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マイホーム購入のタイミング 「子供の将来」視点で冷静に判断を

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マイホーム購入のタイミング 「子供の将来」視点で冷静に判断を

 今年4月の消費税増税(5%⇒8%)にともない、マイホームの駆け込み需要が旺盛になったことは記憶に新しいところです。この「特需」も一旦落ち着きを見せていますが、その後も私たちファイナンシャル・プランナーには、「我が家の家計で住宅を購入しても大丈夫ですか?」という相談が多く寄せられています。その際、いつも私が提示する判断材料についてこれから書いてみます。

住宅購入後、家計が赤字続きになる家庭も

 まず、金銭的な面で住宅購入が可能かどうかは、「キャッシュ・フロー表」を作成してみれば、おおよその判断がつきます。「キャッシュ・フロー表」とは、簡単に言うと、現在の収入、支出が今後も続いた場合に、家計が将来どうなっていくのかを予想する、文字通り「お金の流れ」を表にしたものです。

 表を作成してみて、住宅ローンを組んでも将来の家計に特段問題がなければよいのですが、悩ましいのは、ボーダーラインにある家計、つまり、住宅ローンを組んでも毎年の預貯金残高はかろうじて黒字をキープできるけど、仮に予期せぬ出費や子どもの進路の変更(地元の国公立大学希望⇒首都圏の私立大学に進学)、御主人の転職による収入減、急激な物価上昇などが起きた場合には家計が一気に赤字に転落してしまう危険性をはらんだ家計です。

 私はこれまで、イチかバチか! で住宅を購入し、その後、住宅ローンやその他居住費が原因で家計が赤字を続けているケースをたくさん見てきました。その多くが、住宅メーカーの方に購入を勧められ、そこで暮らす幸せな自分たちの姿をイメージし、将来の家計のことはあまり考えずに思い切って購入してしまうパターンです。

 もちろん、その家庭の「キャッシュ・フロー」がその後どうなるかを業者さんや金融機関側が考慮してくれることはあまりないでしょう。商売ですから仕方ないですね… 

「子供の将来にとって」という視点で冷静に判断を

 そこで、現在、住宅を購入するかどうか迷っている人は、是非「子どもの将来にとって、本当に今、マイホームを購入する必要があるのか?」を冷静に考えてみることをおすすめします

 庭付き一戸建て、恵まれた教育環境、などは親からすると子どもの幸せのため…と感じるのは当然です。でも、無理して組んだ住宅ローンのために、子どもの教育費が足りない、日常生活費を節約しないといけない、子育てが終わった後の夫婦の老後資金が全く残らない、という人生を送ることになりかねません。そのような親の姿を見て子どもはどう感じるでしょうか…?

 マイホーム購入は大いに結構なことだとは思いますが、賃貸物件や実家に住みながら、まずは頭金(※)を貯める。そのうちに、子どもや親の将来像(子どもの進路、親との同居や介護費用の負担の可能性など)が見えてきますし、親からの住宅資金援助や相続財産の発生があるかもしれません。そして、その時点で家族に相応しい物件の購入を検討する。

 仮に途中で教育費が不足する事態になれば、頭金として貯めてきた貯蓄を取り崩すこともできます。マイホームはなくても、子どもを希望の進路に進ませてあげたり、月1回の外食や家族旅行を楽しむ、こういうことの方が子どもにとっては幸せな思い出になるかもしれません。

 せっかくの機会です。「親が思う子どもにとっての幸せ」と「子どもにとっての本当の幸せ」について、自分たちの幼少期~学生時代を思い出しながら、一度夫婦で話してみるとよいかもしれませんね。(執筆者:古賀 秀之)

参考
※住宅購入時の自己資金の目安:
購入価格の20%以上の頭金と取得費用を合わせて、購入価格の30%以上準備することが望ましい。
《古賀 秀之》
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古賀 秀之

古賀 秀之

熊本市出身。外資系生命保険会社、生損保代理店勤務後、独立。現在は、お金に関する総合的な相談業務、セミナーおよびFP試験対策講座の講師を努める。「常にお客様のために…」をモットーに、第三者的立場でのアドバイスを心掛けている。 <保有資格>:CFPⓇ 認定者(日本FP協会)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、証券外務員Ⅱ種(日本証券業協会) 寄稿者にメッセージを送る

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