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多くの方が誤解している「遺留分」 相続の奥深さ

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多くの方が誤解している「遺留分」 相続の奥深さ

 先般、ご案内の通り、昨今は相続に関する様々なセミナーや相談会・説明会等が開催をはじめ、メディア・雑誌等でも相続特集が組まれています。そのような中で、相続の奥深さを感じること、いわば、一般の方が、勘違いしてしまいやすいのが、”遺留分”です。

 では、遺留分とは何か? 遺留分とは、簡単にいえば、残された遺族への最低限の財産保障のことです。例えば、配偶者やお子さん、お孫さんがいらっしゃるのに、遺言で全財産が第三者の元へ渡ってしまっては、残された配偶者をはじめとする遺族の方の生活基盤が揺るがされてしまいます。そのため、民法では、遺留分という制度があります。

 但し、この遺留分制度を知ると、多くの方が誤解をしてしまうケースがあります。それが、遺留分を適用できる条件です。条件と表現すると誤解を与えるかもしれませんが、あくまで、遺留分の主張ができるのは、遺言によって、遺留分を侵されているとき

 遺留分の話を聞くと、大概の方は、

遺産分割協議の結果、自分を除く兄弟姉妹が多くを相続し、自分はほとんど相続しなかった…よくよく考えると、遺留分を侵害されている…

 このような考えをされる方もいらっしゃいます。

 が、この場合、遺産分割協議は、ご自分の意思に基づいて、協議をし、遺産分割協議書に署名・捺印をされている訳ですから、そもそも遺留分の主旨と異なります。

 何故、誤解してしまいやすいかというと、それは、説明する側にも責任があるのかも知れませんが、民法の体系を見れば一目瞭然です。遺留分は、民法の第八章に記載があり、遺言は、第七章に記載。つまり、前章の遺言に侵されてしまう恐れのある権利を次章で保証しているという訳です。

 また、遺言により、相続人の遺留分が侵されている場合でも、遺留分を主張できる権利を持つだけであって、必ずしも、請求されるとは限りません。遺言者が、生前に、遺言の内容をはじめ、ご自身の想い等を相続人に語り、その想いが相続人に浸透していれば、相続人の方々は、遺留分など主張せず、すんなりいくケースも多々あります。

 上記の2点は、非常に勘違いし易い部分になります。先般も多少触れましたが、昨今は、インタ-ネットの普及により専門知識を簡単に得ることができるようになりましたが、そこで得られる知識は断片的な解釈になってしまうことが多々あり、相続の奥深さを感じる一瞬ではないでしょうか。(執筆者:佐藤 雄樹)

《佐藤 雄樹》
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佐藤 雄樹

佐藤 雄樹

一般社団法人東京都相続相談センター 理事 学習院大学卒業後、財閥系不動産会社にて6年半勤務。企業をはじめ、地主・富裕層へのコンサルティングに従事。平成19年以降、会社更生・民事再生・破産案件に対して法律事務所と一体となり企業再生業務に従事。平成23年に相続コンサルティングに特化した(株)brandsを設立。平成25年には相続の実務家と(一社)東京都相続相談センターを設立。法律・税金・不動産等の各専門分野における垣根を超えた相続コンサルティングは各士業から絶大な支持を得ている。 <保有資格>:NPO法人相続アドバイザー協議会 上級アドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産証券化協会 認定マスター、AFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、土壌環境リスク管理者、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、終活カウンセラー 寄稿者にメッセージを送る

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