今月より受付がスタートしたNISA(少額投資非課税制度)ですが、この制度の目的は「貯蓄から投資」を促す事です。ですから、節税を主たる目的とするのではなく、「新規口座開設者には、一定期間税金を免除します」という新規顧客開拓キャンペーンだと思った方がいいです。

 この制度が非課税としているのは配当金・分配金などの配当所得と、売却した時の譲渡所得です。そして非課税期間が無期限ではなく、限定されていることに問題があります。

1.配当金・分配金の問題

 投資をする時、私たちはより収益の見込める銘柄に投資します。株主資本の10%の利益を出す会社の場合、利益を配当金でもらっても、普通預金で年0.03%の運用しかできません。配当せずにそのまま会社の資本に組み込んでおけば、年10%で運用したのと同じになります。資金繰りの厳しい会社を除けば成長の見込める企業ほど投資効率がいいので、配当率は低いのです。

 配当金の非課税枠を狙うには、低成長かつ安定成長で利益が多く(配当する以外お金の使い道がない)、株価の安定した銘柄を探すしかありません。

 投資信託の分配金では、特別分配金(元本払戻金)は運用益ではないので、もともと税金がかかりません。また、グローバルソブリン投信のブームの時には、毎月分配型投資信託の欠点として、毎月分配しては、複利効果が得られないとして集中攻撃されていました。

 そして、対比としてお奨めの投資信託を、無配もしくは分配までの期間が長いモノとしていました。つまり良い投資信託とは、分配金の非課税枠を、なるべく使わない投資信託という事になります。

 それでも分配金の非課税枠を狙うには、必ず分配金の基準日に前年の基準価格を上回っている投資信託を選ぶ必要があります。

 高配当銘柄、必ず値上がりしている投資信託、どちらも易々と見つけられる銘柄ではありません。むしろそんな銘柄の存在自体疑います。

2.譲渡益の問題

 非課税枠を使うためには毎年売却を前提とした投資をしなければなりません。投資は元本保証の商品ではないので、常に売却価格が購入価格を上回るとは限りません。

 皆が毎年の非課税枠を狙って投資行動をすると、毎年年初に株価が上がり(購入)、年末に株価が下がる(売却)ようになります。そして値動きがパターン化されると、値下がりする前に売れ!と「より早く動いた者の勝ち」のゆがんだ市場になってしまいます。

 これではデイトレーダーのような運用手法になってしまいます。

 この制度を有効なものにするためには、非課税期間の恒久化が必要です。期限を設けなければ、売却益が出るまで売る必要がなく、そのまま保有していられるからです。

 非課税を主な目的にすると、ほぼ不可能な運用・歪で不自然な運用になってしまうことが、お分かりいただけたと思います。

 結局、「非課税枠は使えたらラッキー」位の気持ちで、「あくまで主な目的は資産運用」のスタンスでこの制度をご利用ください。資産運用を始めるにはいい機会になると思います。(執筆者:田島 稔之)