来年の相続税基礎控除額の減額により相続税の納付すべき人は大幅に増えるといわれています。もちろん、地域間でその増加割合は異なってきます。東京や大阪等の大都市圏やその近郊、もしくは地方都市の中心部では、その影響を大きく受けることでしょう。

 こうなってくると、上記のような地域ではもはや相続問題は一部の資産家だけの悩める問題ではなく、マイホームとそこそこの金融資産を遺しただけでも相続税の申告と納付が必要となってくるでしょう。まさに相続大衆化時代の到来といえるでしょう。

 この相続に対応できる専門家は…というと、まず、思いつくのが税理士です。税理士は難関税理士試験に合格した努力家の方たちばかりです。たくさんの税法の条文を暗記し申告書を作成できるスキルUPのため、計算問題を解きまくっています。税金の申告書作成には、当然ながら、右にでる他業種のかたは存在しないでしょう。

 ただ、相続税に限って言えば、その税金の計算の基となる財産のほとんどは不動産となります。相続時点での不動産の時価を算出して相続税の課税価格を計算するわけですが、相続税法の条文上は時価とあります。そして、その時価の算出は財産評価基本通達という通達に基づいて算出できるようになっています。

 角地はプラス、がけ地はマイナス、間口狭小奥行長大はマイナス、といったような計算式が定められています。この計算式は、おそらく不動産鑑定の方法をベースとしているのでしょうか…。

 税理士試験の勉強ではその計算式は教えてくれますが、そもそも論として、角地は市場ではどのように歓迎されて値が高くつくのかといったような不動産の相場観や価値観までは教えてはくれません。角地は正面路線+側方路線×角地補正で求める…ここまででしょう…。

 もっとも、どんな条件の土地が価値がたかくなるかを教えることは、教科書では難しいでしょう。不動産の実務の現場で身に付けるほか、ないでしょう。この土地の持っている価値とか可能性といったものを的確にとらえられなければ土地の活用で失敗しかねませんし、いざ、相続といった時に数ある土地ののなかから一つは納税のために売却せざるをえないといったときに適正にその土地を選定することも難しいでしょう。

 相続で解決すべき問題とは何でしょうか?

 それはズバリ不動産の分割であり、不動産の活用となるでしょう。ただし、不動産の実務に長けているだけではこころもとないでしょう。必要最低限の相続税を計算できるくらいの税法の知識は必要でしょうし、遺産分割に必要な民法のしっかりとした知識も必要となるでしょう。さらには、相続対策の出口戦略としての生命保険の有効性などをかんがえると生命保険の知識も不可欠といったところでしょうか。

 このように考えてみると、相続(民法)、税務、不動産、保険に強いFPが相続という問題を総括的に解決できる専門家であるかもしれません。

 もっとも、一言でFPといっても、最初からこのような相続の専門家たるFPは存在しないでしょうから、FPという広い知識や見識をもった人がさらに相続に特化した知識を身につけていくことが必要かとは思います。

 ただ、税理士や弁護士、司法書士といったような特化ではなく、広くある程度は深く、全体的なことを理解し間違った判断をしない深さが必要と思います。これからの相続ビジネスの主役がFPとなる日は、案外すぐそこに来ているのでは…と感じています。相続増税は一年後に迫っています。これからの相続対策の相談相手の主流は、変わってくるのでしょうか。(執筆者:荒木 達也)