近年、投資目的としても注目の高級ブランド時計。
創業68年、ブランド品リユースショップの買取の最前線から腕時計の相場事情を分かりやすく解説いたします。
目次
なぜ腕時計の相場が上がっているのか
コロナ後、世界的に外出制限がかかり、日本でもテレワークの推奨や不要不急の外出自粛など生活様式が大きく変わったことにより時計をする機会が減りました。
これにより時計メーカー各社は生産本数を減らしていると言われています。
そのため日本への輸出も減り、需要と供給のバランスから店頭に時計が並ぶことがなく、納品後すぐにお客様が付き、売れてしまうという状況が続いています。
また、過去30年間の中で類を見ないほどの円安の影響、それと関連したインバウンドの効果による訪日外国人らの影響で日本にある時計を買われてしまっていることも相場上昇の後押しとなっています。
さらに、昨今の世界情勢の影響を受け、金やプラチナの価格が上がり金無垢のケースやベルト仕様の物は地金としての価値も上がり高騰していることも要因と言えます。
主な時計の査定額例
メンズウォッチ
- ロレックス デイトナ 116500LN 定価170万円 → 440万円
- パテックフィリップ ノーチラス 5711/1A-001 定価300万円 → 1000万円
- オーデマピゲ ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.01 定価320万円 → 580万円
レディースウォッチ
- ロレックス デイトジャスト 279174G 定価110万円 → 70万円
- ロレックス デイトジャスト 279160 定価65万円 → 50万円
- カルティエ パンテール WJPN0020 定価385万円 → 250万円
※2022年11月執筆時点
なぜ正規店で買うことができないのか
先述の通り、人気のあるモデルは正規店で買うことができない状況が続いています。
投資対象としての転売が過熱、プレミア価格が付き定価の3倍以上の価格でブランド買取専門店にて売れてしまうため使用目的ではなく売るために購入をする「転売屋」や、毎日お店に通い購入しようとする「マラソン」などの行為が社会現象にもなっています。
人気モデルの購入方法について
換金性の高い人気モデルの購入方法についてはメーカーによりさまざまです。
過去の購入金額が何千万円以上の方に購入権が得られるといった顧客を優先としているメーカーや、購入できるまでに何年掛かるか分からないが予約のできるメーカーがあったり、入荷のタイミングに来店して早い者勝ちで購入することができるルールとまちまちです。
買取はどんな人が利用しているのか
地域やテナントにもよるが例えば銀座エリアでは30~50代の女性比率が高く、持ち込まれるブランド品はエルメスなどのいただきもののお財布やバッグといった換金性の高い物が多い。
百貨店内での買取に関しては外商付きの50~70代の方が多く、数十年前に購入したトレンドではなくなってしまったバッグやジュエリー、重たくて付けられない金無垢やダイヤモンドを施した宝飾時計など高価な物を持ち込むケースが多くなっています。
新宿や横浜では昨今のサステナブルな考え方からか若い方のご利用が多く、新しい物を購入する資金として、比較的使用感のあるルイヴィトンやグッチなどの革小物からオメガなどの腕時計を売りにくる方が多い印象です。
エリアによっても買取価格が変わることがあるため、少し面倒でも買取激戦区と言われているような銀座や新宿などに持ち込み、地元だけでなく広く査定を行うことをお勧めいたします。
少しでも高く売る方法について
査定額をより高くする方法として、ギャランティカード(シリアル番号などが記載してある証明書)や保証書、箱はもちろんのこと、腕時計は腕回りの調整などで出た余りコマ、バッグやお財布なら取扱説明書など、折れたり汚れたりしていても持参した方が高く売れる場合があります。
ロレックスなどの高級ブランド時計はギャランティカードのあるなしで査定額に数十万円の開きが出てしまうことがあります。
持ち込まれる理由の中で最も多い理由は断捨離で使わなくなったものが多く、次いで終活の際に出てきた不用品をお持ちになられるケースや遺産整理で捨てるに捨てられずお困りの方などさまざまな理由でお持ちいただいています。
もしかすると皆さんの身の回りにも高額な現物資産が眠っているかもしれません。
今後の値動きについて
ブランドにもよりますがロレックスをはじめパテックフィリップやオーデマピゲ、いわゆる時計メーカーのものはもちろんのこと、カルティエやエルメスなどのファッションブランドから販売されている腕時計も使用後でも購入から大きく価格が落ちることがなく売ることができます。
また、金・プラチナの相場上昇により無垢素材の時計は時計としての価値と地金としての価値で高価買取される可能性があります。
今後の相場状況はさまざまな世界情勢によって良くも悪くもなり得る状況です。
読者の皆さんの目で世界の状況を見極めて時計相場の値動きを楽しんで頂けたらと思います。(高級ブランド品買取勤務20年以上 宮田哲生)