約半数の大学生が「奨学金」を利用 そして滞納が社会問題に
日本で大学に進学しようとすると、4年間で国立大学で約250万円、私立文系で約450万以上のお金がかかります。自宅から通うならまだマシです。自宅外から通うことになれば、毎月の仕送りがさらに発生することに。
2013年4月に東京私大教連が発表した「私立大学新入生の家計負担調査」によると、自宅外通学者が入学までに払う住居費は約56万円、4月から12月の仕送り額は約84万円にもなりました。
住居費は、新たに物件を借りる時の敷金、礼金、家賃、生活用品費です。仕送り額の56万円を9カ月で割ると1ヵ月当たり9万3,000円ほどですが、新しい生活が落ち着いてからは仕送り額も落ち着き、6月以降の平均でみると、8万9500円となり、過去最低を更新したということです。
このような金額、いくら教育費を準備していたとしても、平均的な収入の家庭に払える金額だとは思えません。そこで「奨学金」を利用する人が増え続けているのでしょう。
日本学生支援機構の「学生生活調査」(平成22年度)によると、奨学金の給付を受けている大学学部生(昼間部)は、平成20年度調査より7.4ポイント増加し、50.7%。約半数の大学生が「奨学金」を利用しているそうです。
大学を卒業しても就職が困難だったり、非正規雇用が増えているこの時代、奨学金の滞納が社会問題となっています。「奨学金」と言っても「負債」です。責任を持って返還していかなければ、次に借りようとしている人たちにつなげていけなくなるのです。
返還の必要のない「給付型」の奨学金を受給できれば申し分ありませんが、まだまだ数が少なく、大部分の人は返還しなければならない「貸与型」を利用することになるでしょう。
奨学金の利子を減らせる「奨学金利子補給制度」をチェックしよう
そこでチェックしておきたいのが、居住している自治体や入学する大学に、「奨学金利子補給制度」がないか?ということです。「奨学金利子補給制度」とは、有利子で借りた奨学金の利子を、自治体や大学が一定期間補給してくれるものです。
例えば、三重県の場合経済的な理由により大学・短大における修学が困難なため日本学生支援機構の有利子奨学金、銀行等による教育ローンの有利子の貸付金を借りた方に対して、返還した利子の全部または一部を補給しています。
もちろん、所得制限があり、世帯人数が4人の場合、世帯所得が480万円となります。その他の条件をすべて満たした場合、奨学金やローンの返済を始めた年から10年間、返還した利子を上限3%まで補給してくれるのです。(ローンは借入金額50万円までにかかる部分) 同様の制度は茨城県神栖市、富山県立山町等にあります。
また、大学が行う利子補給制度は、大学が提携している金融機関で教育ローンを利用した場合に限られることが多いのですが、札幌大学では日本学生支援機構の第2種奨学金でも補給対象となっています。
国公立大学では入学料、授業料の全額免除、半額免除の制度もありますし、私立大学でも大学独自の制度を設けているところがたくさんあります。事前に情報収集をしっかりして、少しでも学費の負担を減らしていきましょう!