先日、シンガポールで長く働いていた人とお話をする機会があり、社会保障制度のことをうかがいました。

 日本の仕組みにどっぷり使っている者からすると「なるほど・・・そんなやり方もあるのか」という感想。

 そもそもシンガポールには、おおざっぱにいうと、公的年金や公的医療の仕組みがないんだそうです。

 その代わり、一定以上の収入のある個人の給与額の20%を政府が強制徴収。会社からも、その人の給与の約15%を政府が徴収します。べらぼうな金額を強制徴収しているワケです。

 個人の給与額の約35%を徴収して政府は、そのお金を個人別に管理して運用します。そして、2.5%超の利率で非課税の利子を個人に約束します。個人は自分の積み立てたお金の運用残高がいつでもインターネットで確認できる。

 積み立てて貯まった自分のお金は、自分の老後の生活資金や医療費用などに充てることができます。

 つまり、シンガポールの仕組みは「積立方式」なんですね。
 自分のお金が自分に戻ってくる仕組みです。

 政府がムリヤリ強制徴収をするのは、いくら自助努力を訴えても、国民みんなが、一度受け取ったお金を老後に向けて自主的に備えるなんて、思っていないからでしょう。・・・確かに、真理です。

 この仕組みを平たくいうと、「みなさんのお金を政府に出しなさい。運用しあげます。その代わりに優遇を設けています。お金は一定の条件でしか引き出すことができません」というもの。

 日本の年金の仕組みも強制加入ですが、「世代間扶養」の考え方で運用されています。現役世代の人たちが支払った保険料は、その時代の高齢者の年金として支払われます。医療制度もそうですね。自分で積み立てたお金を自分自分で使うんじゃない。積み立てたお金は他人のために使われます。

 そして、足りないお金は税金で補填される。この税金も、おもに現役世代のフトコロから出ています。

 日本では、少子高齢社会のあおりで、この「世代間扶養」の仕組みがキシんでいます。今の高齢者は自分が支払った以上の年金を受け取っていますが、若い人たちは自分が払った金額をも受け取れないかもしれない。

 シンガポールの年金制度のいい点は・・・・

・国が税金を使わなくていい。納税者の負担が少ない。
・支払った保険料総額よりも将来受けとる額が少なくならない。
・保険料の未納がない。
・2.5%超の利回りを政府が約束してくれる。

 ただ、長生きしたら、資金が底をつくかもしれない。
 お金が尽きたら、誰も保障してくれません。