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日本株式のインデックス投資、本当は長期投資には適さない

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日本株式のインデックス投資、本当は長期投資には適さない

  これからの豊かな生活のために、株式を使った資産形成を心がけることは大切なことです。デフレを抜け出しインフレ(うまくいけば)景気回復の局面になるのであればなおさらです。また、その時に、プロを相手にする短期勝負を仕掛けるよりも、本職と併用できる長期投資を心がけるべきでしょう。

  であれば、「長期投資に適する運用先って何だろう?適さない運用先って何だろう?」。投資前にこんな発想をすることも大切です。このようなことをよく考えずに、すぐに投資!とのケースも多く見られますが、それではいけません。

  また、そもそも「長期投資に適する運用先をどのように判断すればよいのだろうか?」これが分かっていなければ、優越の区別すらできませんね。投資対象の優越判断について考えてみましょう。

長期投資と短期投資の違い

  以前にもご紹介しましたが、株価は常にその構成要素で考えることが大切です。利用するのは、誰もがご存知の「PER=株価÷一株あたり利益(=EPS))です。この公式は、よく見目にする、割安・割高を判断する公式ですが、このままだとあまりにも勿体ないので、この公式を変形することがポイントでした。

  この公式の変形は ⇒ 「 株価 = 一株利益 × PER 」

  ここから分かることは、株価は、企業が生み出す利益と、市場参加者の心理を表すPERの掛け算で構成されていること。

  左側の一株利益は長期的な動きとなり、右側の市場心理は非常に短期的な動きとなること。左側はシンプルな決定要因であるが、右側の市場心理は、投資先企業に関すること、マクロ経済に関すること、マーケットの要因に関すること、これらすべてにアンテナを張り巡らす必要がある複雑な決定要因となることなどです。

  また、長期投資をする際には掛け算の左側の一株利益の推移に注目して、この上昇が株価に与える影響を利用しましょう。短期的な投資においては、掛け算の右側のPERが株価に与える影響を利用した投資手法としましょう。このような点も導かれます。

  長期投資にこだわると(=長期的な視点で見ると)、掛け算の右側の動きは目先のものばかりであり、無視をしても良い要素となります。反対に、短期投資をする際には、掛け算の左側の一株利益の動きはまったく関係のない要素となります。長期投資、短期投資は根性論や結果論でなく、投資開始時に掛け算のどちら側に注目するのかに違いがあるのです。

  長期的に左側の一株利益が大きくなって、それに伴い株価が上昇する。この運用手法に適するもの、すなわち一株利益が大きくなる可能性が高い投資先が、長期投資に適した運用先

  反対に、この過程を利用できないので、仕方なく短期の市場心理の上げ下げに合わせて売買するしかない手法が短期投資なのです。

  まとめると、一株利益が大きく増える投資対象は長期投資に適する投資対象で、増えない投資対象は適さない投資対象です。

インデックスにおける一株利益の推移

  では、話をタイトルのインデックスに移しましょう。

  インデックスとは市場全体の動きに連動させるもので、日本株では日経平均株価やTOPIX。アメリカ株であれば、ダウ平均やS&P500などが有名です。このようなインデックスにも、個別株ほど明確ではありませんが、一株利益やPERの概念が一応あります。

  となれば、長期投資を行う際の着目点は個別株と同じです。一株利益が大きくなれば、長期投資に適する資産。ならなけらば適さない資産です。

  日本株のインデックスとして、東証一部上場前企業の平均一株利益の推移、及び市場参加者の心理状況を示すPERの動きをグラフにしました。短期勝負でなく、長期的な動きの中で判断するため、バブル前の87年4月からのデータをグラフにしてみました。
(出所:日本株は当該期間に対応する東証統計月報より。米国株はStandard & Poor’s for current S&P 500 Earnings.及びRobert Shiller and his book Irrational Exuberance for historic S&P 500 Earnings.より)


  この結果、

  「順調に増えているとは言えないね。」
  「安定してないね。」
  「赤字のときも何度かあるね。」

  となることに異論はないと思います。

  であれば。「日本株式のインデックスは、長期投資に適する資産ではない!」となり、これまで誰も教えてくれなかった、ショッキングな結果となります。。。長く保有してもその努力が報われることはない、「長期投資をしましょう。」との綺麗事では解決しない、ショッキングな結果となります。

  しかし、こんな日本株インデックスも一株利益の伸びが関係しない、短期勝負としての投資先にはなり得ます。短期で勝負したい方はどうぞ勝手に日本株インデックスを有効に活用して下さい。アベノミクスうまくいけばいいですね。日本が明るくなればいいですね。私も陰ながら心の中で応援します。

  また、日本株すべてがダメとは言っておりませんので、この点は誤解のないようにお願いします。「取り敢えず分かりやすいインデックスで・・・。」が通じない、厳選が必要な市場であると言うことです。業績の良い個別株を厳選すれば株式投資の未来には明るい光が差し込んでいます。これからの資産形成には株式投資が最適!に間違いはありません。

  しかし、インデックスに投資をすることは、「ブレの大きなPER、将来の予想一株利益が見つからない、割安さの判断ができない」などの点も併せて、長期投資には適さない資産なのです。

  分かりやすいことは言うまでもありません。しかし、「長期投資においてもっとも大切なもの(=一株利益の拡大)を失うことと引き換えに手にした分かりやすさ」であることは知っていて下さい。

アメリカのインデックスは?

  じゃあ、アメリカはどうなの?もちろんそんな疑問が湧いてくると思います。同じように87年4月以降のS&P500の一株利益(=EPS)とPERの動きをグラフにしました。



安定感はありませんが、また、リーマン・ショックの後は落ち込んだ時がありましたが、一応は右肩上がりに一株利益(=EPS)は伸びていると考えられます。まあ合格点でしょう。となると、

インデックス投資がどうこうではなく日本の株式市場が、良い投資先の厳選をより必要とする市場である

と言えるのでしょう。


  株価は適当に決まるものではなく、特に長期投資においては、上がるべきして上がる根拠があります。値上がり実現可能性の低い日本株インデックスに、アベノミクス任せの期待をするよりも、少しでも可能性の高い厳選銘柄を長期投資に利用しませんか。

《山副 耕一》
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「長期個別株投資」推奨ファイナンシャルプランナー メイキット有限会社 代表取締役 京都府在住。関西大学経済学部卒業後、独立系FP会社に入社。平成7年メイキット有限会社を設立。現在に至る。FP資格講座や経済セミナー講師業務、原稿執筆などを行う中で、現在は「投資」としての「長期個別株投資」の普及活動を中心に活動中。「株式投資」には、本来の意味である企業への「投資」と、株式を使った「トレード」が併存するが、後者の情報やセミナーばかりになっていることが現状。これを少しでもバランス良くするための情報発信をすることが天命と考えている。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士 寄稿者にメッセージを送る

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