孫が生まれるとおじいちゃんとおばあちゃんはお金がかかります。
「かわいい孫のためならば」と楽しみながらお金を使うことは、使う側にとっても使われる側にとってもよいことかもしれません。
しかし最近は「孫破産」という言葉も登場しています。
孫にお金を使いすぎてしまい、老後のお金が足りなくなってしまう祖父母がいるのです。
今回は、孫の成長を一緒に楽しみながらもしっかりと自分のお金を守るために知っておきたい「孫にお金を使うべきところ」「節約すべきところ」をお話しします。
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目次
成長のお祝い金は「お金を使うべきところ」
孫が生まれると出産祝い、初節句、入園入学と数年ごとにお祝い行事が続きます。
成長の節目の行事には「お祝い金」を渡します。
金額は数万円単位であり、孫が多い人には負担の大きい金額です。
つい「すぐに入学だから入園祝はスキップしちゃおう」と考えたくなります。
しかし、成長の節目のお祝い金は意外と記憶に残るものです。
また、子どもが小さいときには新しく購入しなければならないものが多いので、親としても祖父母からのお祝い金は助かります。
孫の成長のお祝い金は「お金を使うべきところ」ではないでしょうか。ただし、注意点があります。
孫がかわいいあまり「できるだけたくさんお金をあげたい」と思うかもしれませんが、お祝い金は両家からもらうケースが多いものと思われます。
両家であまりにも金額に差が出てしまうともらった親も対応やお返しに困る可能性があります。
お祝い金の金額は先が長い両家の関係をよく保つためにも「それとなくすり合わせること」が大切でしょう。
物品購入は「買ってあげる」ではなく「援助」で節約
孫にはお祝い金や小遣いのように現金を渡すだけではなく、節句人形やランドセルの購入のように物品購入でお金を使うことがあります。
むしろ現金で渡すよりも物品購入のほうが金額は大きくなる傾向があります。
たとえば、ランドセル購入の場合に祖父母は孫と一緒に百貨店には行きますが、孫と親が好きなランドセルを選んでしまうからです。
かわいい孫が高額なランドセルを選べば、祖父母としては「高いからダメ」とは言えないことでしょう。
予算オーバーだったとしても「6年間使うモノだから」と祖父母は自分を納得させて財布のひもをゆるめてしまうのです。
節句人形も同じです。ランドセルは昔よりもうんと値段が上がっています。
親の世代ならば3万円で購入できたモノが今は5万円以上が当たり前です。
工房で作られるランドセルには10万円以上のモノもあります。
気軽に「ランドセルはおばあちゃんが買ってあげる」と言ってしまうと、とんでもない出費が待っているかもしれません。
そうは言っても、ランドセルを買ってあげることは祖父母の楽しみでもあります。
そのようなときには「買ってあげる」ではなく「援助」で孫にお金を使いましょう。
たとえば
と親にハッキリと前もって伝えるのです。
金額をハッキリと伝えることでもらう側も予算を組みやすくなります。
孫から見れば「全額援助」か「一部援助」は問題ではありません。
一緒に百貨店に行って選んだという事実が「このランドセルはおばあちゃんが買ってくれた」という思い出として残るはずです。
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孫の食費はしっかりと「節約すべきところ」
孫にかかるお金の大部分を占めるものが食費ではないでしょうか。
お祝い金は1回に払う金額が大きいために印象に残ります。
しかし「孫に使うお金の総額」で考えると、お祝い金よりも食費のほうが大きくなる傾向にあります。
特に、よく孫が来る場合には要注意の出費項目です。
孫が小さいうちには食べる量も少なく、離乳食は親が持参してくることもあります。
しかし、小学生になると状況は一変します。食べる量は大人並みに増え、メニューも選ぶようになるのです。
さらに、子どもは「おばあちゃんの家ではお寿司をとってくれる」「おいしいお肉をたくさん焼いてくれる」と「おばあちゃんの家の傾向」を理解するようになることでしょう。
そして、その傾向が続くと「ごちそう」が「当たり前」になり「ありがたみ」が薄くなってきてしまいます。
そのまま孫が大きくなれば「おばあちゃんの家にお金を使わせても大丈夫」という妙な考えが浮かび始めてしまうこともあります。
孫が頻繁に遊びに来る場合には、孫の食費は「節約すべきところ」です。
「お寿司の出前はやめて手巻きずしにする」「お肉は質より量にする」など、孫の年齢に応じて財布のひもを上手にしめましょう。
無理のないお金の管理をできるように気遣う
筆者は祖父母ではなく親の立場です。
実家に帰ると普段は食べない(買えない)お肉やごちそうが並びますが、心のどこかで「実家はそういうところ」だと思っていました。
しかし、祖父母は孫だけではなく、子ども(親)も喜ばせたいとお金をたくさん使ってくれているのです。
孫と祖父母の間にはさまっている親は、「孫のために」「子どものために」とお金をたくさん使ってくれる気持ちにどっぷりと甘えるのではなく、お互いに無理のないお金管理ができるような気遣いをすべきなのかもしれません。(執筆者:クリエイティブな節約家 式部 順子)