ふるさと納税は、自治体への寄附を通じて税負担を軽減できる制度であり、返礼品を受け取ることができるのも魅力の一つです。
しかし、制度の活用方法を間違えると、「思ったより控除されなかった」や「税金が返ってこなかった」といった失敗につながることがあるので注意してください。
本記事では、ふるさと納税の控除が正しく適用されない主な理由と、見落としがちな注意点を解説します。

ふるさと納税でよくある失敗と落とし穴
ふるさと納税で控除が適用されない、あるいは減額されてしまう主な原因は次のとおりです。
上限額を超えて寄附している
ふるさと納税は、原則寄附額から2,000円を差し引いた額が控除対象となりますが、寄附する人によって控除額の上限が定められています。
設定されている控除上限額を超えて寄附した場合、その超過分については節税効果が得られないため、税金対策としてふるさと納税を利用する際は注意が必要です。
確定申告またはワンストップ特例の申請漏れ
ふるさと納税の控除を受けるには、確定申告またはワンストップ特例制度を利用する必要があります。
ワンストップ特例を利用する場合、寄附ごとに自治体へ申請書を提出しなければならず、これを忘れると控除が適用されません。
また、会社員でワンストップ特例を利用した方についても、医療費控除や住宅ローン控除を適用するために確定申告をする場合には、ワンストップ特例の適用は無効となります。
確定申告書を作成する際に寄附金控除を適用していない場合、ふるさと納税による控除が受けられないため、申告する際は忘れずに寄附金控除を適用してください。
所得が減少して控除額の上限が下がった
前年に比べて所得が減少すると、ふるさと納税の控除の上限額も下がります。
転職や収入の変化があった場合、前年の計算通りに寄附してしまうと一部の金額が控除されず、損をしてしまうことがあります。
住民税からの控除を想定していたが、所得税からの控除が適用されていた
ワンストップ特例制度を適用した場合、寄附した金額に応じた控除額が翌年度の住民税から差し引かれます。
一方、確定申告書を提出した方は、所得税からも控除されますので、「住民税があまり減っていない」と感じる場合があります。
ワンストップ特例と確定申告のどちらで手続きしても、トータルの節税効果は同じです。
しかし、確定申告を行った場合は控除の反映時期が異なるため、手続き方法を変えた年は注意してください。
寄附先の自治体数がワンストップ特例の上限を超えていた
ワンストップ特例を適用できるのは、寄附先が5自治体以内の場合に限られます。
6か所以上の自治体に寄附すると、ワンストップ特例が適用されず、確定申告が必要になります。
上限を把握せずに複数の自治体へ寄附し、確定申告を行わなかった場合、控除が正しく適用されていない可能性もあるので気を付けてください。
ふるさと納税を最大限活用するための対策
失敗を防ぐためには、以下のポイントを事前に確認することが重要です。
寄附上限額を事前にシミュレーションする
ふるさと納税の上限額は収入だけでなく、所得控除額によっても変わってしまうため、正確に知りたい場合は個別の計算が必要です。
ふるさと納税のシミュレーションサイトを活用すると、年収・扶養状況等に応じた適正な寄附額を計算できますので、寄附前にシミュレーションすることをおすすめします。
ワンストップ特例を利用する場合は申請書を忘れず提出
会社員がワンストップ特例を適用すれば、確定申告をすることなくふるさと納税による控除を受けられます。
ただし、ワンストップ特例は申請が必須なので、寄附ごとに必要な手続きを行ってください。
また、ワンストップ特例が適用できるのは、寄附先の自治体が5以下の場合に限られますので、6自治体以上に寄附するときは確定申告が必要です。
収入変動を考慮して適正な寄附額を設定する
転職などによる収入減少があった場合、前年の計算通りに寄附すると控除額が不足する可能性があります。
毎年ふるさと納税を行っている方は、その年の収入状況に応じて寄附額を調整することも重要です。
まとめ
ふるさと納税は正しく活用すれば税負担を軽減できる制度ですが、手続きを誤ると控除が適用されず、損をしてしまう可能性があります。
上限額の超過やワンストップ特例の申請ミス、寄附自治体数の制限などは見落としがちなポイントなので、事前にしっかり確認して賢く節税してください。