修繕工事は新築してから15~20年をめどに必要となります。
修繕工事の中でも外壁の塗替え工事は100万円程度かかり、大きな支出となります。

目次
住宅を長持ちさせるために、外壁の塗り替えは必要
どうして外壁の塗り替えが必要なのか。
雨漏りやガラスの破損など生活が不便になる戸建て住宅の劣化や不具合を修繕することについては、多くの人が理解しています。
外壁塗装の色があせてきたからといって、私たちの生活にすぐに影響はありません。
生活に直接的な影響がないから外壁塗装の塗り替えをしなくてよいのかというと、それは間違いです。
外壁塗装の塗り替え工事を行う目的は、防水性を改善することです。
雨漏りが起きると部屋の中がぬれるだけでなく、壁の中にある断熱材がぬれてしまい断熱性能が低下することや電気設備の故障につながります。
また、建物を支えるために重要な柱やはりがぬれてしまうことにより、建物の耐久度を下げる結果にもなります。
外壁の塗り替えをしないことによる、建物へのダメージが大きいため塗装の塗り替え工事はやっておいたほうが良い工事です。
どれくらいの費用がかかるのか
東京圏での一般的な戸建て住宅(30坪)にかかる外壁塗り替え工事の費用は、80~120万円くらいです。(2階建て30坪の戸建住宅の外壁塗装面積は約120平方メートル程度)
もちろん地域によって価格の変動があります。
また外壁塗料材のグレードによっても金額が変わります。
外壁の塗り替え工事を検討している方は、2~4社に見積をとって比較することになります。

外壁塗装の大まかな工事内容
外壁塗装の大まかな工事内容を表にまとめました。
日数は30坪(約100平方メートル)の一般住宅を想定しています。

どんな手抜き工事があるか
私自身が実際に相談を受けた手抜き工事を例に対策方法をまとめます。
見積内容と違った材料を使用される
外壁の塗り替え工程は
(2) 中塗り
(3) 上塗り
と3回塗るのが一般的です。
中塗りと上塗りの材料は同じです。
塗装工事はどんどんと重ね塗りをしていくため、完成してしまうと下塗りと中塗りを確認することが難しくなります。
塗料メーカーに確認して材料分析をして何が塗られているのかの確認はできますが、大変です。
そのため見積内容と違った材料を(1) 下塗りと(2) 中塗りに使われていたとしてもわからないことが多いです。
実際の業者はさまざまな現場で塗料を使っています。
その現場で余った塗料を他の現場で使うことによって、材料代を安くできます。
見積と違う材料を使われると本来の防水性能が確保できなくなるため、せっかく塗り替え工事をしても無駄になってしまいます。
対策としては、未開封の材料を搬入した際に立ち会いで確認することです。
3回塗りを2回塗りで済ませる
外壁の塗り替えは基本的に3回塗りとなっています。
上でも説明したように(2) 中塗りと(3) 上塗りは同じ材料を使用します。
そこで(2) 中塗りを省略して、(3) 上塗りだけにしてしまう手抜き工事もありました。
中塗りを省略することで、材料代と塗装の手間賃を半分ほど安くできます。
対策としては、中塗り材と上塗り材の色を違う色にしてしまうことです。
塗装業者の中には自ら行っていることなのですが、中塗り材を上塗り材の色より薄い色を使う(上塗りの色が青であれば、中塗りを水色にするなど)ようにします。
中塗りの色を変えることでだれもが目に見えて中塗りをしていることがわかるようになります。
また完成時も中塗りの色が残っていたら塗り忘れと気づけるので、品質を確保するにも有効な対策です。(執筆者:一級建築施工管理技士、マンション管理士 田中 かな太)