消費税率アップの影響で住宅需要が冷え込むことを懸念して、2014年から住宅ローン減税制度の延長、拡大が検討されようとしています。現在の住宅ローン減税は、自宅を住宅ローンを使って取得した人に毎年年末のローン残高×1%分の所得税を減税しようというもの。1年のみの仕組みではなく10年間続きます。

  例えば、今年の年末に3,000万円の融資を受けて自宅(一般住宅)を購入した場合、年末ローン残高3,000万円×1%=30万円の所得税が減税されます。そして、その後10年にわたってそれぞれの年末のローン残高×1%分の税金が安くなります。

  減税対象の所得税は、仕事をして稼いだなかから支払っている税金。所得税で減税できない部分は、97,500円を上限に、住民税から減税されます。減税の規模としては10年間で最大300万円ですので、とても大きな優遇策です。

  しかし、来年になると、今年より規模が小さくなります。一般住宅の場合、年末ローン残高の2,000万円までしか減税の対象にならなくなります。今年3,000万円にくらべ、1,000万円少なくなります。つまり、来年は、実際には年末のローン残高が3,000万円あったとしても、そのうちの2,000万円部分しか対象にならなくなるのです。2,000万円×1%=20万円。1年間の最大減税枠は20万円になります。

  そして、2014年、再来年にはこの仕組みはなくなる予定です。しかし、2014年4月から消費税率がアップします。住宅は大きな買い物。税率アップの影響額が大きい。なんとかしないと、増税前には旺盛な駆け込み需要が生まれ、増税後は、反動で需要が急速に縮む可能性があります。

  そこで検討されるのが、住宅ローン減税の延長、拡大。先日の新聞では、減税の規模は最大1,000万円、ローンに対する割合は2%、減税期間は15年、等と報じられています。案が固まるのは今年の年末。そして決定するのは来年の3月末くらいまでに。

  仮に報道の通りだとすると、年末ローン残高の上限は5,000万円。減税割合は1.3%程度。減税期間は15年・・・・・・くらいになるのでしょうか?これで減税額は最大975万円になります。ほぼ、最大1,000万円規模の減税という触れ込みとおりです。

  しかし、実際に上記条件で考えてみると・・・・・まず、5,000万円以上も住宅ローンを借りられる人はそんなにいないでしょう。相当収入の多い人以外は。より現実的なケースを想定し、仮に年末のローン残高が3,000万円の人がいるとしましょう。そうすると、初年度の減税額は、3,000万円×1.3%=39万円になります。

  減税は、所得税+住民税97,500円が上限ななので、この場合、所得税を毎年30万円くらい払っている人は、減税枠39万円をほぼ目一杯使うことができます。しかし、所得税の納税額がこれより少ない人は、減税の枠はあっても、実際には枠を使い切らないで終わってしまうことになります。納税額が少ない人とは、すなわち収入の少ない人です。

  消費税率アップが住宅マーケットに与える影響を抑えるための住宅ローン減税の拡大は、たくさんローンが借りられて、納税額も多い高収入の人に大きな恩恵がある仕組みになっているのです。

 ですから「最大1,000万円の減税!!」に踊らないようにしないといけません。この施策は、所得の低い人の税負担が重い消費税の逆進性を緩和するためのものではなさそうです。そもそもマイホームを取得しようという人は、低所得層にはあてはまらないのかもしれませんね。つまるところ、住宅ローン減税の延長・拡大は、「経済」のため。