自分の年金は自分で確かめよう 遺族年金について誤解していた事例

 私の事務所に遺族年金請求書類を添付資料も完備のうえ持参してきたAさんは、遺族年金の試算結果を聴いて失望の色を浮かべた。知人から、夫の老齢厚生年金額の3/4と聞いていたので自分が受給する遺族年金の額もそうなるものと信じていたのに、という。

 この話はいろいろな誤解が混在しているのではないかと思われる。そもそも夫の65歳から受給する老齢厚生年金は報酬比例部分と差額加算からなっている。遺族厚生年金は報酬比例部分の3/4であって差額加算は遺族年金に反映しない。差額加算の額が大きい場合にはその人がなくなった場合の遺族厚生年金額は老齢厚生年金額の3/4にはならない。

 また妻が遺族年金を受給する場合で、しかも夫の厚生年金加入期間が20年以上であれば、妻の年齢によっては中高齢加算579,700円(65才未満)もしくは経過的寡婦加算(たとえば妻が昭和20年4月2日生まれで、かつ65才以上であれば212,600円)が加算される。

 遺族厚生年金は、夫の条件、妻の条件、死亡時の年齢等によって異なってくる。人さまざまなのである。遺族厚生年金ばかりではない、老齢厚生年金もそうであるし、障害厚生年金に至ってはより一層そういう性格が濃厚である。

 年金額については、さまざまな前提条件に応じて決まってくるものである。他人の話を鵜呑みにしてはいけない。テレビのバラエティ番組の年金談義についても振り回されないように冷静に受け止めてほしい。センセーショナルな一面的な情報に一喜一憂するのではなく、あくまで自分の場合はどうなるか、という問題意識を持ってほしいし、それを確かめるための労を惜しまないでほしい。

 年金相談は、FPや社会保険労務士、年金事務所や街角の年金相談センターで応じてくれる。気軽に出かけて行って、自分の年金額は自分で確認してほしい。こういう心掛けが自己責任・自助努力の第1歩だと思う。(執筆者:石川 勝己)

この記事を書いた人

石川 勝己 石川 勝己»筆者の記事一覧 (5) http://jiroc.com

社会保険労務士石川勝己事務所 所長
大手生命保険会社を退職後、平成17年社会保険労務士石川勝己事務所を開業。年金・退職金・セカンドライフのライフプラン等が得意分野。毎週2日、日本年金機構年金相談センター等で年金相談に従事している。サイト「生き生きライフかながわ年金相談室」を主宰。「NPO法人金融・年金問題教育普及ネットワーク」「NPO法人障害年金支援ネットワーク」会員。
<保有資格>:特定社会保険労務士・CFP○R・企業年金総合プランナー1級
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