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崩壊寸前の企業年金

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  良くサラリーマンの年金は3階建てと言われます。1階部分が国民全員が加入する国民年金、2階部分がサラリーマンが加入する厚生年金、3階部分が企業が退職者に支給する私的な年金である企業年金です。その2階と3階部分が、もはや崩壊寸前となっています。

  2012年7月24日付けの日経新聞朝刊で、3階部分の企業年金が、膨らむ運用リスクを抱えきれず、退職者に決まった額の年金を配るのを断念する企業が増えたため、企業年金を取りやめる中小・零細企業が急増、企業年金の数は今春に1万9000と10年前より7割強も減った、と報じられています。

  2階部分の厚生年金も、同日の日経新聞夕刊で、会社員が入る厚生年金の保険料を2011年度に滞納した事業所の数は16万2735件となり、過去最高を更新したことが厚生労働省のまとめで分かった、と報じられています。

  1階部分の国民年金も、日本の財政赤字をこれ以上拡大させないために、早急な改革が必要です。OECD加盟国の4割が平均寿命が伸びるのに合わせて、年金支給開始年齢を67歳以上に引き上げ、イタリアとデンマークが長期的に69歳に引き上げることを検討している状況なので、世界最長寿国の日本は長期的に70歳以上に引き上げる必要があると思われます。

  サラリーマンの方と個別面談をさせて頂くと、皆さんが口を揃えて、「何とか厚生年金保険料を払わなくて良い方法はないでしょうか?」と相談されるのですが、残念ながら、サラリーマンである限り、給与天引きで強制徴収される厚生年金保険料の支払いから逃れる術はありません。どうしても厚生年金保険料を払いたくなければ、自営業者になって頂くしかないのです。

  現在の国民年金、厚生年金制度は、日本人の平均寿命が60歳ぐらいだった時代にできた制度です。平均寿命を越えた少数の高齢者を、多数の現役世代が支える制度は合理的と言えました。しかし、現代は、平均寿命が80歳の時代となり、想定以上の高齢者人口を、人口が減る一方の現役世代が支え続けなければなりません。

  現在の国民年金、厚生年金制度が、制度疲弊を起こしている、これは誰の目から見ても明らかです。消費増税は財政健全化のためのスタート地点に過ぎず、次こそは本丸の社会保障改革に本気で取り組んで頂かなければなりません。

どじょう首相殿、大いに期待しております!

《木津 英隆》
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木津 英隆

木津 英隆

謙信アセットコンサルティング(香港)代表取締役CEO 1974年3月9日生まれ、長崎県出身、1996年青山学院大学法学部卒。ロイター通信(香港)、米系格付け会社S&Pを経て、2009年より現職。所属IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)のGRANDTAG社はアジア各国に600名の資産運用コンサルタント、25,000名の顧客を擁する香港系大手IFAの一角。お客様のライフプランに沿って、元本確保を最優先とし、オフショア投資商品、個人年金プラン、貯蓄型生命保険、相続対策商品などをご提案。また、香港の優れた金融サービス、投資優遇税制、年代別資産運用方法などについて、初心者にも分かりやすい小口投資家向け「海外で作る自分年金セミナー」を各地で開催。皆様に信頼して頂ける資産運用コンサルタントとなることを目指して積極活動中です! 寄稿者にメッセージを送る

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