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シリーズ:相続でもめるケース(1) 「子のない妻」

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シリーズ:相続でもめるケース(1) 「子のない妻」

1. 子のない妻の相続

 最近増えている子のない夫婦の場合、夫の死後、財産はすべて妻のものと思いがちである。しかし、それは大きな誤り。

 子のない夫婦で夫が亡くなった場合の法定相続人とその割合は以下の通り。

 夫の親が生存していれば両親とも法定相続人となり、妻の相続割合は2/3、夫の親が1/3(両親とも生存であれば1/6づつ)。

 夫の両親が死亡しており夫に兄弟姉妹がいれば、その兄弟姉妹は法定相続人となり、妻の相続割合は3/4、夫の兄弟姉妹が1/4。兄弟姉妹が死亡していれば、権利は甥や姪が引き継ぐ(代襲相続という)。

2. 遺言が重要!

 妻は「予期しない」相続人と遺産分割協議をしなければならず、全員の戸籍謄本を集め、書類に印鑑をもらうなど、疎遠になっている義理の親族らとの時間調整や話し合いは、相当なストレスである。

 面倒な手続きやストレスを感じても、想定していた遺産を相続できればいいのだが、話しあいのもつれなどから、その財産を手にできないことも少なくない

 子のない妻が相続する場合の対策としては、夫は事前に財産の分け方を遺言で書いておくことが重要だ。

 例えば、夫の両親がなくなっており夫に兄弟姉妹がいる場合、遺言で「妻に全財産を相続させる」と書いておけば、兄弟姉妹には「遺留分」という相続財産を主張できる権利がない。よって妻が全財産を相続することが可能だ。

3. 遺言を書く人&生活保護受給者の増加

 最近では、遺言を書く人の数が増加している。公正証書遺言は約8万8,000件、自筆証書遺言の検認は約1万6,000件(どちらも2012年実績)と10年前に比べ約1.4倍に増加している。厚生労働省の調べによると、70歳以上の生活保護受給者は、57万人弱と10年前のほぼ2倍に増えており、その6割が女性。

 夫が妻の老後の生活を考えるのであれば、遺言で財産分与の方法を明確にしておくことがポイントとなる。(執筆者:釜口 博)

《釜口 博》
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釜口 博

㈱ジョイント・プレジャー 代表取締役 保険実務に強いファイナンシャルプランナーとして、また自身の営業経験を活かした営業実務研修は、即実行できる内容との評価が高い。 <保有資格>:CFP  1級ファイナンシャルプランナー技能士 二種証券外務員 相続士 寄稿者にメッセージを送る

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