ブラジル大統領選挙決選投票で、現職のジルマ・ルセフ大統領が再選を果たしました。「社債投資まとめ!」でも取り扱うことの多いブラジルレアル債券に非常に大きな影響のあるイベントですので、状況を整理しておきます。

ブラジル大統領選挙の経緯

 以前「女性候補2人の一騎打ち! 10月の大統領選で今後のブラジル経済が大きく変わる?」(http://manetatsu.com/2014/09/35922/)で書いたように、現職である労働者党(PT)のジルマ・ルセフ大統領は、低金利を経済政策の優先課題に掲げ、就任当時は10.75%だった政策金利を積極的に利下げし、2012年10月には過去最低の7.25%にまで引き下げました。

 しかし、低金利で融資を促進し、持続可能な経済成長を実現するという目的に反し経済は低迷、2012年にはGDP成長率が1%を下回るまでに落ち込みました。こうしたルセフ大統領の、ブラジル中央銀行の金融政策に対する介入政策が、ブラジル経済を現在の苦境に至らせた元凶であるとマーケットでは見られています。

 これに対して、選挙戦中盤戦まではブラジル社会主党(PSB)の候補シルバ元環境相が、「ブラジル中央銀行の独立性を強めてインフレターゲット政策を導入し基礎的財政収支の黒字化に取り組む」として、有力対抗馬として名乗りを上げていました。

 ところがルセフ大統領陣営は「シルバ陣営の5倍以上」ともいう資金力でテレビ広告などでネガティブキャンペーンを展開しました。テレビ広告などで「シルバは中央銀行の権限を銀行業界に譲り渡そうとしており、そうすれば金利が上昇してブラジル国民が失業と貧困に追い込まれる」など、貧困層のシルバ候補に対する警戒感を煽った結果シルバ候補は失速、10月5日の第1回投票で3位に沈みました。

 シルバ候補に代わって第2位を獲得したのが、ブラジル社会民主党(PSDB)のアエシオ・ネベス候補です。シルバ候補もネベス候補に対する支持を表明し、投票日直前の世論調査では調査会社によってルセフ候補郵政という結果とネベス候補優勢という結果に分かれるほどの大接戦となりました。

 そして、26日の大統領選挙決選投票の結果は以下のようになりました。

ルセフ候補 51.6%
ネベス候補 48.4%

 最終的には、失業率改善という成果を訴えかけたルセフ候補に対する貧困層による支持が上回り、現職ルセフ大統領が再選される結果となりました。

ブラジルレアル債券投資への影響は?

 大統領選決選投票の結果を受けて、ブラジルの株式指数であるサンパウロ証券取引所のボベスパ指数は取引開始直後に急落、ブラジルレアルも2005年4月以来の安値まで下落しました。

 大統領選挙の期間を通じて、株式市場および為替市場では一貫してルセフ大統領不支持の動きをしてきました。今回の大統領選挙でルセフ大統領が再選したことで、当面はブラジル株・ブラジルレアルは弱い動きをする可能性が高そうです。再選したルセフ大統領は、2018年までの4年間の任期を務めることになります。その間に、停滞するブラジル経済を再び成長軌道に乗せることはできるのでしょうか。

 ブラジルレアル建て外国債券については、当面はブラジルレアルが軟調であろうことから、なかなか投資しずらい状況になりました。ルセフ大統領が経済政策の抜本的な見直しに踏み切るまでは、慎重な投資検討が必要になりそうです。(提供:社債投資まとめ!)