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ベストセラー著書「21世紀の資本」をご存知ですか?
最近話題のピケティ氏のベストセラー著書「21世紀の資本」をご存知でしょうか。要約すると、「R(資本収益率)>G(経済成長率)」の元、一部の層が莫大な資産を独占し、格差が生じている。政府は高所得者への課税軽減をせず、むしろ低所得者への支援を行うべきである。でなければ格差社会はより拡大するだろう。と言うことです。

この現状分析は、私の実感と一致しています。20年前頃から低経済成長の元、特に中低所得の賃金がより大きく低下し、余裕のある暮らしが難しくなっていることを、多くの相談から感じているからです。ピケティ氏が膨大なデータから導き出したこの部分は正しい、との前提でここから先の話をしたいと思います。
一般生活者はどう考えればよいのか?
実は、この後は氏の意見と違っています。そもそも氏は政府が取るべき対策について。私は一般消費者が取るべき「R>G」への対応を考えているので当然です。
と言われそうですが、そうとは思っていません。ではどうするべきなのか?
ここで登場するのが株式投資です。ピケティ氏は「資本」を人、モノ、金その他すべてを資本としていますが、私たち一般生活者の立場では、「資本」とは企業、および企業が持つ資本を保有する株式投資と考えてもよいでしょう。一方の経済成長率はピケティ氏が言うように給与所得と置き換えます。
となるとR>Gは、給与の伸びよりも、資本の伸びが反映する株式投資の結果としての株価および配当の伸びが大きいことを示します。
であれば、取るべき道が見えてきませんか。そうです、積極的に株式投資を利用するのです。Gの成長を給与として受け取るだけでなく、R(=株価の上昇、配当の受け取り)も活用しましょう、と言うことです。
100年やそこら遡ると、資本家層と庶民は隔絶され、庶民は企業の資本保有など不可能でした。しかし、今は違います。 誰でも株式投資が行えます。一般生活者でも資本家になることができるのです。ピケティ氏が言うように、今後もR>Gとなる可能性が高いなら、賢い選択として株式投資をすべきではないでしょうか。
どんな株式投資をすべきなのか?
私は、「3本目の柱を株式投資で!」とかねてから推奨していますが、これはご主人と奥さんの給与収入を基本としながら、投資からの収入を併用することで豊かな生活をすることを意味していました。そして、この度ピケティ氏の理論から、異なる分野からの収入源を得ることで分散ができること、効率の良いところからの収入を持つことは経済合理性に見合うことだと、株式投資の意味を改めて認識しました。
もちろん、ここから導かれる投資手法は、株価を追い求める「短期の株式トレード」でなく、資本の成長を託しながら優良な企業に投資をし、個人の資産の増大を求める「長期株式投資」です。
ピケティ氏の理論を一般生活者の立場で考えると、案外こういうことなのかな…と考えています。(もちろん「21世紀の資本」にはそのような記述はありません。私見です。)ピケティ氏の理論とは違う格差是正方法として、私たち自身も将来の備えを始めませんか。国や一部の高額所得者任せにせず、自分たちが行えることを始めませんか。
繰り返しますが、すべきことは目先の株価のトレードでなく、成長する資本の果実を活用する「長期株式投資」です。(執筆者:山副 耕一)