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投資の方向性を見定めるために必要な「米経済指標」の見方

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投資の方向性を見定めるために必要な「米経済指標」の見方

米経済指標が日本株投資に影響を与える

 日本株投資の成果を左右するのは、国内経済や政策だけではない。実は、アメリカの経済指標が要因で日本株が変動することが多々ある。アメリカの金融政策を決めているのは、米連邦準備理事会(FRB)。投資家はFRBのイエレン議長が注目している経済指標に目配りしていくことが重要なポイントだ。

 FRBが重視しているポイントとして以下の3つが挙げられる。

(1) 雇用状況
(2) 消費者の景気に関する心理
(3) 設備投資(経営者の景気に関する心理)

1. 米雇用状況

 毎月発表される米雇用統計では、非農業部門の雇用者が前月比20万人以上増えると、景気が良くなっていると判断される。9月は25.6万人、10月は21.4万人と大台を超えてきている。また失業率も分かれ目とされる6%を2か月連続で下回っている現状だ。(9月:5.9%、10月:5.8%)

 雇用統計と失業率が改善しているにも関わらず、イエレン議長が利上げを明言しないのは、雇用の質的な面を見る指標である「賃金上昇率」が伸び悩んでいるからと言われている。

 FRBのインフレ目標である2%という数字から考えると、賃金上昇率が3%を超えてこないと、FRBは利上げ判断をしないのではないかと言われているのだ。アメリカが利上げに踏み切り、日本の金融緩和政策が続くとすれば、更に「円安・ドル高」がすすむ可能性が出てくる

2. アメリカ国民の消費者心理

 景気が良くなれば、消費者がお金を使うようになり、それが景気を押し上げる要因となる。この消費者心理は、ミシガン大学などが算出している「消費者態度指数」で探ることができる。9月は84.6、10月は86.9 と上昇傾向が続いているのが現状である。

 また、米サプライマネジメント協会(ISM)は経営者の景況感を調べ、製造業と非製造業のそれぞれを指数にしている。このうち非製造業指数は実質経済成長率との相関性が高いと言われているが、9月が62.9、10月が60.0。好不況判断の分かれ目である50を超えてきている。

 アメリカの消費者が景気が良くなるという判断をすれば、日本の輸出産業にも良い影響が出ることになるであろう。

3. 設備投資

 企業が設備投資に動き出せば、その国の経済への影響は非常に大きいものとなる。アメリカ企業の設備投資を見る指標として、ニューヨーク連銀などが集計している「設備投資DI」がある。

 この指標は、今後6か月で設備投資額が「増加」するとする企業の比率から「減少」とするとする企業の比率を引いた値のこと。直近では9月が23.7、10月が18.9。設備投資を増加させる予定の会社の方が多い状況が続いている。

 この指標は、設備投資という先行投資に対して、経営者の景況感判断を見てとることができる。アメリカ企業が先行投資である設備投資に動き出せば、日本株にも良い影響を与えることとなる。

 このように、個別株投資で利益を生み出すための一つの考え方として、アメリカの経済指標をしっかりチェックし、日本株との関連性を見ていくことはとても重要である。(執筆者:釜口 博)

《釜口 博》
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釜口 博

㈱ジョイント・プレジャー 代表取締役 保険実務に強いファイナンシャルプランナーとして、また自身の営業経験を活かした営業実務研修は、即実行できる内容との評価が高い。 <保有資格>:CFP  1級ファイナンシャルプランナー技能士 二種証券外務員 相続士 寄稿者にメッセージを送る

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