昨年2020年に首都圏1都3県の私立大学へ入学した大学生のアンケート調査によると、ひと月あたりの仕送りの平均額は8万2,400円で、過去最低を更新したそうです。
ここから家賃の平均額を差し引くと、1か月の生活費は1万8,200円で、1日あたりの生活費は606円しか使えない計算です。
もう少し内訳について詰めて考えてみると、水道光熱費と通信費を8,200円としても日用品と食費で1か月1万円に収める必要があり、高校を卒業したばかりの若者にとってかなりやりくりの難しい予算です。
アルバイトをして少しでも生活資金を増やすのはもちろんですが、節約スキルを高めて生活費を抑えられると精神的な余裕が生まれます。
下宿大学生の節約ヒント14選を紹介します。
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目次
食費節約
家賃を除いた生活費のうち最も比率が大きく、かつ削りにくい費用が食費です。
食費節約には自炊が1番なのですが、とくに料理上手でなくても構いません。
できるだけ低いコストと労力でバランスの良い食事をとる方法を紹介します。
(1) まかないつき飲食店バイト
飲食店のアルバイトの募集要項を読むと
と書いてある仕事を見かけます。
コロナ禍の時短営業で今は数が少ないかもしれませんが、かつては居酒屋のアルバイトなどまかないを無料で提供してくれる店が結構ありました。
またパン屋などでは、営業終了時刻が近づくと割安な「社割価格」で残った商品を購入できるケースもあります。
ただし売れ残り商品を無料で従業員に持ち帰らせるのは、衛生の観点から近年禁止にしている店舗も多いので、よく情報収集をしてください。
(2) 自炊はカット野菜を多用
食費の節約で自炊に励む場合、野菜はできれば丸ごと買った方が節約になります。
しかし1人暮らしで、キャベツのような大きな野菜を腐らせずに使い切るのは難しいです。
そこでカット野菜を活用しましょう。
1袋100円で3食「千切りキャベツ」
おすすめは千切りキャベツです。
1袋100円程度でスーパーやコンビニで販売されており、袋を開けるだけで洗わずにそのまま食べられます。
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開けたら冷蔵保存しながら短期間で使い切るのが、衛生と節約の両面でおすすめです。
買ってきた日に3等分し、
・ 1つはそのまま
・ 2つめは塩もみし水気を絞る
・ 3つめは小鍋に入れて水を注ぎ好みの固さに煮る
【メニュー例】
1日目そのまま:ドレッシングをかけてサラダに
2日目塩もみ:ハムをプラスしてマヨネーズで和えてコールスローに
3日目水煮:コンソメキューブやインスタントの味噌汁を溶いてスープに
(3) 1枚300円鶏むね肉で安くタンパク質補給
節約中でも肉や魚、乳製品などのタンパク質を摂取しないと健康に支障が出ます。
豆腐や納豆などは調理の手間がほぼゼロなのでぜひ活用してください。
鶏むね肉も1枚300円程度で手に入り、調理が簡単でおすすめです。
鶏むね肉の塩ゆで
・ 小鍋に肉がつかる程度の深さまでお湯を沸かし、海水と同程度にしょっぱく感じるまで塩を入れる。
・ 沸騰したら鶏むね肉を入れて蓋をする。
・ 1分後に火を止め、蓋をしたまま1時間放置する。
・ 鍋から鶏むね肉を取り出し、スライスして火が通っているか確認し、冷蔵保存する。
チューブのしょうががあれば塩と一緒に加えると、肉の臭みが抜けてさらにおいしいです。
加熱時間はわずか1分ですので光熱費の節約にもなりますし、蓋をして1時間放置するだけなのでその間に他の用事を済ませられます。
一切の手間をかけたくない場合には、コンビニにはサラダチキンが1パック100円程度で売っているのでそちらを利用するのも良いです。
ほぐしてサラダにプラスするのも良いですし、醤油や柚子胡椒を添えればメインディッシュにもなります。
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(4) 1袋100円の冷凍野菜 + インスタント味噌汁
カット野菜だけでなく、冷凍野菜もおすすめです。
千切りキャベツと同じく100円程度でほうれん草や小松菜などの冷凍野菜を購入できます。
解凍してインスタント味噌汁に浮かべれば、気軽に野菜を食事に取り入れられます。
(5) どんなに安い街の食堂も学食300円にはかなわない
夕方のニュースなどでよく「まちの激安食堂」と紹介されているのを見かけますが、どんな店でもたいてい学食の安さにはかないません。
良心的な店でもワンコインの500円程度ではないでしょうか。
学食なら、おかずにごはん、味噌汁、サラダがついて300円台というような価格設定も珍しくありません。
遅い時間の授業を受けたあとに外食をするなら、開いていれば学食で食べて帰るのが1番の節約です。
(6) 水筒持参でミネラルウォーター代3,000円の節約
授業の合間に飲むお茶や水をその都度自販機で買っていると、高くつきます。
1本150円でも、1か月平日20日間なら3,000円の出費です。
ブリタの浄水ポットは16日後に元取れ
家で麦茶を沸かして水筒に持っていくのも良いですし、水なら浄水ポットのろ過水がおすすめです。
ブリタの浄水ポットは、水道水を入れるだけで浄水カートリッジを通じておいしい水にかえてくれます。
1日1本150円のミネラルウォーターを買っていた人なら、約16日後には元が取れる計算ですので、早く手に入れて使い始めた方がお得です。
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(7) 自炊3種の神器で割高な加工品を買わない
自炊での節約効果を高めるには、必要最低限の道具をそろえて、それらをフル活用するのが大事です。
自炊3種の神器は、
です。
直径18cmの深型フライパンは、煮る、焼く、蒸すの全てに対応します。
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1つで汁物が作れて、肉や魚・目玉焼きを焼けて、冷凍餃子を入れて少量の水とともに蓋を閉じればうまく蒸し焼きしてくれます。
1人暮らしの場合、コンロがひと口という物件も多いので、コンロが空いていなくてもお湯が沸かせる電気ケトルはぜひ持っておいて損はない1品です。
炊飯器は高機能なものでなくて良いので、持っておくと外食の頻度が激減します。
何も作りたくない日はご飯だけ炊いて、たまごかけご飯や納豆ご飯をかきこめばそれも立派な食事です。
水道光熱費節約
真夏や真冬にどうしてもかさむのが水道光熱費です。
(8) 17分以内ならシャワーの方が節約に
トイレとお風呂が別々の物件に住んでいる方も、節約の観点ではシャワーの方が17分以内※で切り上げれば水道代が安く済みます。
※湯船の水量200Lで計算した場合
(9) 部屋のエアコン20年ものなら電気代1.6倍
知り合いの大学生から聞いたエピソードですが、下宿先のエアコンを夏場に実家と同じような感覚で使っていたら、5,000円程度と思っていた電気代に8,000円以上の請求が来て驚いたそうです。
慌てて母親に相談するとエアコンの製造年月日を見るように言われ、確認すると20年以上前のものだったそうです。
古い物件に住んでいる場合、部屋に備え付けられているエアコンの型式も古いことがあります。
ダイキンが発表した資料によると、1991年製のエアコンに対して現在のエアコンは60%以上省エネ効果が高まっています。
参照:エアコン販売王
代替品を検討
型式が古く電気代がかさみそうだとわかったら、扇風機など代替手段も検討しましょう。
動作もおぼつかない場合には取り替えてくれる可能性もあるので、大家さんに相談するのも一手です。
エアコン代のかかる季節はできるだけ大学の自習室で勉強するなどの節約方法もあります。
ただし低層階の場合は窓を開けて生活するのは、防犯の観点からはあまりおすすめできません。
その場合は必要コストと割り切った方が良いでしょう。
また冬場はこたつに入って温まるのも、電気代がエアコンの5分の1程度で安く済み、おすすめです。
(10) 通信費の鍵は「Wi‐Fi + 格安スマホ」
大学生活になくてはならないものが、ネット回線などの通信インフラです。
マンションにあらかじめ光回線が引き込まれている場合は、3,000円程度の割安な値段で利用できる可能性が高いです。
マンションタイプの光回線がなければ、持ち運び可能なモバイルルーターか、ホームルーターが設置工事の初期コストがかからないのでおすすめです。
光回線の新規設置工事には2万円程度必要なケースが多いので、この金額を節約できるのは大きいです。
格安スマホと一緒に契約すればセット割引が受けられるケースもあります。
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大学ではできるだけ学内の無料Wi-Fiにつなげば、格安スマホでも問題なく使えます。
ただし、学問以外の私的なWi-Fi利用が増加して回線が混み合う問題を抱えている大学も多いので、学内Wi-Fiの利用には制限がかかるケースもあります。
利用要項を確認しておきましょう。
(11) 娯楽費節約には「学割のあるサブスク」を活用
コロナ禍で友人と遊ぶ機会も減り、1人暮らしの部屋で過ごす時間が長くなります。
動画や携帯ゲームの課金など1つ1つのコンテンツにその都度料金を払うと、使い過ぎにつながるため、定額で楽しむのをおすすめします。
AmazonやYouTubeには学割サービスがあります。
Amazon Prime Student(月額250円 ※通常500円)
YouTubeプレミアム学割プラン(月額680円 ※通常1,180円)
(12) 教科書はお下がりや中古を
1冊数千円クラスの出費となるのが大学の授業で使用する教科書です。
先輩のお古をもらうのが1番安く済みますが、つてがない場合はブックオフオンラインで探してみるのも一手です。
数千円クラスの本もワンコイン程度で入手できる場合があります。
(13) 医療費は学内の診療所を活用
学内に内科や歯科の診察が受けられる施設を持っている大学もあります。
互助会などに加入すれば無料で診察を受けられるケースもあるので、あれば活用しましょう。
(14) チャージ式キャッシュレス決済で浪費防止
節約に励んでも、結局は予算管理を徹底しなければ赤字が出ます。
そこで、チャージ式のキャッシュレス決済を活用しましょう。
現金と比較して引出手数料の節約にもなります。
予算管理の方法は簡単です。
1か月の生活費の予算を組んだら週ごとに振り分け、毎週決まった曜日にチャージして1週間その金額内でやりくりします。
おすすめは全国300万か所以上で使えるPayPayです。
キャンペーンも頻繁に行われており、店ごとに使えるクーポンの種類も多いので、割引やポイントバックを受けやすいです。
困ったときは周囲に相談を
コロナ禍で収入の下がる家庭の多い中、毎月授業料以外に8万円を捻出するのは大変なことで、仕送りをするご両親の苦労ははかりしれません。
一方で、たくさんの節約のヒントを紹介しましたが、大学生が1日600円で生活するのはやはり厳しいものがあります。
アルバイト先や奨学金制度、ご両親、友人、親戚、ゼミの担当教授、大学の学生課など、困った際には遠慮なく相談して、決して1人で問題を抱え込まないようにしてください。(執筆者:元地方テレビ局記者の主婦ライター 石田 彩子)