新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をする方が増え、外出も自粛するとなると、家庭で過ごす時間も家での食事回数も増えるのが必然です。
自粛期間中にベランダ菜園に興味を持った方もいるのではないでしょうか。
そこで、筆者が実際に育てたことのある野菜類を「育てやすさ」、「味」、「コスパ」の3つの観点から紹介します。
目次
1. ミニトマトは手入れ必須の野菜

園芸初心者におすすめされることが多いのがミニトマトです。
実がなるというのが魅力的だからでしょうか。
筆者も何度か挑戦していて、今年も育てています。
しかし、全ての初心者におすすめだとは思いません。
その理由を以下にまとめました。
【育てやすさ】★★☆☆☆
ミニトマトは「1日1回水をあげればよい」という単純な世話ではないので星2つにしました。
ミニトマトの世話には次のようなものがあります。
(2) 支柱を立てて、苗を支える
(3) 実が赤くなってきたら鳥に狙われるのでネットで保護する
他にもあるのですが、これだけ見ても「植え付けから収穫まで植えっ放しでよいわけではない」というのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
こういった世話をせずに水やりだけで育てるとどうなるのでしょうか。
まず四方八方に枝が伸び、実が付いた枝は重く、支柱での支えのない状態ではベランダの床を這うように育ち続けます。
枝が増えた分、土の水分が多く失われるので水やりの頻度も増えます。
見た目も悪くなり、床に広がる枝に実がつくのは衛生面においてもよくありません。
【味】★★★☆☆
見た目はスーパーのミニトマトと変わりません。
しかし、スーパー等で購入するミニトマトとは味も食感も違います。
何度か育ててきましたが、プロが作るミニトマトには勝てないと感じます。
味や食感にこだわるのであれば、非常に細やかな世話が必要です。
【コスパ】★★★★☆
苗自体は数百円ほどで安く購入できます。
ミニトマトに限ったことではありませんが、苗1つにつき15リットル程度の土と肥料が必要です。
土と肥料、ミニトマトの苗を入れて初期費用は2,000円ほどでした。
実がつき始めると毎日のように収穫できるのでサラダの色どり程度であれば買わないでも済んでしまいます。
自宅近隣のスーパーには少量パックしか売っていないので、もとは十分に取れています。
「実のなる野菜」まとめ

ミニトマトの他にもゴーヤやキュウリ、ナスを育ててきました。
これらの野菜は苗から育てれば収穫自体は難しくないのですが、いずれは食べられない葉や茎を処分しなければなりません。
ゴーヤは日よけになるので今年も植えていますが、枯れる前から花や葉が落ちるのでこまめに掃除しないと排水溝が詰まってしまいます。
実のなる野菜にはこういった片付けの手間もついてきます。
しかし、収穫の喜びが大きいのも実がなる野菜です。
日に日に大きくなるゴーヤや色づくミニトマトを見ていると世話も楽しいものです。
「これくらいの手間なら大丈夫」と思った方はぜひ挑戦してください。
2. 香りに不足なしのパクチー

パクチー(コリアンダー・香菜)は、アジア料理に使うハーブです。
生春巻きやフォー(米粉の麺料理)に使うのですが、素麺やうどんなどといったいつもの麺料理やサラダにも合います。
蒸し鶏や煮豚などの肉料理にも合いますよ。
【育てやすさ】★★★☆☆
種から育てたところ、水やりで倒れてしまうほどの細長い茎に苦労しました。
育っても細いので倒れたり、折れたりしやすいのです。
風が強い場所では育てにくいかもしれません。
かなり柔らかい葉ですが、独特の香りのせいか虫がつかないので助かりました。
【味】★★★★☆
今まで育てた野菜の中で、スーパーの野菜と遜色ないと思った野菜ナンバーワンです。
水やりと定期的な肥料だけで風味に申し分のない野菜に育ってくれるので、パクチーを頻繁に使うご家庭の方には挑戦して欲しい野菜です。
【コスパ】★★★★★
スーパーで買うと1パック200~300円します。
100円ショップで購入した種の半量で既に5回は収穫しています。
スーパーで買うと量が多過ぎてすぐ萎びてしまうので余ることもありましたが、ベランダ菜園なら使いたい分だけをフレッシュな状態で使えます。
ハーブ類のまとめ

ミントやレモングラスも育ててみたのですが、丈夫なハーブの場合にはほぼ水やりだけで育つので世話は楽です。
しかし、丈夫すぎるのも問題です。
繁殖力が強いので小さなプランターではあっという間に土が見えなくなるほどに茂り、根詰まりを起こしてしまいます。
根が詰まると、栄養が不足して病気になり枯れてしまいます。
筆者はこれで何度もミントを枯らしてしまいました。
一方で、地植えにすると庭がミントだらけになるので注意しましょう。
プランターではいずれは根詰まりするので、大きな鉢に植え換える必要があります。
そこまでのお世話は難しくても、ひと夏だけと割り切って育てるのもよいかもしれません。
3. 大葉は日陰がないとただの葉っぱの味

夏の料理に大活躍の大葉も毎年のように育てています。
10枚で100円ほどなので、苗を買って次々に葉を収穫できるとけっこうな節約になります。
唯一の難点は、香りが市販品に負けてしまうことです。
【育てやすさ】★★★★☆
今年は種から育ててみましたが、しっかりと育ってくれてひと月で50cmほど伸びました。
固い茎でまっすぐに伸び、次々に葉を広げてくれるので世話自体は楽です。
野菜用の虫よけを数回ほどスプレーしたので、虫に食べられることなく育ちました。
【味】★☆☆☆☆
今年育てたベランダの大葉は、香りが弱くほとんど葉っぱの味になってしまいました。
調べてみると、日当たりが良すぎると香りが落ちることがあるようです。
そこで場所を移動させたところ、新しく出てきた葉は多少は香りが出てきました。
しかし、市販されている大葉と同じクオリティの風味をプランターで育てるのは難しいと感じました。
【コスパ】★★★★☆
わが家では頻繁に買うので、大葉をベランダで収穫できるのは非常に助かります。
育ってしまえば次々と葉が出てくるので毎日のように収穫できます。
しかし、香りが弱いので星4つにしました。
次は最初から日陰で育ててみたいと思います。
これからの時期は葉野菜がおすすめ
栽培期間の長い「春菊」や「小松菜」などの葉野菜はこれからの時期におすすめです。
葉野菜は育てた葉の部分を調理に使うので、トマトのように処分する茎や葉が少ないので片付けが楽なのが特徴です。
収穫もひと月ほどから可能なので気軽に始められます。
春よりも9月植え付けの方が虫がつきにくい傾向にあるようです。
世話の楽な野菜からはじめてみる
趣味と節約という実益を兼ね備えているのがベランダ菜園の魅力です。
ブログや書籍も沢山あり、気軽に始められます。
手間のそれほどかからない世話の楽な野菜からはじめてみてはいかがでしょうか。(執筆者:田中 よしえ)