豪ドルとNZドルが、歴史上初めて同じ価値になろうとしています。背景には、オーストラリアとニュージーランドの異なる金融政策があります。

オーストラリアとニュージーランドの金融政策

 オーストラリア経済の屋台骨と言えば、なんといっても最大の輸出品である鉄鉱石ですが、鉄鉱石価格はリーマンショック以降急騰した後、2011年2月をピークに足元では下落が続いています。この鉄鉱石価格の下落は、増産投資が相次ぐ一方で、中国の需要が鈍化して供給過剰になっていることによるものです。

 この鉄鉱石価格の下落によって、オーストラリアの経済成長にはブレーキがかかっており、オーストラリア準備銀行は景気刺激策として、政策金利を過去最低の2.5%にまで引き下げています。

 一方のニュージーランドは、2011年2月にクライストチャーチで起こった大地震からの復興需要の最中にあり、景気拡大が続いています。そのため、先進国の中では唯一利上げサイクルに入り、今年3月に先進国では2011年以来初となる利上げを実施、その後4回連続で利上げを行い、現在の政策金利は3.5%にまで上がっています。

 こうしたオーストラリアとニュージーランドの金融政策の違いは、為替相場にも大きな影響を与えています。

豪ドルとNZドルの為替相場

 変動相場制に移行してから現在に至るまで、豪ドルはNZドルよりも常に高い為替レートを維持してきました。

 しかし、豪ドル/NZドルの為替レートを見ると、豪ドルは1月に対NZドルで1豪ドル=1.05NZドル割れの水準まで下落しましたが、1.05NZドル割れは1983年の変動相場制移行後3回目のことです。

 直近の政策会合等では、オーストラリアは利下げをいったん休止し、ニュージーランドも利上げをいったん休止する方針を出しています。そのため、ここまで続いてきた相対的な豪ドル安/NZドル高は一服するかもしれません。

 しかし、休止はあくまで休止であり、経済状況に大きな変化はありません。今後の方向性としては、オーストラリアは利下げ方向、ニュージーランドは利上げ方向に向かう可能性が高いです。再度オーストラリアの利下げおよび/またはニュージーランドの利上げが再開されれば、豪ドル/NZドルの差は縮小して逆転する可能性があります。

 それでは、豪ドル建てあるいはNZドル建ての個人向け社債を購入する際には、どのようなことを意識しておくべきでしょうか?

豪ドル債券に投資する際の注意点

 豪ドル債券の利率は、これまでの利下げサイクルの結果、以前よりもやや低くなっています。当面は、金融当局として利下げの効果を見極めようとしている時期にあるため、当面は現状が維持されるのではないかと思います。

 しかし、政策金利自体はまだ3.5%と引き下げ余地がありますので、中国の経済成長鈍化=鉄鉱石価格の軟化や、国内需要の不調などの要因次第では、さらなる利下げの可能性もあるでしょう。豪ドル債券の金利は、どちらかというとこれから徐々に下がっていく可能性が高そうです。

 一方で、豪ドルの為替レートは、利下げによって少なくともNZドルに比較すれば豪ドル安に向けた圧力がかかりそうです。

 このように考えると、豪ドル債券については、利下げが進む前に好条件の社債を買っておくという考え方もできますが、ある程度為替が下落するリスクがあることは想定しておく必要がありそうです。

NZドル債券に投資する際の注意点

 NZドル債券の利率は、これまでの利上げサイクルの結果、先進国通貨の中では比較的高い水準になっています。現在は、利上げの結果進行したNZドル高を抑えるために、いったん利上げ局面は終了しています。

 しかし、引き続きインフレを抑えるためにも今年12月頃には利上げが再開されそうな見通しです。利上げが再開されれば、NZドル債券の利率はさらに上昇する可能性が高そうです。

 利上げが再開されることになれば、為替レートについては再びNZドル高に向かう可能性が高そうです。

 このように考えると、NZドル債券については、今後さらに金利が上昇する可能性はありつつも、既に十分な魅力的な金利水準にありますから、好条件な社債が出た場合には前向きに検討してもよい環境が整っているように考えられます。

 なお、これらは、あくまでオーストラリアとニュージーランドの経済情勢・金融政策をもとに考えた場合の、複数ありうるシナリオのうちの一つにすぎません。実際には、両国にとどまらず、主要国の経済情勢・金融政策との相互作用によって、金利・為替レートの動向は決まってきます。

 たとえば、10月に予定されている米連邦準備理事会(FRB)による量的金融緩和終了は、オーストラリアやニュージーランドも含めた世界経済・金融市場に影響を与える大きな波乱要因になりそうです。

 世界経済・金融市場の今後のシナリオについては、また稿をあらためてご紹介したいと思います。(提供:社債投資まとめ!)