9月28日付の日本経済新聞・朝刊にて
の記事が掲載されました。
「検討に入る」段階ですので確定ではありません。
詳細については内容が決まり次第、今後報道されるでしょうが、特に厚生年金保険に加入している会社員の方にとっては、注意すべきニュースです。
目次
全員が国民年金(老齢基礎年金)を5万円受け取れる訳ではない
「国民年金5万円台維持へ」とありますが、国民年金(以下「老齢基礎年金」)は保険料納付済月数(免除の場合、免除の種類により計算異なる)により、年金額が決まります。
保険料納付済月数が少なくなればなるほど、その分だけ年金額は少なくなります。
20以上60歳未満の全期間、滞納なく保険料納付済月数が40年間ある場合、老齢基礎年金は、年77万7,800円(2022年度価額)になります。
月額6万4,816円で、2021年度と比べると0.4%引き下げとなっています。
「国民年金5万円台維持へ」というのは、現行の満額(全期間・保険料納付済期間)と比べての場合での話です。自動的に全国民が老齢基礎年金を5万円受け取れる訳ではありません。
国民年金(老齢基礎年金)は厚生年金加入者も受け取れる
記事では、
マクロ経済スライド(年金の給付水準を調整する制度)を老齢基礎年金は早期停止してそのことで年金額を維持する。一方で、帳尻を合わせるために厚生年金のマクロ経済スライド適用の終了を延ばす。(引用:9月28日付の日本経済新聞・朝刊)
とありました。
会社員(厚生年金の加入者)の方からすれば、何で自分が支払っている年金保険料を帳尻合わせに使うのか? と怒る人もいると思います。
しかし、会社員(厚生年金の加入者)の方も国民年金の第2号被保険者ですので、将来は老齢基礎年金も受け取れます。
今回の案は、老齢基礎年金の引き下げ幅を抑えようという検討ですので、会社員の方が受け取る老齢基礎年金額ももちろん引き下げ幅を抑えられることを意味します。
老齢基礎年金は全ての国民が受け取る老齢年金ですので、厚生年金の財源の一部分を国民年金の財源の一部分へ配分するとなると、特に、一定の高所得者の厚生年金加入者の影響はゼロではないと言えます。
今後、注視したいことは?
現時点では「検討段階」なので、今後の動向には注視しておきたいところです。
特に注視しておきたいのは2024年に次回の公的年金制度の財政検証が行われる予定です。
コロナ禍の影響も含め、今回の内容がどのように織り込まれているのか? をマスコミやネット上の内容だけでなく、厚生労働省の公表資料にてその内容を確認するようにしましょう。
厚生労働省のホームページにて確認できます。
詳しい内容だけでなく、前提条件となる数値も記載されています。
年金制度に詳しくないと思われるでしょうが、前提条件となる数値が現実的かどうかを確認しておくぐらいは必要でしょう。
今回の記事内容に関係なく、老齢年金の給付額の引き下げは避けて通れません。
その時に、高所得者の年金額の方が年金額も多くなるため、特に引き下げられる金額の方が大きくなると予想されます。
高所得なので将来の年金額も平均よりも多い、だから現状とセカンドライフのライフプランをその前提で組むのはリスクがあると言えます。
不安・恐怖を感じる必要はありませんし、年金額が短い期間で急減する可能性は低いですが、将来のこととして、公的年金に関するニュースには興味を持っておきたいです。(執筆者:CFP、FP技能士1級岡田 佳久)