「売らない株式投資」が基本です。と以前のコラムでご紹介しましたが、本当に売らないのですか?と聞かれると、「実は売ります。」と答えます。。。

  ただ、決してホラ吹きではなく、「売らないことが大前提の株式投資」と考えましょう、と言うことです。株式投資成功へのスタートは間違いなく「売らない株式投資」なのです。

  補足すると、経済は日々動きます。また自分自身の判断に間違いが生じることもあります。このため、時には保有している株式を売ることもあります。ただし、一般的に言われている、株価が○○%上がれば売り。や、○○%下がれば損切り。などの考え方は「投資」にこだわった場合の株式投資、そして「売らない」ことを前提とした株式投資にはナンセンスな考え方です。

  売り時はいつ?との問に対し具体的で明確な基準がありますが、一言で表すと「投資の前提としていた条件が崩れてしまったとき」です。であれば、投資の前提条件がなければ売り時の判断ができないこと、そして、目指すべき目標が明確でなければ前提条件の設定ができないことがお分かりなると思います。

  このため、今回は売り時の話の前に「売らない株式投資」が目指すべきところをお話します。

「売らない株式投資」が目指すべきところ

  「売らない株式投資」の目指す所は、「将来に、自分だけの素晴らしい益利回りや、配当利回りを見て、ニヤッとすること。」です。

  例えば、企業Aの株価が1,000円、一株利益が100円になっていたとします。別の言い方では1,000円を投資することで、企業Aは株主のものになる利益を100円生み出し、プレゼントしてくれたことになります。この状態が益利回り10%です。

  数年後、企業Aの利益は順調に大きくなり一株利益は300円になりました。一方過小評価気味であった株価は、利益の増加とともに順調に上昇し4,500円になっていました。この時ネットなどでは企業Aの益利回りは300÷4,500=6.67%と表示されています。

  しかし、売らない株式投資を心がけていた私だけの益利回りはいくらでしょうか?

  私の投資金額は1000円で変わることがありません。一方、保有者に均一の利益を配分することが株式のルールなので、私が受け取る一株利益は300円。私だけの益利回りはなんと300÷1000=30%となります。

  配当利回りも同じように考えることができます。配当金額20円の企業Bに1,000円で投資をした場合、配当利回りは2%になります。企業Bは順調に利益を伸ばし、数年後に配当が80円になりました。一方の株価は4,500円となっていました。この時ネットには配当利回り1.78%と書かれ、特段、高配当銘柄との認識はありません。しかし。。。

  もう、頭のなかで計算はお済みですね?私だけの配当利回りはまったく異なる数値になっています。買ったきりずっと持ち続けているので、投資金額は相変わらず1000円。そして配当はどの株主にも平等に支払われるため、880÷1000=8%が私だけの配当利回りとなっています。

  20%の益利回りや、8%の配当利回りです。それが毎年毎年プレゼントされるのです。あなたはこの株式を売ろうと思いますか?果たして、この株式よりも素晴らしい資産を見つけることができますか?

  また、投資時に頑張って最優秀銘柄を選び出したあの夜の記憶が蘇っていることでしょう。そんななつかしい思い出もろともこの銘柄を売ってしまおうと思うでしょうか?

  当初からこだわってきた「売らない株式投資」がこの瞬間に「売るはずがない株式投資」に変わったのです。この瞬間を迎えることが「株式投資」における目標の一つです。

目標達成のための前提条件の設定方法

  目標が決まれば、次は目標達成のための前提条件の設定です。自分だけの、とんでもない益利回りを得るためには、一株利益が大きくなっていく、安定感のある企業を選び出し、あとは大きくなる様子を優しい気持ちで見守るだけです。もちろん割安なところで買わないと意味がありませんし、優しい気持ちで見守るためには、社会に役立っている企業を選ぶことも大切となります。

  自分だけのとんでもない配当利回りの獲得は難しくありません。配当は企業の生み出す利益の中から出されるため、利益が大きくなると配当も自ずと大きくなります。成長する企業とともに暮らしていると、気付いた時にはとんでもない配当利回りとなっています。

  今の時点でも高配当利回りとなっている銘柄を選択肢に加えると、目標の達成はより早まる可能性が高くなることも頭の片隅に知っておくと良いですね。

  長期投資は、結果的に長い期間の投資となることではありません。「売るはずがない株式投資」となる瞬間を待ちながら、長期間株主であり続けることです。それに適した銘柄を見つけることです。買って売って!買って売って!を繰り返す「株式を使ったトレード」では絶対にできない「投資」だけの素晴らしい点です。

  売り時を探るため、自分の選択基準を確認するためにも、数字で前提条件を明確にしておくべきです。残された作業は数値を明確にすることだけです。

  例えば、成長性を示すROEとよばれる指標が安定して15%となっている企業を探します。決算毎にブレは生じるものなので、基本的には持ち続けるが、ROEが10%を切るような事態になれば、目標の達成は難しくなるので売却しよう。そんな前提を決めてしまうのです。こうすることで、資産を大きく減らすことのない株式投資が完成します。

  その手法に間違いがなければ、株式投資は怖いものでもギャンブルのようなものでもありません。「売らない」、いや「売るはずのない株式投資」の実践で、株式投資を豊かな生活の助けとしましょう。