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視点をほんの少し変えるだけで、株式投資は簡単になります!

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視点をほんの少し変えるだけで、株式投資は簡単になります!

PER、PBRはご存知ですか?

  株式が割安状態にあるのかどうか?これは、株式投資の成功のためにとても重要なポイントです。この点(割安さ)を判断する指標の一つにPERPBRがあります。

  株式は、一株利益とよばれる基本部分(コアの部分)がある一方、先を見越した売買がなされる過程でコアよりも大きな価格となっていきます。コアの部分の大きさ、そして、どれだけ先を見越した価格となっているのかは、上場しているすべての銘柄ごとに異なっているため、株式の割安さは表面的な株価の高低でなく、コアの部分からの膨らみ具合で判断します。

  つまり、表面的な株価が安いから割安!ではなく、コアな部分からあまり買い進められていないので割安!となります。

  この考え方に基づいたものが、株式投資の世界には頻出のPERそしてPBRです。基本的には同じ考え方ですが、コアな部分を企業が毎年産み出す一株利益(=Earnings)としたものがPERであり、公式は「株価÷一株利益」。一方、コアな部分を企業の帳簿上の価値である一株純資産(=Bookvalue)としたものがPBRで、公式は「株価÷一株純資産」となります。

  もうお分かりですね。PERのEはEarningsのE。そしてPBRのBはBookvalueのBを表しています。ちなみに、両指標ともにPはPrice=株価、RはRatio=倍率、比率です。

  2つの指標は似ているのでややこしいとも言えますが、2つ並べて覚えると、数値が小さければ割安。大きければ割高の点も同じであり、かえって覚えやすいのではないでしょうか。

PERが何か変?

  ここまでは全く問題ありません。2つとも株式投資に非常に役立つ大切な指標です。しかし、これらの指標を日本語にした時に何か変?になります。

  PERを日本語にすると「株価収益率」、一方PBRは「株価純資産倍率」となります。じっくりと眺めて下さい。言葉を一つ一つ確認して下さい。どこか変ではないですか?

  そうですPERが変なのです。変な箇所は、

(1)率となった場合、単位は普通○○%ですね。しかし、PERは○○倍とよびます。

(2)RはRatioであり、Rateではありません。Ratioを翻訳しても「率」の意味はありません。

(3)コアな部分に何を利用するのか、だけが異なるPBRの日本語は株価純資産倍率。ちゃんと「倍率」になっている。

  いかがですか?変でしょう。特に①は顕著です。PERは株価が一株利益の何倍になっているのか。何倍まで先を見越されて買い進められているのか。何倍まで市場参加者が熱くなっているのか。などを表し、単位は○○倍です。○○%とは決して表しません。いつの時期か分かりませんが、初めて日本語に翻訳した人が間違ったのでしょう。

  初めて翻訳した人が間違えたために、現在の株式投資教育においてはPERとPBRはコアな部分の基準が異なるだけで、全く同じ考え方であることがうまく伝えられていません。株価は常にコアな部分との比較で考えるべきなのですが、この点が疎かになっています。株価で判断せずにPERやPBRで判断すれば明らかな割高状態だと言うことが分かるのに、何も考えずに雰囲気だけで飛びついてしまっています。

正しい日本語訳を使いませんか

  このように、明らかな間違いから、さまざまな弊害が引き起こされています。であれば、直せば良いのに・・・。直せば、多くの個人投資家の株式投資における理解が進むのに・・・。残念でなりません。

  以上の理由から、私はPERを株価収益率とよばずに、「株価収益倍率」と呼んでいます。みなさんもPERの正しい使い方である「株価収益倍率」と呼ぶようにしませんか。あと3年かかるか5年かかるか分かりませんが、「PERの日本語は「株価収益倍率」です。」と株式関連書籍に普通に書かれている将来を夢見ながら。

  視点をほんの少し変えるだけで、株式投資は簡単になります。

《山副 耕一》
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「長期個別株投資」推奨ファイナンシャルプランナー メイキット有限会社 代表取締役 京都府在住。関西大学経済学部卒業後、独立系FP会社に入社。平成7年メイキット有限会社を設立。現在に至る。FP資格講座や経済セミナー講師業務、原稿執筆などを行う中で、現在は「投資」としての「長期個別株投資」の普及活動を中心に活動中。「株式投資」には、本来の意味である企業への「投資」と、株式を使った「トレード」が併存するが、後者の情報やセミナーばかりになっていることが現状。これを少しでもバランス良くするための情報発信をすることが天命と考えている。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士 寄稿者にメッセージを送る

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