3月ごろから新聞紙上にキプロス問題というコトバが頻繁に登場しています。今のこの上昇相場に水をさすような、ちょっと嫌な感じを持っている個人投資家の方から、懸念材料としてご質問をいただくことがあります。

  まず、概略をざっと確認しますと、EUに加盟しているキプロスという地中海に浮かぶ小国の問題です。EUのGDPのわずか0.2%にすぎませんが、この国に対する財政支援がすんなり運ばないことで、「欧州債務問題が再燃するのか」という不安があるわけです。

  かつてギリシアやポルトガルに対してEUが支援したのが800~900億ユーロ、それに対して、今回のキプロス向け支援はたかだか100億ユーロの救済規模です。にも関わらず、EUが乗り気でないのはどうしてか?2つの理由があります。

  第1に、キプロスはマネーロンダリングの温床になっているといわれているため、そして第2に、ロシア人の口座が多いからです。「なぜ、そんな国のためにEUのお金を使わなければならないのか?」「なぜEU加盟国でもないロシア人の預金口座をEUが助けなければならないのか?」という理由です。

  この支援がもたついているために、2012年の苦い記憶が蘇って、「また国の財政状況がクローズアップされるのでは?」ということです。ということは、今のリスクオン相場からまた安全資産へとマネーが回避し、リスクオフ相場へと相場の流れが変わるのではないか、と懸念されるわけです。

  これに対しては今はその懸念はないと思われます。なぜなら、やっぱり経済規模がそれほど大きくないことと、マーケットに免疫力がついているからという2つの理由が挙げられます。

  相場というのは、今までの経験則にあてはまらいことに対しては、オーバーリアクションを示します。こんな時は、急反発あるいは急落ということになりますが、2012年にもっと深刻なポルトガル、スペイン、ギリシャの財政問題を経験しています。

  それよりも、今は、米国や中国の景気の回復、各国中央銀行の超金融緩和政策によるマネーの余剰、そして日本経済への期待が膨らんでいるため、相場に対する下押し圧力は極めて限定的だと考えられます。

  相場は適応力が非常に強いんですね。