住宅を消費税増税前に買うのは本当に得なのか?

はじめに

  住宅ローン金利が低金利であり、消費税が5%から8%に増税されることから住宅の駆け込み需要が増えています。

  今、住宅を購入するのは本当に得なのでしょうか。

住宅購入のポイント

  住宅を購入するときには物件価格、税制、金利がポイントになります。この中で、金利が最も重要です。例えば、3000万円の住宅ローン(35年返済、元利均等返済)の場合、0.2%の違いでも、約130万円も総返済額が増えるからです。

物件価格について

  物件価格は需要と供給の関係によって決まります。消費税増税による駆け込み需要と投資家がインフレヘッジとして不動産に投資している事より、本年になってから価格は強含みで推移しています。1997年に消費税が3%から5%に増税された時、増税後物件価格が低下しています。増税後、需要が落ち込んだからです。

  今回に関しては様々な予測が表明されていますが、政府も増税後の需要の落ち込みを避けるため、消費税の引き上げを2段階にしたこと、住宅ローン税制の拡充を図っていること、インフレ傾向にあることなどから前回の消費税増税後の物件価格のような低下はないと考えます。

税制について

・住宅ローン減税

  2014年4月以降に入居した場合、住宅ローン減税(10年間の最大控除額)が現行の200万円から400万円に拡充されます。さらに耐震性や省エネ性に優れた認定長期優良住宅や認定低炭素住宅等に該当すれば、現行の300万円から500万円に拡充されます。

  ただし、この恩恵を受けるのは8%以上の消費税が適用される場合に限られます。また、ローン残高が10年間4000万円の方は多くないでしょうから、住宅ローン減税の恩恵をフルに受ける方も限られます。

・消費税

  消費税は商品を受け取る時にかかるのが原則です。税率は14年4月1日から8%に上がる予定です。但し、住宅に関しては特例があります。注文建築の一戸建て住宅の購入や大規模のリフォームの場合、13年9月末までに請負工事契約をしておけば、引き渡しが14年4月以降であっても税率は5%になります。

  新築マンションを完成前に購入契約し、内装を変える工事をしない場合は引き渡しが14年4月1日以降なら消費税は8%になります。畳などの一部内装を変える工事をすれば5%です。この他、消費税に関して誤解の多い点をお伝えします。

  まず、消費税のかかるのは建物だけだということです。分譲価格3500万円(土地2000万円、建物1500万円)の場合、消費税増税の影響は45万円(1500万円×3%)の負担増ということになります。

  また、中古物件など個人間の売買契約に関しては消費税がかかりません。このように住宅を購入する場合の消費税増税の影響は限定的です。

金利について

  一般的に住宅ローンの金額は大きく、返済は長期になるので、ほんの少しの金利の違いでも総返済額は数百万円も増減します。

  たとえば、住宅ローンを3000万円組む場合(返済期間35年、元利均等返済)、固定金利2%の総返済額は約4174万円ですが、2.2%では約4305万円と金利が0.2%違うだけで総返済額が131万円も異なります。このように消費税アップよりも金利上昇のほうが家計に与えるインパクトは大きいといえます。

  金利の予測は難しいですが、現在の長期金利は史上最低の金利水準なので、今後は上昇する可能性が高いと考えます。したがって、変動金利は避けたほうが良いでしょう。

  ただし、当面、金利が上がっても限定的と考えられます。景気が回復してから設備投資などの資金需要が生じるまでタイムラグがあるからです。また、日銀が今後長期国債も購入する予定だからです(債券価格と金利は逆の関係にある)。

住宅は買い時か?

  住宅購入するには低金利の今は良い環境にあります。金利が高い時に比べ、同じ返済額であれば、より高い物件を購入することが可能だからです。ただし、消費税が上がるからという理由だけで「駆け込む」必要はありません。物件価格や特に金利の動向なども含めてご自身のマネープランに合わせて、総合的に判断することがポイントです。

この記事を書いた人

新美 昌也 新美 昌也»筆者の記事一覧 (142) http://www.fp-trc.com

T&Rコンサルティング有限会社 代表 CFP資格保有
「誰でも気軽にお金について公正中立の立場でアドバイスを受けることのできる場を設ける。ファイナンシャルプランニングを普及し国民の幸福に寄与する。」という企業理念の下、法人顧問、個人のファイナンシャルプランニング、労働組合でもライフプラン講師、銀行でのFP相談、 保護者向け進学マネー講座、401K講師、執筆など多方面で活躍している。著書執筆多数。趣味は、読書、音楽鑑賞、海外旅行、ゴルフ、焼酎、株式投資。
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