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簡易課税制度、みなし仕入れ率とは

 さて、今回のテーマは「消費税の簡易課税制度、みなし仕入れ率」についてです。平成26年の税制改正で消費税の簡易課税制度のみなし仕入れ率が見直されました。

 簡易課税制度とは消費税の計算方法のひとつです。消費税の一般的な計算方法は課税売上に対する消費税額から課税仕入れ等に対する消費税額を差し引いて計算します。この方法を本則課税といいます。

 一方、簡易課税制度とは、実際の仕入れに係る消費税額では計算せずに、業種別に決められたみなし仕入率で消費税額を計算する方法です。

みなし仕入率
第一種事業(卸売業)      90%
第二種事業(小売業)      80%
第三種事業(製造業等)     70%
第四種事業(その他の事業)   60%
第五種事業(サービス業等)  50%

 例えば卸売業の場合の消費税の計算方法は以下のようになります。

仕入控除税額=(課税売上に対する消費税額×90%)

課税売上に対する消費税額 - 仕入控除税額 = 納める消費税額

 一定の要件を満たす事業者は、このような「みなし仕入れ率」が適用される簡易課税制度と、実際の仕入れに係る消費税額で計算する本則課税制度との選択が可能です。

 つまり、2種の計算方法において「節税に繋がる方法」を選ぶことができるのです。なお、簡易課税制度の適用要件は次の通りです。

<簡易課税制度の適用要件>

(1) 基準期間[前々年(個人の場合)又は前々事業年度(法人の場合)]の課税売上高が5,000万円以下であること。

(2) 「簡易課税制度選択届出書」を事前に提出していること

※簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できませんのでご注意ください。

 このみなし仕入れ率が平成27年4月1日以後に開始される事業年度から改正されることになりました。

<主な改正点>

(1) 現行の第四種事業のうち金融業及び保険業を第五種事業とし、みなし仕入れ率を50%とする(現行60%)

(2) 現行の第五種事業のうち不動産業を第六種事業とし、みなし仕入れ率を40%とする(現行50%)

 ただし経過措置により、26年9月30日までに簡易課税制度選択届出書を提出していれば、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても、簡易課税の適用開始課税期間の初日から2年を経過するまでの間に開始する課税期間については、従来の仕入率を適用することが可能となります。

届け出の提出時期により受けられる恩恵が大きく変わる

3月31日決算の不動産業を営む法人の例

<簡易課税制度選択届出書を平成26年9月30日までに提出した場合>
平成28年3月期 ・・・ 第五種事業(50%)として計算
平成29年3月期 ・・・ 第五種事業(50%)として計算

<簡易課税制度選択届出書を平成26年10月1日~平成27年3月31日までに提出した場合>
平成28年3月期 ・・・ 第六種事業(40%)として計算
平成29年3月期 ・・・ 第六種事業(40%)として計算

12月31日決算の不動産業を営む法人の例

<簡易課税制度選択届出書を平成26年9月30日までに提出した場合>
平成27年12月期 ・・・ 第五種事業(50%)として計算
平成28年12月期 ・・・ 第五種事業(50%)として計算
平成29年12月期 ・・・ 第六種事業(40%)として計算

<簡易課税制度選択届出書を平成26年10月1日~平成26年12月31日までに提出した場合>
平成27年12月期 ・・・ 第五種事業(50%)として計算
平成28年12月期 ・・・ 第六種事業(40%)として計算
平成29年12月期 ・・・ 第六種事業(40%)として計算

 このように、届け出を提出する時期により受けられる恩恵が大きく変わります

 現在、本則課税であり、かつ簡易課税にしたほうが有利である事業者の方は、必ず今年の9月30日までに届け出を提出した方が良いでしょう。

 一方、現在簡易課税であり、みなし仕入れ率の変更により本則課税にした方が有利となる事業者の方は、課税期間の前日までに、「消費税簡易課税制度不適用届出書」を提出する必要があります。

注意点

 最後に注意していただきたいのが、簡易課税制度を適用した場合、消費税の還付がないという事です。多額の資産購入、設備投資等を行った場合は本則課税の場合には売上に対する消費税よりも仕入等に対する消費税が多くなる場合があり、消費税が還付されることがあります。しかし、簡易課税制度を適用した場合は、たとえ多額の設備投資をして支払い消費税が多い場合でも消費税の還付は受けれないのです。

 このように、簡易課税制度を適用する場合には、どちらが有利か、大きな設備投資等はないか等しっかりと検討をする必要があります。適用を検討する際は、必ず信頼のおける税理士に相談するようにしたいものです。(執筆者:中川 博史)