「老後資金準備の3点セット」といっていいかもしれません。アベノミクスで成長戦略がさまざま議論されていますが、金融分野における案が徐々に出てきました。政策は予算を伴うことが多く、予算は税金との関係が深いことから、来年度以降の多くの政策は、年末の政府・与党の税制改正大綱の取りまとめに合わせて具体化されていきます。

 金融分野で今後できそうなのは、「日本版IRA(個人退職勘定)」というもの。似たようなテイストのものが、過去にもありました。

「日本版401K(確定拠出年金制度)」
「日本版ISA(NISA<少額投資非課税制度>)」

 「日本版401K」というのは、60歳まで毎月の掛金を運用し、60歳以降に受け取ることができる年金の仕組み。2001年にできました。

 会社が個人に掛金を支払う「企業型」と、個人が自分で掛金を払う「個人型」があります。60歳まで引き出せない代わりに大きな税制優遇があり、つい先日も、わが国最大規模の9万人の従業員を持つNTTグループが、来年4月から導入することを決定しました。国民年金や厚生年金を補強する企業年金(退職金)の仕組みとして、ここ10年で急速に加入者が増やしてきました。

 企業型に加入している人が圧倒的に多いことから、この仕組みを一言で言うと、従業員が、会社が支払う掛金を元手にして、自分の退職金を作る制度ということができます。

 いっぽう、「日本版ISA(NISA<少額投資非課税制度>)」というのは、私たち個人が、税制優遇を受けながら、長期的(5年間)に資産運用ができる仕組み。

 まだ導入されておらず、来年から。私もさっそく、口座開設の申し込みをしましたが、先日住所変更をしたために手続きがややこしく、難儀しました(今年の1月1日時点の住所が確認できる住民票が必要なのです)。

 来年1月から、購入する投資商品も決めており、買い方も決めており、あとは、運用資金をどう調達してくるか?(これがいちばん大事)にかかっています。

 「日本版401K」と違って、「日本版ISA」は老後の資金準備という目的に限定した仕組みではありません。個人の貯蓄を投資に振り向けさせるためのものです。しかし、制度上長期運用が求められています。非課税運用期間は、現在5年とされていますが、まだ制度が始まっていない今の段階で、もう、非課税運用期間の延長が議論されています。

 非課税期間が長くなれば、おのずと、私たちがこの制度で運用する目的は、老後資金準備になってきます。

「日本版IRA」とは

 さて、今回のテーマ「日本版IRA」というのは、「個人退職勘定」と言われるもの。アメリカでは1974年に導入されているんだそうです。401K(確定拠出年金)が「企業年金制度」なのに対し、IRAは「個人年金制度」。

 自分で老後資金を準備するのであれば、税制優遇を設けて、効率的な財産形成ができるようにするものです。その代わりに、一定の年齢よりも前に引き出せないとか、引き出すとペナルティが課せられることなどがあります。

 税制優遇の規模次第ですが、この仕組みがわが国に導入されれば、またひとつ、貯蓄から投資に向かうお金が増えていくことでしょう。

 私たちの老後資金を効率的に準備する仕組みは、次のような3階建てになります。

1F:「国民年金」、「厚生年金」の国の年金

2F:「退職一時金」、「確定給付年金」、「確定拠出年金」などの企業年金

3F:「日本版ISA(NISA)」、「日本版IRA」などの自助努力

 これらすべてに共通する事項は、投資資金は「積み立て」られること。元本保証のない金融商品で運用されること。

 そう、国は、安全第一の貯蓄から投資へ私たちのお金を振り向けよう誘導しています。さらに、投資で失敗する人を少なくするため、収益を上げる確率を高める資産運用方法である「ドル=コスト平均法(定時定額購入法)」を、私たちに求めています。