一言に「相続対策」といえど、相続対策は大きく「(遺産)分割対策」、「節税対策」、「納税対策」の3つに分類されます。

「分割対策」

 「分割対策」とは、「どの資産を誰に相続させるか」や「どのように相続させる(分ける)か」がメインテーマであり、遺言を作成したり、相続時に、分割しやすいように事前に1棟の賃貸マンションを売却し、区分のワンルームマンション数十戸に資産を組み替えたり等といったものです。

 相続といえば、昔から「相続争い」と言われるように、近年では、「遺産相続」という言葉=「相続争い」と勘違いされている方も多くいらっしゃいます。ここ数年では、このような「相続争い」のことを「争族(あらそうぞく)」等と皮肉った言葉が広まり、今の相続分野で従事する我々としては、日常茶飯事、耳にする言葉です。

「節税対策」

 「節税対策」とは、一般の方が、「相続」を聞いて、一番最初に連想する相続税について、いかに納税額を下げるかがテーマで、簡単に言えば、いかに、生前贈与をうまく利用するかや、相続税法上の評価額と、その対象物の市場流通価格との乖離をうまく利用して評価額を下げるということです。

 来年(平成27年)1月1日は、相続税において、基礎控除額が4割カットされたり、最高税率が上がり、相続税では世界最高税率となるなど、いわゆる「相続大増税」と囁かれる中、節税は、最も注目を浴びている内容です。

 富裕層の間では、誰もが知っている話ですが、例えば、億単位のお金を動かせる方であれば、都心のタワーマンションを購入することなど。詳細は、後日、別のコラムで解説する予定ですが、一般的に、都心部のタワーマンションを購入した場合、新築分譲されている最上階等の住戸(部屋)を購入することにより、▲8~9割程度も評価額を抑えることができ、結果、その抑えられた評価額分だけ、相続税法上の評価額を下げたこととなり、当然として、相続税も下がる等といったことです。

「納税対策」

 「納税対策」とは、いざ、相続税が発生した(納税しなければならなくなった)場合に向けて、「いかにして納税資金を確保するか」がテーマです。特に地主さんにありがちですが、資産としては、莫大な農地や貸地を所有しているものの、現預金は数百万単位しかなく、農地、貸地の評価額が非常に高いため、数千万~数億円の相続税が発生し、相続税が払えないという方が多くいらっしゃるのが現状です。

 現預金を確保するために、纏まった土地を第三者に売却したり、逆に、無担保で所有している土地があれば、納税資金として現預金を確保するために金融機関より調達したり、中には、貸地の借地権者の方に土地(底地)を売却したり。

目的を明確にし、”柱”に対する優先順位を持つ事が大切

 上記のように「相続対策」と一言で表現しても、各々の対策の目的が異なり、この3本の柱を全て満足させるというのは、非常に難しく、時に(大半がそうですが)相反することがほとんどです。これら全てを満足させることは、不可能ではありませんが、とてつもなく長い数十年単位の時間を要するでしょうし、その数十年を経過する途中で、また、それぞれの状況も大きく変化します。

 そのため、相続対策は、そもそもの最大の目的は何なのか…をきちっと明確にする必要があり、その目的に向けて、対策を練るべきであり、他2本の柱を満足と言わないまでも、どこまでバランスさせるのか、また、どこまで諦めることができるのか…の判断も非常に重要となります。(執筆者:佐藤 雄樹)