共働き家庭が大半となった現在でも、専業主婦(夫)志望の人が多いと聞きます。
また、育児や介護、配偶者の転勤などの理由で仕事を辞め、専業主婦(夫)になる人もまだまだ多いようです。
そこで、専業主婦歴10年以上の筆者が実感してきた専業主婦(夫)の経済的なメリットやリスクを挙げます。
また、実体験をもとに専業主婦(夫)の経済的リスクを回避する方法もお伝えします。
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目次
専業主婦(夫)は時間の自由が利くので節約しやすい
専業主婦(夫)の最大のメリットは、共働きより時間の自由が利くことです。
その利点は節約に生かせます。
安い食材を活用して自炊すれば、外食やお惣菜よりもずっと食費を抑えられます。
毎日こまめに部分掃除をすれば家はそれほど汚れず、お掃除の外注費(水回りやコンロ回りの掃除で数万円程度)や清掃用洗剤の費用も節約できるでしょう。
家の修理やちょっとしたリフォームを自分でやれば材料費だけで済み、数千円~数万円の外注費用を節約できます。
同じく材料費だけで済むハンドメイドも得意ならば洋服代などが節約でき、メルカリやミンネなどで販売すれば家計の助けにもなります。
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自分で子どもの世話をすることで保育費用が最小限で済む
専業主婦(夫)家庭の多くは、子どもが3歳まで保育園やベビーシッターなどの費用がかかりません。
たまに預かり保育を利用しても負担は少ないでしょう。
以上の節約は、共働きより時間の采配が利く専業主婦(夫)ならではのメリットだと言えます。
サラリーマンの配偶者であれば税制面でのメリットが大きい専業主婦(夫)
配偶者がサラリーマンの場合、専業主婦(夫)のメリットはまだあります。
配偶者の扶養に入ることで配偶者控除や配偶者特別控除が適用され、配偶者の所得税や住民税の負担が軽くなることです。
また、サラリーマンの扶養に入る専業主婦(夫)は「国民年金第3号被保険者」となるため、自身の年金保険料の負担がなくても将来国民年金(老齢基礎年金)を受給できます。
加えて、被扶養者として配偶者の健康保険に加入でき、自分で健康保険料の負担をせずに済む点もメリットのひとつです。
専業主婦(夫)であることには経済的なリスクもある
専業主婦(夫)には当然リスクもあります。
【リスク1】離婚や死別、夫の病気による経済的困窮
最大のリスクは、大黒柱である配偶者との離婚や死別、あるいは配偶者の病気やケガで生活が経済的に困窮する可能性です。
死亡の場合
死別の場合は遺族基礎年金や遺族厚生年金が出ますが、遺族年金には支給要件があります。
遺族基礎年金は18歳以下(3月末日時点)の子どもがいないと支給対象外です。
また、死亡した配偶者がサラリーマンなら子どもがいなくても遺族厚生年金 が支給されますが、受給者が30歳未満だと給付期間は5年のみとなります。
受給要件を満たしている場合でも配偶者の死亡前より収入が大きく下がる可能性は高いでしょう。
離婚の場合
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離婚の場合、専業主婦(夫)は相手から養育費や慰謝料などを受け取る権利があります。
しかし、実際にはそれらのお金を受け取れない人が多い現状があります。
また、専業主婦(夫)の期間が長いと再就職が大変です。
年齢の高さやブランクの長さからなかなか再就職できないケースもあります。
筆者の同年代女性には長年専業主婦の人も多いですが、以上のリスクから事実上夫婦関係が破綻状態でも離婚に踏み切れず、形だけ夫婦でいる女性も複数います。
配偶者が病気になった場合
配偶者が自営業の場合、病気やケガで働けなくなった場合に就業保険に入っていなければ収入がゼロになります。
サラリーマンの場合は会社から傷病手当などが出て生活の維持は可能ですが、大幅な収入ダウンが見込まれます。
【リスク2】将来受け取る年金が国民年金だけである
専業主婦(夫)が将来受け取る年金は国民年金のみです。
国民年金の受給額は満額でも月額6万5,141円(2020年度) です。
配偶者が自営業の場合は夫婦ともに国民年金のみとなり、月々の手取り収入は10万円強です。
さらに夫婦のどちらかが亡くなれば年金額は1人分に減ります。
それだけで生活するのは極めて難しいでしょう。
一方、配偶者が厚生年金に加入していれば年金だけで生活できる家庭は多いですが、今後年金支給額が減ればそれが難しくなる可能性もあります。
専業主婦(夫)には以上の経済的リスクがあり、非常に不安定な立場だと言えるでしょう。
現在専業主婦(夫)である場合は、早急にそのリスクを回避する対策が必要となります。
専業主婦の経済的リスクに備えた対策
ここからは、専業主婦(夫)の経済的リスク対策として、筆者が専業主婦時代から行ってきた対策をいくつかご紹介します。
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【対策1】今後のマネープランを立てる
今後のライフステージを想定したマネープランを立てれば、どのようなリスク対策が必要か見えてきます。
【対策2】自分名義のお金を持つ
配偶者の状況によるリスクを最低限にするためにも、独身時代に貯めた自分名義のお金に手をつけないことは鉄則です。
また、結婚後に自分名義のお金を増やすことも大事です。
自分名義のお金は、死別した配偶者の財産が凍結されている間の生活費として使えます。
また、離婚を考えた時にそのお金を再出発の資金としても使えます。
【対策3】実家との関係をよくしておく
実家との関係は極力よくしておきましょう。
いざという場合に実家からさまざまな形の援助が期待できます。
【対策4】再就職する
再就職は専業主婦の経済的リスクを回避する1番の手段です。
再就職はブランクが浅い方が有利です。
筆者の経験から言えば、ブランク10年以上の再就職は正直厳しいものがあります。
ただ、子育てが落ち着く40~50代は、職種によってはフルタイムの求人が意外とあります。
また、土日祝日勤務を選択肢に入れればさらにチャンスが広がります。
また、親が高齢の場合は介護との両立が可能な自営業やフリーランスも有力な選択肢となります。
【対策5】経済的リスクに備えて資産形成を行う
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経済的リスクに備えて資産形成を行うことも大事です。
現在家計が赤字の場合はまず先取り貯蓄となる積立預金がマストです。
少し家計に余裕がある場合は、少額から始められて税金控除もあるNISAやiDeCo(投資)がおすすめです。
以上の対策で、ある程度専業主婦のリスクは回避できるでしょう。
専業主婦のメリットとリスクを知って今から対策を講じよう
専業主婦には時間の采配が効く分節約しやすいメリットがありますが、配偶者の状況次第で経済的に困窮するリスクもあります。
ただ、メリットやリスクをしっていれば、いざという場合に備えた貯蓄や再就職などの対策でリスクを回避できる可能性は高いでしょう。
専業主婦の方はぜひ今から対策を講じ、想定される経済的リスクに備えましょう。(執筆者:元銀行員にしてベテラン主婦 大岩 楓)