了した人にも救済処置がある
「この手続きを知らないまま時短勤務が終了した」という人も安心してください。
この手続きは2年間さかのぼって申し出ることが可能です。
「自分は当てはまるかもしれない」という人は、職場の担当者か日本年金機構に確認してみましょう。
どのような手続きをするのか

時短勤務が始まったら、勤務先の担当者に「厚生年金保険の特例申出をしたいので書類が欲しい」旨を伝えましょう。
基本的には職場を通して手続きしてもらいます。
手続きの際に必要になる書類は次の通りです。
・ 育児休業等終了時報酬月額変更届
・ 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書
・ 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書(申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの)
・ 住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの、申出者と子が同居していることを確認できるもの)
変更届と申出書は日本年金機構のサイトからダウンロードできます。

知らないと損することは多い 自分から積極的に申告
この制度について、職場の担当者が書類を渡してくれたという人もいれば、担当者も知らなかったという人もいます。
いずれにせよ自分が手続きしないと得はしません。
書類も難しいことを記入する必要はありませんので、対象に当てはまる人はぜひ手続きをしてください。(執筆者:金子 ゆかり)