こんにちは!国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。さて、ここにきてアメリカ経済が持ち直しをみせ、NYダウも終値で初めて1万5000ドルを突破しました。そこで今回は、今後の世界経済を占う上でも、アメリカの経済動向を観ていきたいと思います。

1.世界の経済予測

  まず最初に、世界経済の見通しを確認しておきたいと思います。4月16日にIMF(国際通貨基金)から発表された最新の世界経済見通しは、1月に発表された数値との修正幅を含め、以下のように変化しています。

<IMFによる主要国(地域)の2013年の経済見通し>
       今回  前回との修正幅
世界     3.3%  -0.2%
米国     1.9%  -0.2%
ユーロ圏  -0.3%  -0.2%
日本     1.6%   0.4%
中国     8.0%  -0.1%
インド    5.7%  -0.2%

  上記のことから、IMFの予測としては、

・世界経済は、減速傾向となっている
・株価は好調な米国だが、成長率は鈍化するとみている
・ユーロ圏は、マイナス成長になる
・日本は、上記の中では、例外的に経済が上向く
・中国、インドは、成長鈍化とみている

  といったことが伺えます。

  昨年から「日本とアメリカ経済は上向く」と予測していましたが、日本については、IMFも今回上方修正を行いました。

  一方、アメリカについては厳しい見方をしていますが、私はもう少し楽観視をしています。その理由は、住宅市場に“好転”がみられるからです。

2.米国の住宅市場

  アメリカ経済の“ターニングポイント”として、私は住宅市況の“好転”を指摘してきました。ここにきて、その改善のスピードが上がってきています。アメリカ連邦準備理事会(FRB)が発表した地区連銀経済報告によれば、住宅・商業用不動産について、「著しく改善した」という強い表現となっています。大半の地区では、住宅販売が伸び、在庫が不足してきており、住宅価格の上昇がみられはじめました。

  また、実際に統計数値をみても、3月の住宅着工件数(年率換算)は、前月比7.0%増の103万件と、2008年6月以来の100万件の大台を超えました。それに伴う家具などの耐久消費財を含む住宅関連全体の生産額は、GDPの20%を占める為、住宅販売が伸びることによる波及効果は大きいと言えます。アメリカの住宅市場の“好転”は、上記を観る限り、本格化していくと予想できます。

3.今後の経済動向

  次に、この1-3月期のアメリカの実質国内総生産(GDP)の速報値は、以下のようになっています。

           金額(億ドル)  増減率
国内総生産    137501   2.5%
個人消費支出    97400   3.2%
民間設備投資    15303   2.1%
民間住宅投資    3978   12.6%
政府支出      24326  -4.1%

  上記をみる限り、住宅投資以外に、GDPの約7割を占める個人消費も伸びていることから、景気は回復基調と観て良いと思います。

  ただ懸念材料もいくつかありますので、挙げておきたいと思います。まず国内問題としては、

・社会保障税の減税打ち切りによる個人消費への影響
・連邦歳出の強制削減の影響

  が考えられます。また、国外の問題としては、

・欧州危機などの海外情勢
・北朝鮮、イラクの核問題

  などが挙げられるでしょう。

  昨年、オバマ氏が掲げた基本政策は、「ものづくりの国内回帰策と輸出促進による雇用の拡大」を図るというものでした。その意味では、5月3日に発表された米雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を上回ったことにより、株価が過去最高を更新した要因となっています。

  今後の動向としては、まず戦争などの突発的な出来事が回避されれば、全体として、経済は予測以上に上向いていくと、個人的には観ています。そして、住宅市況が“好転”を見せる中、今後のアメリカ経済の注目点は、消費にも大きな影響を与える「雇用状況の改善」が重要な“キーワード”となっていくでしょう。