「賃金が上がらない、税金や物の価格は上がる、貯蓄の利息は下がる一方」です。
このような背景によってお金が貯まりにくいというのが現状です。
お金に対する不安ばかりが大きく膨らんでいる昨今ですが、物価の上昇の背景にはどのようなことがあり、私たちに今できるのはどのようなことなのかを考えてみました。
目次
身近な物・サービスの値上げ
油の価格が高騰しているというニュースが続いています。

計算してみると、1人当たりの1年間の食用油の消費量は約13kgです。1kg30円の値上げということは1人当たり年間390円の出費増ということになります。
4人家族の場合には、食用油だけで1,560円も出費が増えるということです。
最近は、
・ 2021年1月より火災保険料平均4.9%値上げ実施
・ 電気代値上げ1,000円超え、年間1万円超え
など、ざっと見るだけでも値上げのラッシュです。
薄く広く上乗せされているため気づかずにいたのですが、こうしてあらためて見るとはっとさせられます。
消費増税施行当時にも最初は店内飲食ではなく持ち帰りを利用していたものですが、これについても慣れていってしまうものなのでしょうか。
コンビニでよく買うジュースもアイスもお菓子もここ10年くらいで30円程値上がりしています。
さらに、30年前はラーメンが400円程度でした。今は800円ほどが一般的です。
消費税は平成元年に導入されて以来3%から5%、8%、10%と税率が上がってきましたが、徐々に上がることで感覚が麻痺しているようにも感じます。
身近なものが値上がりする、税金が上がるとなると、今までと同じ生活をしていてもかかる費用は今まで以上にかかるということになります。
値上がりの背景
このように同じもの、同じサービスであってもどうして値上がりが続くのでしょうか。
物価上昇の要因
(1) 原材料の高騰
日本の製造業の原料の多くは輸入に頼っています。円安が続くことで輸入コストが高くなると商品の値上げをせざるを得ないということも値上がりの一因です。
(2) 輸送コストの上昇
原油や天然ガスなどの供給不足によって輸送に必要な価格が上昇していることも身近な物価の上昇の要因です。
さらに、輸送業者の値上げやネット通販の需要の増加による人出不足で件費が上がっているということも考えられます。
(3) 需要の増加
日本は少子高齢化社会で人口も減っていると言われていますが、世界全体で見ると人口は増加傾向にあり、今後も増加していくと統計的には考えられています。
人口が増えていることで世界では食料やエネルギーの需要が増えます。物価の価格は需給によって決まるので、世界で需要が増えることで物価は今後も上がっていくことが予想されるのです。

税率はなぜ上がるのか
現在は「復興税」というものが取り入れられています。東日本大震災の復興のために使った税金を国民から徴収していると言い換えることができます。
税金を予定より多く使うことで国民の負担が大きくなると考えられるのです。
物価・税率上昇への備え
このように物価や税率の上昇続いていくものと考えられるのですが、私たちはどのように備えたらよいのでしょうか。
銀行預金では物価上昇への対抗が難しい
現在は、銀行に預金した際の利息が0.001%から0.1%程度です。
しかし、日本銀行は物価の安定のために物価上昇率前年比2%を目標に掲げています。現在100万円で買えるものを翌年には102万円にすることを目標にしているということです。
100万円を預金して利息が0.005%の場合に利息は50円であることを考えると、今年買えたものが翌年には買えなくなってしまう可能性があるということになるのです。
私たちは、この物価上昇を踏まえて資産形成する必要があります。
リスクを抑えた積立投資で備える
銀行預金には元本保証というメリットがあります。しかし、それだけでは物価上昇には太刀打ちできません。
今は、「iDeCo」や「つみたてNISA」などといった手軽に始められて非課税制度も受けられる投資があります。
まずは、リスクを抑えた積立投資を視野に入れる必要があると考えます。目的に合わせ少しずつ資産のポートフォリオを考えていきましょう。(執筆者:長谷川 祐子)