学生(短大生含む)の3人に1人が奨学金を借りて、短大や大学に通っています。
日本学生支援機構の奨学金は多くの学生が利用でき、利子の高い学生ローンなどに頼らないで安心して進学できるように整備されています。
しかし、奨学金を利用している学生の中には、奨学金が停止して退学してしまう人もいるようです。
奨学金を利用できる条件をしっかりと確認しておかないと、奨学金が停止してしまいます。
そうなると思いがけない家計への負担や退学せざる負えない状況となってしまいます。

目次
留年すると奨学金は停止する
奨学金が停止される原因のひとつに、留年があります。
日本学生支援機構の奨学金(1種、2種)を利用する条件のひとつに次の内容があります。
参照:日本学生支援機構
学業不振による留年はこの条件から外れることになるため、奨学金が停止します。
奨学金を利用していると毎年、「奨学金継続願」の書類提出(または専用サイトでの入力)をしなければなりません。
「奨学金継続願」は基本的に1年間の経済状況や奨学金継続意思の確認となっていますが、中には学生生活の状況や学修の状況を記述する欄があります。

出席日数や単位数など細かい数字まで確認されることはありませんが、学業不振の場合は奨学金の停止や廃止となるリスクを理解しているかと毎年確認されます。
なお、留年してしまった理由が病気や災害などやむを得ない場合は、申請すれば奨学金の延長が可能です。
また休学する場合も同じように申請を行えば、復学するときから奨学金を利用できます。
留年になってしまう条件
留年してしまう条件は大きく分けると2つあります。
【理由1】進級に必要な単位数が足りない
一般的に4年制大学を卒業するためには、124単位以上の取得が必要となります。
4年間で124単位なので、1年間に48単位ずつ取得していけば卒業できます。
近年は就職活動があるため、3年間で120単位ほど取得するような学生もいます。
大学にもよりますが、進級するための最低取得単位数を設けている場合があります。
私が通っていた大学(建築学部)を例にすると、1年生から2年生へ進級する条件として30単位以上、2年生から3年生になるためには最低60単位と決められていました。
この単位数をクリアできないと自動的に留年が確定します。
大学側も学生が留年しないようにと、前期が終わって単位取得数が少ない学生を呼び出して状況を確認したり、場合によっては保護者との面談をしたりしていました。
【理由2】進級(または卒業)条件になっている単位を落とした場合
取得単位数以外にも進級するための条件があります。
それは必須単位を取得できない場合です。
単位数は足りていても、必ず取らないといけない単位を落としてしまうと進級できなくなります。
また私(建築学部)を例にしますと、建築製図、構造力学など専門分野の単位を落とすと留年することになっていました。
それ以外にも英語の単位を6以上、数学の単位を12以上と基礎分野の単位の最低数も条件になっていました。
4年生では卒業研究を行い、卒業論文(または卒業制作)を提出しないと卒業に必要な単位が取得できない条件となっていました。
留年しやすい学部

一般的な学部では、しっかりと授業に出席してテストを受けていれば留年することはありません。
しかし中には留年しやすい学部(学科)があります。
それは「薬学」、「医学」、「歯学」です。
人の命を守る仕事につながる学部のため、大学の講義レベルが高く、単位取得条件も他の学部に比べて厳しいようです。
またこの3つの学部の最終目的は、国家資格の合格にあります。
医師や薬剤師、歯科医師の国家試験は合格するために相当な勉強が必要になります。
大学側も学生に国家試験を合格できるだけの学力を身に着けさせることを目指しており、定期的なテストや課題を頻繁に行っています。
国家試験に合格できる学力レベルがない場合は、進級できずに留年することになります。
「薬学」、「医学」、「歯学」は6年生となり、他の学部と比べて学費が高い傾向にあります。
十分にリスクを確認しておこう
奨学金を利用して大学に通っている学生の中には、留年=退学となってしまう人が一定数います。
受験や入学前にこのリスクを十分に理解しなければ、入学してから大変なことになってしまいます。
家計を守るためにも、お子さんの単位取得数を確認することが必要です。(執筆者:田中 かな太)