今回の記事は私の長男が工業大学へ進学した実体験を元に記事を書かせていただきます。親子2代にわたる進学体験記を通じて、皆様に大学進学に関する費用の節約のポイントをお伝えします。

1. 1980年代の国立大学の授業料と寮生活

 参考までに私自身は昭和31年生まれで国立大学の機械工学科を卒業しました。

1971年度の国立大学の年間授業料 12,000円
1975年度の国立大学の年間授業料 36,000円
1976年度の国立大学の年間授業料 96,000円

 つまり、私の入学する前から国立大学の授業料が少しずつ上がっています。

1990年度の国立大学の年間授業料 339,600円
2000年度の国立大学の年間授業料 478,800円

平成26年度の国立大学の入学金と授業料
入学金 282,000円
授業料 535,800円

 1971年度と比べると5.58倍となっています。

 私は当時、奨学金を申請し、月11,000円受給し、さらに大学の寮に入っていたので1年生の時は家からの仕送りは月2万円だけでした。不足分は月1万円の家庭教師のアルバイトをしていました。寮の朝食は1食100円 夕食120円 昼食は大学の生協で120円のカレーが多かった記憶があります。朝食と夕食は寮でバランス良く食べていたので、昼食でカレーが続いても健康面での問題はありませんでした。

 月2万円の仕送りで生活できたのは、国立大学であったのと学生寮であったのが大きかった。また、東京などの大都市ではなく、地方の大学であったということも金銭的には有利でした。当時から、理系である程度のレベルの大学に進学するには国立大学か東京の私立大学という選択枝しかありませんでした。地方の理系の大学ではレベルが低くなってしまうという状況でした。

 私立理系では授業料と生活費が高くなるのは、分かっていましたから、当時では、私立はほとんど受験せず、国立大学に進学できないなら、浪人するという選択枝が珍しくありません。私は浪人し、1年予備校に通いましたが、高校卒業ま「塾」というものを「珠算」「書道」を含めて、全く通わずに予備校の費用がかかりました。国立大学の授業料を考えると、浪人しても、地方の国立大学・学生寮であれば、大学進学の費用負担は少なかった時代です。

 また、工学系では第一志望の学科が不合格でも第二志望・第三志望ぐらいまでは合格の可能性がありました。具体的には第一志望に倍率の高い「機械・電気・電子」を不合格になっても第二志望・第三志望で倍率の低い「化学・繊維系の学部」であれば合格の可能性がありました。

 余談ですが、当時の地方の進学校では、塾ではなく、旺文社の「大学受験ラジオ講座」を聞いていた受験生が多かったと考えられます。なぜなら、地方の中小都市で、地方では有名校であっても、「進学塾」は稀でした。残念ながら「大学受験ラジオ講座」は1995年3月で終了したそうです。私の記憶では、「大学受験ラジオ講座」の毎月のテキストは500円前後であったと思います。

2. 現在(私の息子の例)の私立理系の実例

 ライフプランなどのデータとしては、平均値がよく用いられますが、実際には地域・学科などによって全く異なります。

 私の息子の実例でいえば、北海道札幌市の私立大学でコンピュータの勉強をしています。高校受験時は高専も受けましたが、学力不足でした。本人は中学校の時から、パソコンの仕事が、したかったといっていますし、中学2年の冬から通った塾でも「理系」に向いているといわれ、進路に迷いは無かったようです。

 通学はギリギリ可能な範囲ですが、毎日2時間以上通学に時間をとられることを考え、家賃 月1.8万円の7畳一間のアパートで自炊生活です。大学に寮はありません。ご飯を炊くことは小学校5年くらいからさせていたので、基本的な料理は大学合格後、一週間程度で覚えさせました。

某工業大学の例
1年度 入学金 200,000円
授業料 前期 650,000円
後期 650,000円
その他 62,300円
合計 1,562,300円
2~4年度 
授業料 前期 650,000円
後期 650,000円
その他 15,800円
合計 1,362,300円

4年間分 
5646800
5,646,800円

 理系の場合、レポートなど宿題は私の時もありましたが、コンピュータ関係に限って言えば、以前より宿題は多いようです。アルバイトばかりしていると進級は困難なようです。1年生と2年生の時はスーパーのアルバイトを1件していましたが、3年に進級してからはアルバイトをやめさせています。私の時代も今も理系は3年生が、一番厳しい時期です。

 私の時代は、1996年まで就職協定があったので、解禁は大学4年生の秋でした。就職活動解禁が、現在は早くなった関係大学の授業も早期に学生に詰め込まなくてはならず、結果としてアルバイトをしながら学費を稼ぐことは学部・学科により困難になっています。その分、親の経済的負担が増えることになります。

3. 進学費節約策 その1:国立高専への進学

 理系の中でも工学系の進学を中学生から考えているなら「国立高専」への進学を考えてみる価値があります。もちろん、高専と大学は中身が一緒ではありません。途中で進路の希望が変わった場合のリスクもあります。また、高校の授業料にも所得制限が導入されるとは言え、実質、無料化になっていることも考慮が必要です。高専から大学への編入という可能性もあります。

 また、寮があるということも親の経済的負担を軽減させられます。私の友人の話で、恐縮ですが、その友人は大阪の高専から大学3年へ編入してきて、東大の大学院へ進学し、現在は、私の母校の教授を今でもしております。 

国立高専の費用
入学金 84,600円
授業料236,000円
5年分の授業料 1,180,000万円
入学金・授業料の合計 1,264,600円

4. 進学費節約策 その2:住む所が大きく影響する

 この記事は私の自慢話ではなく、むしろ私の失敗談です。親は自分の体験で金がなくても「意欲」があれば、克服できると考えがちになります。自分の成功体験が邪魔をする場合が多くなりがちです。アルバイトで授業料を稼ぐ時代では無くなっています。

 理系への進学といっても「理学部」、「工学部」では異なります。理学部希望者が「高専」に進学しても、貴重な時期をムダにする可能性が高いだけです。そうなると現実的に節約可能なのは「アパート代」などの住居費になります。元々通学範囲に大学があるなら、通学も有効な手段です。大学に「寮」があるなら寮も検討してみましょう。

 せまい部屋を効率的に使うなら「ロフトベッド」も良いです。リサイクルショップなら2段ベッドの下を棚として使い、パソコンデスクを使う方法もあります。実例として、札幌市で家賃が1.8万円と安いのは7畳一間だからです。息子の同級生のアパートは二間が多く、家賃も、もう1~2万円高いようです。

 また、春に家電量販店では、大学生向け家電製品が販売されています。経済的に余裕があるなら良いですが、余裕がなければリサイクルショップとオークションの利用を検討してみましょう。自炊が前提なら炊飯器・電子レンジ(オーブン機能がない)ものは新品でも5,000円程度で購入できます。ガスコンロはオークションで落札しても送料が安いので多少遠方でも大丈夫です。

 反対に冷蔵庫などは冷凍庫を大きめなものにすると送料が高くなるので、なるべくアパートの近くの住所で落札した方が良いです。リサイクルショップで1万円前後、オークションであればその半額以下も可能です。サイズによっては軽自動車でも運べるので、引き取りにいけば送料もかかりません。

 洗濯機は最初からそろえる方法もありますが、急がなければ、大学のある都市ならコインランドリーを利用しながら、オークションなどを探すとよいでしょう。縦型の全自動洗濯は新品で2万円前後、リサイクルショップで9000円から1万円前後オークションでは、買い替えや引越しで不要になったものが出品されます。(執筆者:金森 徹也)