2021年2月9日、JTが今期の減配見通しを発表しました。
JTは多くの高配当株投資家が保有している銘柄であり、ショックを受けた方も多いのではないでしょうか。
そして「高配当株に投資したいけど、なるべく減配しない銘柄がいいな」と思ったはずです。
そこで今回は、安定した高配当株投資をするなら「DOE採用銘柄」がおすすめだという話をさせていだきます。
「DOE」とは何か、「DOE採用銘柄」への投資のメリットについて、さらに2021年にDOEを採用した銘柄の紹介までありますので、最後まで読んで受取配当金の安定化を目指しましょう。
なお、株価や指標は2021年2月22日現在の情報です。

目次
「DOE」とは
DOEは、”Dividend on equity ratio”の略で、日本語では「株主資本配当率」とも呼ばれ、株主資本に対して、株式会社(企業)がどの程度の利益配分を行っているかを示す財務指標をいいます。
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ちょっと分かりづらいので詳しく解説します。
まず、株主資本とは、会社の資産から負債等を除いた企業の資産のことです。
ただし、DOE採用銘柄の多くは自己資本を基準に配当額を計算しています。自己資本は決算短信1ページ目に参考情報で記載があります。
もし、自己資本の記載がなければ「総資産 × 自己資本比率」の計算をして自己資本を算出します。なるべく最新の決算短信をチェックしましょう。
DOEの具体例

では、DOEについて例をあげて説明します。
自己資本100万円の会社が年間1万円の配当を出したらDOEは1%です。
計算式は
です。
この会社がDOEを倍の2%にしたら年間配当は2万円です。また、自己資本が倍の200万円に増えた場合も年間配当は2万円になります。
DOE採用銘柄に投資する際には
・ 自己資本が減少すると減配の危険がある
ということを覚えておきましょう。
DOE採用銘柄に投資するメリット
では、DOE採用銘柄に投資するメリットを見ていきましょう。
1. 配当金が安定する
自己資本に対して配当金額が決まるので、その期の利益にあまり左右されることなく安定した配当金を毎年見込めます。
ただし、大きく業績を伸ばした場合には増配幅が小さくなるというデメリットが存在します。
2. 赤字決算でも配当金が出る
一時的な業績悪化があっても配当金が半減したり、無配になったりするリスクは低いと言えます。
ただし、コロナ禍における飲食企業のように、自己資本がかなり傷んでしまった場合にはDOE採用を廃止して無配にするという可能性は否定できません。
自分が投資している銘柄の財務状況は四半期に1度発表する決算短信でよいのでチェックをしましょう。大きく自己資本を減らしている場合には要注意です。
2021年にDOEを採用した注目3銘柄
ここからは、2021年にDOEを採用した注目銘柄を紹介しましょう。
1. フージャース (3284)
2021年3.5% 2022年以降4%以上
【配当利回】3.47%
フージャースはマンション分譲を中心とした不動産会社です。
不動産会社の特徴として、不動産の売れ行きによって大きく業績がぶれやすいため、配当金が不安定であるという欠点があります。
しかし、フージャースの補足説明資料によれば、DOEを採用しつつ収益上振れ時は業績に連動した配当の仕組みは変えないとの記載があるので、安定配当かつ好業績時の大きな増配まで期待ができるというメリットがあります。

さらに、2022年はDOE4%以上を目標値としているので、2021年比5円の増配が見込めます。その場合の予想配当利回りは4.19%と高めな点は注目です。
2. CARTA HOLDINGS (3688)
【配当利回】3.19%
CARTA HOLDINGS(以降、カルタ)はネット広告関連事業会社です。
配当利回りはフージャースより低いものの、カルタの2021年利益は過去最高を見込むほどの好調を予想しています。
さらに、カルタは6月と12月の年2回、アマゾンギフト券等と交換できるデジタルギフト「デジコ」1,000円相当がもらえるという株主優待を実施しています。
株主優待を合わせた総利回りは4.47%とフージャース超えです。(カルタ 株主優待制度を参照:https://cartaholdings.co.jp/ir/financial/yutai/)
100株のみ保有を考えている方は、カルタの方がより魅力があるでしょう。
参照:CARTA HOLDINGS「株主還元方針の変更及び配当予想の修正(増配・記念配当)に関するお知らせ (pdf)」

3. 日本フェンオール (6870)
【配当利回】4.52%
日本フェンオールは防災設備を主力とする会社です。
ここ数年は業績の不調が気になるものの、増配を続けていることと今回DOEを採用したことで今後も高配当を期待できるようになりました。
なお、前年2020年決算期ではコロナの影響で受注が伸び悩んだ時期があったため、2021年に受注が戻れば好業績からの増配も期待できるかもしれません。
参照:日本フェンオール「配当方針の変更及び配当予想の修正に関するお知らせ (pdf)」
DOEを採用する銘柄は年々増加傾向にある
まだまだDOEを採用する企業は少ないのですが、2021年で既に3社が採用するなど確実に増加しています。
今後も増加が予想されるので、定期的にチェックしてより良い銘柄にポートフォリオを入れ替えるとよいことでしょう。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)