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年金の受給資格期間の短縮(25年から10年へ) 実際どうなの?

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年金の受給資格期間の短縮(25年から10年へ) 実際どうなの?

 「年金」という言葉聞くとみなさんは、どんなイメージをしますか? 仕組みが複雑でよく分からない、ニュースでよく問題になっている、老後の生活資金、将来、本当にもらえか心配、など人それぞれによってさまざまなイメージを持っていると思います。

 今回は、年金の受給資格期間についてお話します。そもそも年金を将来受給するためには、保険料を納めないといけません。1年間保険料を支払ったら、1年間分の年金がもらえそうな感じがしますが、実際は違います。

 ある一定の要件を満たさないと年金は将来受給できないのです。

年金の受給資格期間 25年から10年に短縮

 現行では、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上ある必要があります。簡単にいうと、毎月支払年金保険料を25年間(300月)支払ったら(免除期間を含む)、年金を受給できる権利を獲得できるということです。違う言い方をすると24年11月(299月)だと年金はもらえないということです。

 それが、平成27年10月から消費税の引き上げの第2段階の時期に合わせて、25年から10年に短縮されると言われています。

 これを聞いてみなさんはどう思いますか?

 たいていの方は嬉しい気持ちになっているのではないのでしょうか? 私はこの制度に対して少し不安がよぎります。と言いますのも、今、年金で一番問題になっているのが年金の財源確保だからです。

 年金の財源は保険料と国庫負担(税金)で構成されていて、世代間扶養を基本的な考えとして賦課方式で運営しています。賦課方式とは、給付が発生する度に、それに見合う費用を調整する財政方式をいいます。簡単に言うと、今年高齢者が受給する年金の給付額は、現役世代(今働いている人)の保険料で賄うということです。

 つまり、保険料が少なくなると、その分だけ財源不足になるということです。また、人口の年齢構成割合状況もかなり問題になっています。これは、みなさんよくご存知だと思いますがまさしく少子高齢化問題です。

 昔は高齢者(65歳以上)1人に対して約9人の現役世代が支えている状況でした。高齢者1人の生活(年金)を9人の力(保険料)で支えている状況だと考えればイメージしやすいのではないのでしょうか。これは胴上げ型ともいわれています。2012年では高齢者1人に対して約2.6人で支えている状況(騎馬戦型)です。

 それが、2050年になると、高齢者1人に対して約1.2人(おんぶ型)で支えることになると言われています。まさに、1対1で高齢者の年金を支えなければならないということです。

受給資格期間短縮のメリットと不安点

 そこで話が戻りますが先程の10年という受給資格期間の短縮なのですが、一番のメリットとして考えられるのが、無年金者の減少が考えられると思います。

 今までは25年を満たさないと受給資格を得られなかったわけですが、改正では10年保険料を支払えば受給資格を得られます。ということは今まで24年しか払っていない人も年金が得られるということです。しかし、私は、10年に短縮されれば保険料を支払う人が減少するのではないかと考えています。

 といいますのも、平成24年度の国民年金保険料の納付率はなんと59.0%、平成25年7月末では55.3%と半数近くの人が未納、滞納している状況だということです。

 納付月数が10年に満たない人は10年になることで、保険料を納めるかもしれません。しかし、10年支払いを終えるとそれ以降は支払わない人がたくさんでてくると思います。又、10年以上は支払っていて25年に満たない人は、改正後は受給資格を得ることができますので、25年を満たすまで支払おうと考えている人もわざわざ追加で支払っていくことはしないと思います。

 それともう一つ心配なのが、現在では3年間の時限措置(平成24年10月から平成27年の9月まで)として国民年金保険料の後納制度という制度があるのですが、この制度もこの改正ができると意味がなくなるのではないかと私は考えます。

 この制度は、保険料の未納者、滞納者の為にできたようなもので、もともと保険料の支払いには時効の問題があって時効が過ぎると、保険料は納めることができなかったのですが、この制度で過去10年分までに限ってはある一定程度の利息分をプラスして納めることができるようになったのです。

 しかし、この制度はあくまでも、25年の受給資格を満たすことを考えていましたし、支払いの際に利息もかかってきますので、今回の改正で意味をあまり持たなくなるではないかと思います。ですので、長期的に考えると年金の財源である保険料は逆に減り、今までもらえない人がもらえるようになるので、給付が増えてますます年金の財源が問題になるのではないかと私は心配しています。

 そうなってくると、財源を確保する為、年金の支給年齢も上がり、かつ税収もさらに引き上げなければならなくなるのではないでしょうか。

10年間国民年金を支払うといくらもらえるのか?

 最後に、今回の改正で10年間国民年金を支払った場合、いったいどれくらいの年金額がもらえるのか試算してみましょう。

 国民年金保険料納付月数120月(10年)【※保険料免除期間はないものとしとして計算します。】として計算します。国民年金いわゆる老齢基礎年金は480月(40年)納めると満額がもらえます。現在では約78万円が満額の年金のですのでそれを単純に4分の1にしてあげると、約19万5千円になります。月に換算すると約16,250円になります。

 どうですか、以外に少なくありませんか? 月に16,250円で老後の生活を安心して暮らせるでしょうか? おそらく苦しいと思います。

 その為にも、今回の改正で10年になったとしても、ご自分の年金を増やす為、年金の財源を確保する為にも10年支払ったらそれで終わりではなく、保険料の支払いを継続していく考えも1つなのではないでしょうか。(執筆者:青田 滋樹)

《青田 滋樹》
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青田 滋樹

青田 滋樹

株式会社DS交通 代表取締役 兵庫県出身1985年生。中京大学体育学部卒業。2009年株式会社DS交通を創設(タクシー会社)、同時に経営者としてさまざまな知識を身につける為、FPの勉強を始める。2012年にCFP認定者として登録。主に高齢者を対象に自分自身にあった、第2のライフステージをより良く迎えられるように年金相談やリタイヤメントプランを提案・アドバイスをしている。 <保有資格>:CFP・1級ファイナンシャルプランニング技能士・高等学校教諭一種免許・中学校教諭一種免許・全商簿記1級、損害保険募集人資格及び運行管理者 寄稿者にメッセージを送る

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