日本の携帯電話市場で、飛躍的な躍進を続けるソフトバンク(孫正義社長)は、本格的な海外戦略として、米携帯電話市場の拡大に乗り出している。

 平成25年の米携帯電話市場第3位のスプリント買収に次いで、第4位のTモバイルUSにターゲットを絞り、買収意欲を見せていることだ。

 米の携帯電話市場は、トップを走るワイヤレスベライソンと2位のAT&Tの2強が携帯電話の契約者数で、寡占化状態だ。

 3位のスプリント、4位のTモバイルUSの2弱を大きく引き離しているのが現状。4位のTモバイルUSを買収することにより、2強に割って入ろうと言うもの。

 こうした動きは、米の携帯電話市場からの反発が予想されることもあり、前途は厳しいと見る向きは多い。

 反発の筆頭株と言えるのが、通信会社の合併・買収(M&M)を承認する、米連邦通信委員会(FCC)だ。

 FCCは、米携帯電話市場大手の4社体制で、十分との見方が強く、ソフトバンクの買収の動きに強い警戒感を見せているとの見方が強い。

 TモバイルUSの買収にあたっては、FCCのほか、米司法省の承認が必要となり、これら米のお役所を説得できるかどうかが一つの鍵と言えよう。

 そうした高いハードルを越えるために孫社長が展開しているのが、講演会による携帯電話関連業者への説得だ。

 米は、「スマートフォン(スマホ)の通信で、日本の1.7倍以上の料金を払っている」「インターネットを発明した米は遅れている」など持ち前の理論を展開、米国に携帯電話業界の市場再編を訴えている。

 こうした講演は、ワシントンを皮切りに各所で、展開する模様だ。もともとソフトバンクの買収は定評があり、平成16年日本テレコムを約3400億円で買収、固定通信事業に参入したのを皮切りに、平成18年英ボーダーフォンの日本法人を、1兆7500億円で買収、携帯電話事業へ参入、22年には、約400億円でウィルコム株式を取得、25年にイー・アクセスを1800億円で買収、そして25年の米スプリントと買収を成功させてきた。

 しかしこうした成功だけではない。テレビ朝日買収や、日本債券銀行買収の失敗例もあるのは確か。しかしソフトバンクは、分が悪いと見るやすぐに手を引くなど,身の変わりの速さが特徴。

 しかし今回TモバイルUSの買収が成功すれば、ソフトバンクの世界戦略の突破口として、世界中から注目されることは必至。

 これまで2強2弱の大手メーカーに、振り回されてきた米の携帯電話業界の再編成の動きが、一気に加速することは間違いないといえよう。(執筆者:向井 潤)