このところ妻との会話は「実家の空き家をどうするか?」だが、最後は何時も喧嘩になってしまう。

 母は一人暮らしだったが、昨年特別養護老人ホームに入居した。年齢と介護度を考えても実家に戻ることは考えられない。近い将来に私と姉とで相続する事になる。姉は、実家に住むこともないし、遠方に住んでいるので相続は放棄すると言っている。従って、私が実家を相続する事になる。母の財産と言えば、家だけで金融資産もない状況だ。


 我々夫婦でもめているのは、相続した実家をどうするのかという問題。妻の言い分は、「利用しないのに固定資産税を払い続けるのは経済的にも負担」。そして、「万が一『特定空き家』」に認定されたりしたら固定資産税が6倍になってしまったら支払いきれない」。そうならないためにも「早く現状を把握して手を打つ方が良いしほっといてはいけない。」という内容です。

 皆さん。特定空き家ってご存知ですか?

 昨年、12月3日に「空き家等対策に関する特別措置法案」が国会解散直前に成立し、特定空き家は誕生しました。行政から特定空き家と認定されると解体勧告や固定資産税の減額がなくなってしまうというものです。

 私の言い分は、思い出の沢山詰まった実家を残したい。実家を相続してもすぐに住む気はないが、定年後に終の棲家(ついのすみか)としたい。特定空き家と認定されないようにリフォームして、「定年までの5年間は貸家にすれば、家賃から固定資産税を支払う事も出来るし収入を増やすのが良い」という内容です。

 妻は、テレビやラジオから得た情報から危機感を持っているが、私はそんなに焦る必要はないし、所有していることが大変になったら売却すれば良いと気楽に考えていた。今年1月に中学校の同窓会があり、旧友と楽しい時間を過ごして久しぶりに実家の状況も確認してきた。妻との約束だったので、駅前の不動産業者に家賃相場などを聞きに行った。そこで聞いた話は私の想像をはるかに超える内容だった。

私:この辺で一戸建てを貸すと家賃はいくらぐらいですか?

不動産業者:そうですね。ただでも借り手があればラッキーですね。

私:えーっ。ただですか?

不:そうですね。借り手がなくて管理を頼んでいる方が殆どです。

私:管理を頼むと月々費用はいくらですか?

不:月々1万ぐらいが相場ですね。その他に草むしりを頼んだりする費用は別途かかります。

私:そうなんですね。売る場合はどうですか?

不:まぁ買い手を見つけるのは難しいですが、見つかったとすると一戸建てで80万位ですね。

私:売る時にはどんな費用が必要となりますか?

不:一番お金がかかるのが、家財道具の処分です。このところ相談にくる方は、実家を処分する場合が多いので家財道具を全て処分する見積もりをお出ししていますが、大体200万円ぐらいです。

私:売った金額では足りないんですか?

不:中古で買ってくれれば御の字ですよ。解体が条件なんて言われちゃうと、解体費が別に150万円ほど必要となります。古い建物ですと、断熱材に有害物質のアスベストなんて使ってあると、処分費だけでも200万ぐらいは別途必要です。これは、専門家に見て貰わないと含有量は分かりませんが。

私:処分するだけでも多くの費用が必要となるんですね。驚きました。

不:そうですね。税理士さんに言わせると実家の空家は資産じゃなくて負債なんだそうです。

 空き家問題の恐ろしさを実感してから妻と話し合い。私としては、相続時には「相続放棄をする」という結論に達しました。これからは、空き家の話で喧嘩する事はなくなるでしょう。夫婦仲良く暮らしてゆきたいと考えています。本当に空き家の話はもう飽き空き家。(執筆者:岩宗 繁樹)