2023年8月から、PayPayで他社クレジットカードが使えなくなります。
世間の反応が大きく驚かされますが、個人的には重要なニュースとは考えていません。
騒動の背景を想像してみました。
特定の決済について、過剰な思い入れを持ちすぎているユーザー、つまり決済ファンが多数いるのではないでしょうか。
キャッシュレスでお得ライフを追求するためには、特定の決済への思い入れなど、排除したほうがいいでしょう。
キャッシュレス「つまみ食い」のおすすめです。
目次
PayPay改悪に苦情を発しているのはどんな人?
PayPayで他社カードが使えなくなります。
ところでPayPayのヘビーユーザーであればすでに、他社カードなど使っていないはずなのです。
得られる特典がまったくないからです。
ただちに困るのは、次の人だけのはずです。
それと、同時にリリースされたチャージの裏ワザ制限に困っている人は確かにいるでしょう。
「月2度めのPayPayチャージに手数料が掛かる」という改悪も同時におこなわれます。
ただ、チャージというものはまとめて実施して、さして困らないものです。
裏ワザが完全に封印されなかっただけで十分ではないでしょうか。
そもそもドコモなど、d払いにクレジットカードチャージの手段がなく、裏ワザも存在しない制度設計になっています。
それと比べればまだ恵まれています。
いずれにしても、実害を受ける人がそれほどいないのに、改悪に対する反発が大きすぎる印象です。
ちゃんと中身を見ましょう。
PayPayは、引き続きこういった用途でフル活用できます。
・ 地域の大型キャンペーン
・ クーポンの活用
・ 家族への送金と、家族(未成年でも)のPayPay払い
・ 小さな店舗での唯一のキャッシュレス手段(LINE Payでも支払える)
ただ、これ以外のシーンにおいて、PayPayで支払うことの独自のメリットは、世間が期待するほど高いものではありません。
他のキャッシュレスの出番も当然あるわけです。
この点次に見ていきます。
キャッシュレスはいろいろ使おう
経済圏という言葉が流行るようになってからというもの、多くのキャッシュレスユーザーがどこかの経済圏に自ら囲い込まれるようになりました。
携帯電話のキャリアがきっかけになる場合が多いでしょう。
いろいろ使うのが面倒でそうしているのは、理解できます。
ですが、「囲い込まれたほうがトクに違いない」と思っているなら、大きな勘違いというものです。
順に見ていきましょう。
特定経済圏に囲い込まれる必要はない
携帯電話に関して言うなら、契約は1社だけが普通です。
だからといって、共通ポイントやQRコード決済まで、すべてその系列の1種類だけ使う義理などありません。
筆者はドコモユーザーですが、大きく魅力を失ったドコモ経済圏はほとんど使わなくなりました。
ahamoについては、ドコモ経済圏を使わなくてもさしてデメリットにならず、格安スマホ各社と同様の位置づけと思って構いません。
むしろ、auスマートパスプレミアムに加入したためau経済圏をメインにしています。
将来的に携帯電話もau系列に替える可能性がありますが、固執はしません。
「経済圏に囲い込まれない」のがモットーだからです。
お得の度合いはあくまでもトータルで考えるべきです。
【関連記事】:還元率も改悪傾向、ドコモ経済圏(d払い、dカード、dポイント等)離れ クーポンにメリットを見つけお得を享受
特定経済圏に囲い込まれると機会損失を招く
還元率が下がる一方であったPayPayも、「あと払い」を使えば還元率1.0%と大きく盛り返してきました。
ですが、こればかり使っていると損します。
こればかり使う例がPayPayステップですが、「月30回以上かつ10万円以上」の利用条件で、翌月の還元率がわずか0.5%上がるだけです。
10万円も使って、金銭的価値は500円です。
趣味としてのPayPayステップに異論は唱えませんが、キャッシュレス効率を考えたときは、手を出さないのが賢明です。
d払いの「ステップボーナス」も同様です。
もっと他のキャッシュレスを使い、おトクを得られる機会を増やしましょう。
共通ポイントも、「どれを選ぶ」のは非生産的なので、全部使って全部ためましょう。
PayPayのポイント付与が買い物単位であることもお忘れなく
それからPayPayあと払いが還元率1.0%といっても、決済単位です。
決済額200円ごとに端数が切り捨てられるため、実はロスが多いのです。
ロスの少ないキャッシュレスとしては、次のものがあります。
・ モバイルSuica(ポイント付与はチャージ時)
・ 三井住友カード(月合計の請求金額ごと200円単位のため、端数があまり出ない)
キャッシュレスを幅広く使う基本方針
ここからは、キャッシュレス決済の手段を増やしていき、どう得をするかという基本方針を見ていきます。
キャッシュレスユーザーを階層に分けてみる
現在のキャッシュレス界、ご不快かもしれませんが、ユーザーに次のような階層ができていると感じます。
困ったことに、下のほうにいるのに、自分ではわりと使いこなしているつもりの人も多そうです。
キャッシュレス上級者
・ クーポンや還元キャンペーン等、あらゆる状況に合わせ最適キャッシュレスを選べる(クレジットカードの組み合わせも重要)
・ 状況に合わせ決済を選ぶが、使っているのは2~3種類
・ わりと同じ決済に固執する(ステップボーナスにもチャレンジ)
・ 「QRコード決済は使いづらいしお得でない」と主張し、クレジットカード決済している
・ 1種類の決済と、現金を併用
キャッシュレス初心者
マネーの達人で日々情報を仕入れている人なら、ぜひ上を目指したいものです。
クレジットカードだけ使っていてもダメです。
あらゆるお店で決済できるわけではありませんし、クーポンもなければ、大きな還元もありません。
つまりチャンスをことごとく逃しています。
増やす決済候補
PayPayオンリーの人を例に取ると、次の決済ぐらいあったほうがいいでしょう。
・ モバイルSuica
・ 楽天ペイまたはau PAY
PayPayカードを持っているなら、これをモバイルSuicaのチャージに使うのもおすすめです。
1.0%という、直接決済と同じ還元率でチャージ可能です。
それから、第2のQRコード決済としての、楽天ペイかau PAYです。
楽天ペイを使うなら、楽天カードはほぼ必須です。
それからau PAYも、本来ならau PAYカードを持てばいいのですが、このカードでau PAYにチャージしてもポイントが付きません。
auユーザーならau PAYゴールドカードでもいいのですが、そうでないならOrico Card THE POINTなどおすすめです。
楽天ペイは、楽天カードから楽天キャッシュにチャージして決済に使うことで還元率が0.5%上がります。
チャージして使うau PAYの場合も還元率が同じように上がり、さらにPayPayと異なるクーポンがあってお得の範囲がすぐ広がります。
キャッシュレス決済に囲い込まれず、主体性を持って使いましょう
特定のキャッシュレスに対するファン心理が働くと、自分と関係ないサービス改悪であっても非難したくなるのかもしれません。
数多くの決済を使いこなしていれば、多少の改悪はさして気になりません。
PayPayも今後も役に立ちますし、他のキャッシュレスも最大限活用しましょう。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)