2014年から少額投資非課税制度(NISA)がいよいよスタートしました。この制度は一言でいうと、年間100万円、5年間で最大500万円までの投資について、譲渡益、配当、分配金が非課税となる制度です。

NISAに関する一般論

 NISAでは、5年間(ロールオーバーにより最大10年間)投資が可能である反面、その年に使わなかった非課税枠を翌年以降に繰り越すことができず、途中売却した枠は再利用することもできません。こうした特徴があるため、一般論としては、値動きがあまり大きくなく、安定した収益が得られるようなタイプの商品で長期運用するのが基本になります。

 実際、各社がNISA用の戦略商品と考えているのは、複数の債券や株式に投資するバランス型の投資信託です。株式のような価格変動の大きい金融商品に投資する場合は、リスクをコントロールするために複数の銘柄に分散投資をするのが鉄則とされていますが、100万円という枠を考えると、直接株式で分散投資をするのは難しいですし、100万円ピッタリで投資するというのも無理があります。

 その点、投資信託ならば少額で分散投資ができ、金額を決めて買えるので、非課税枠を有効に使えます。また、相場状況に応じて資産配分を見直すので、自分で売買をしなくても機動的な運用が可能なため、投資に慣れていない方には王道でしょう。まとまった投資資金がない場合は、一定金額ずつ購入していく積立投資(ドルコスト平均法)も選択肢になります。これは多くのFPがいっていることですね。

あえてハイリスク・ハイリターンを狙う戦略

 私は、あえて非課税のメリットを最大限活用するために、ハイリスク・ハイリターンの戦略をとるのもありだと思っています。5年間(10年間)運用できるからといって、5年間持ち続けなければいけない理由はどこにもありません。今の株式の相場状況ならば、短期間で2、3割、場合によっては倍以上になる銘柄も少なくありません。

 5年、10年運用して数パーセントを狙うより、10年の猶予期間のうち、どこかの時点で大きく値上がりするタイミングを待って売却する方が、リターンが高く、非課税のメリットは大きいのではないかと考えるからです。

 ただし、この戦略をとるには、それなりの条件があります。以下4つです。

(1) 仮に値下がりしても生活に支障のない資金であること
(2) ある程度の投資経験があること
(3) 得意の銘柄を持っていること
(4) 売買のタイミングにルールを持っていること

 です。(1) と(2) については、今さら触れるまでもないので、(3) と(4) についてお話しします。

NISAで買う”銘柄選び”と”売買タイミング”

 株式での投資経験があれば、自分の得意ジャンル、得意な銘柄を何種類かは持っているはずです。どの証券会社でも銘柄を登録して株価や各種投資指標をチェックできるサービスがありますから、NISA向けの戦略株リストとしてタイトルをつけて数十銘柄ぐらいを登録し、観察してみるのです。

 登録するのは、雑誌やいわゆる専門家のおすすめ銘柄ではなく、自分がよく知っている得意銘柄のうち、あえて変動が大きい銘柄、大化けしそうな銘柄を選びます。あまり多くのデータを見ても判断しにくくなるので、日々の関連ニュースと、株価チャート、PBR、PER、アナリストの予想をカバーしておけば十分だと思います。

 その上で、これは割安だと思えるタイミングで購入します。1年ぐらいのチャートを見て、自分なりの株価のボックスがイメージできていれば判断しやすいでしょう。投資機会は1年間あるので、株価が比較的高い1月に慌てて買わなくても、株価の下がりやすい夏場あたりが狙い目かもしれません。購入する株式の組み合わせパターンを予めいくつか想定しておけば、あまり迷わずに購入できるのではないでしょうか。

 売りのタイミングについては、2、3割上がったら売るというのでもいいのですが、せっかくの上昇相場に乗り切れないという面があります。そこでお勧めしたいのが逆指値(○○円以下になったら売るという注文方法)のテクニックです。

 売ったら終わりのNISAでは、株価が急上昇したときに売るかどうかで迷います。この時、1割下ぐらいで逆指値をしておけば、かりにその後暴落したとしても、確実に利益を確保することができます。その後も上昇し続けているのなら、逆指値の水準を切り上げながら相場についていけばいいのです。

 例えば、100万円で買った株が130万円になったところで、120万円で逆指値をしつつ、その後150万円になったら逆指値を130万円に切り上げていくという戦略です。株価が上昇しなければ通用しませんが、NISAの投資戦略は決して一つではないのです。(執筆者:草薙 祐子)