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自分で書く遺言(自筆証書遺言)で気を付ける事

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自分で書く遺言(自筆証書遺言)で気を付ける事

 遺言と聞くと、多くの方は、公正証書遺言か自筆証書遺言を頭に浮かべます。少し勉強熱心な方だと、秘密証書遺言をご存じの方も…。しかし、日本において、遺言の種類は、この3つに留まらず、実は全部で7種類もの遺言が存在します。

 とはいえ、上記に挙げた自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類は、普通方式に区分され、残りの4種類は、遺言者が、病気や船舶中の遭難等により死が迫っていたり、伝染病で隔離されていたり…等の正に特別な場合に適用される特別方式に区分されます。

自分で遺言を書く時の注意点

 日々、相続のご相談を承っている中で、最近、遺言についてのご相談が顕著に増加しており、中でも、自筆証書遺言についてのご相談が非常に増えています。では、改めて、自筆証書遺言について確認しますと、要件として以下を充たす必要があります。


 民法で定められた形式の要件は、以上のみです。言い換えれば、上記を満たしていれば、遺言としての効力が認められ、検認手続きを経た後、当該遺言を執行させることができます。

 但し、気を付ける必要があるのは、遺言としての要件だけでなく、その内容です。

 例えば、

・記入されていた字が達筆すぎて読み取れなかったり

・誤字脱字が散見されたり

・遺言に記入のある資産が既に亡くなっていたり

・表示の仕方が間違っていたり、遺留分を侵していたり…

 …等、数え上げればキリがありませんが、ベースとなるのは、上記4項目。まずは、自筆証書遺言としての形式を充たすこと、そして、その後、細かい点を確認する必要があります。

PC等で作成した文章は自筆証書遺言になるか?

 尚、公正証書遺言の場合、自身で名前が書けなかったりしても、公証人が、(有料ですが)指定場所に出向いてくれたり、署名捺印を職権にて対応してくれるため、手が不自由だったりした場合、署名捺印は不要ですが、一方で自筆証書遺言の場合、あくまで全文自筆でないと要件を充たさないため、年を重ねるごとに難しいことがあります。

 そのため、よく質問を受けますが、PC等で作成した文面を遺言にすることはできないか? といった相談が多く、そのような場合は、その文面をベースにして公正証書遺言を作成するか、或いは、秘密証書遺言を作成するしかありません。

 但し、秘密証書遺言の場合、秘密と言っても、秘密なのは、遺言の内容(中身)であり、公正証書遺言と同様に証人を要するため、自身が遺言を作成したこと事実(遺言が存在する事)は、証人に知られてしまう事となります。

 また、自筆証書遺言については、別の視点から見た注意点としては、今すぐ、紙に記入すれば済むように、低コストで即効性はあるものの、専門家等からのアドバイスが受けられないことから、内容にミスがある可能性が否めません。

 さらに、紛失・偽造・隠ぺい等をはじめ、自身しか遺言の存在、または格納場所を知らず、結果、相続人による相続手続きが完了した後に、発見される等、せっかく作成した遺言が意味をなさないこともあります。

 また、専門家と連携して作成する場合は、遺留分にも気負付ける必要がありますし、何より、残される相続人のこと、税金の事もトータルに検討する必要があります。「せっかく遺言を作成したのに…」とならないよう、専門家と共同して作成する必要があります。(執筆者:佐藤 雄樹)

《佐藤 雄樹》
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佐藤 雄樹

佐藤 雄樹

一般社団法人東京都相続相談センター 理事 学習院大学卒業後、財閥系不動産会社にて6年半勤務。企業をはじめ、地主・富裕層へのコンサルティングに従事。平成19年以降、会社更生・民事再生・破産案件に対して法律事務所と一体となり企業再生業務に従事。平成23年に相続コンサルティングに特化した(株)brandsを設立。平成25年には相続の実務家と(一社)東京都相続相談センターを設立。法律・税金・不動産等の各専門分野における垣根を超えた相続コンサルティングは各士業から絶大な支持を得ている。 <保有資格>:NPO法人相続アドバイザー協議会 上級アドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産証券化協会 認定マスター、AFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、土壌環境リスク管理者、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、終活カウンセラー 寄稿者にメッセージを送る

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