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インバウンド銘柄の次の焦点はハラル関連 ハラル先取り投資

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インバウンド銘柄の次の焦点はハラル関連 ハラル先取り投資

 インバウンド銘柄(訪日外国人銘柄)に一番貢献しているのは、間違いなく中国。それは、観光庁が2015年1月に公表した、訪日外国人旅行消費データを見れば一目瞭然。


≪2014年訪日外国人旅行消費動向 観光庁調べ http://www.mlit.go.jp/common/001066481.pdf≫

 日本へ訪れる中国人が旅行のために費やす旅行支出額は、1人当たり約23万円。旅行者数に限っては台湾からの旅行者が一番多い(約280万人)ですが、それでも訪日中国人は240万人超。円安が続く限り、中国人旅行者を呼び込むことに成功しているデパートや観光地は、その恩恵にあずかれるでしょう。

これからの注目ポイントは、ムスリム観光客

 その一方で、上のデータが指し示すその他情報にも目をとめてみましょう。あまり目立たないかもしれませんが、マレーシアからの旅行者数は2013年度と比較して40%以上の増加となっており、インドネシアからの訪日外国人も見られます。この二つの国の一つの共通点は何だかわかりますか?

 それは、世界屈指のイスラム教国であるという点。インドネシア人口の4分の3はムスリム(イスラム教徒)で、マレーシアは国教がイスラム教。人口の60%以上がムスリムと言われています。多くのムスリムが日本への渡航をしているという事実は、注目に値すると思います。

 ムスリムは世界で13億人、16億人とも言われていますが、ムスリム人口は今でも増加中。なんでもイスラム教の規定の一つに、「避妊禁止」事項があるらしいですね。いずれにしろ、多くのムスリムが訪日に興味を抱いているのは確か。そこに今後のインバウンド投資法のヒントが隠されていると思います。

 最近では、訪日ムスリムに目をとめている施設が段々と増えてきています。例えば、関西国際空港。ムスリムのために祈祷室やハラル料理を提供しています。


≪ムスリムフレンドリーエアポートをアピール 関西国際空港 http://www.kansai-airport.or.jp/pdf/muslim.pdf≫

祈祷室とは?

 ムスリムは1日5回お祈りするのが習慣。空港などで突然お祈りを始める姿を見かけたことがありませんか? ムスリムにとって祈祷は大切なもので、生きていくうえで欠かせないものです。

ハラル(ハラール)とは?

 イスラム教徒は、基本的に豚肉、血、アルコール、イスラム法に基づいて処理されていない肉は、口にしません。ムスリムでも食べられる料理をハラル料理と言います。

 因みに、ムスリムが食べても大丈夫、と公的に認証されたものをハラル認証と言います。ハラル認定を行なう団体はいくつもありますが、国際的に信用度が高いとされるのが「マレーシア政府ハラル認証機関」、略してJAKIM。JAKIM認証がある食品や料理なら、ムスリムも安心というわけです。

日本企業はハラル認証取得が課題か

 上で挙げた関空を含め、ムスリムフレンドリー施設が増加しているのは確かですが、すべての施設でハラル認証を取得しているわけではありません。今後、インバウンド効果を拡大していきたいなら、ハラル認証獲得はムスリムフレンドリー企業・施設の課題と言えそうです。

 というのは、マレーシアの事例が一つの指針となると思うのですが、マレーシアは世界第11位の観光立国。(世界観光機関調べ) ちなみに日本は第27位で、1036万人の訪日旅行者数となっています。

 人口2800万人のマレーシアに2500万人以上の旅行客が訪れた大きな要因の一つに、ハラル体制が整っていたことが上げられます。もちろん、国自体がイスラム教の国なので、ムスリムも渡航しやすいという要因もあると思いますが、ムスリムは日本にも興味津々。もし、日本がハラル体制を整えていくならば、それ相応の恩恵にあずかれるはずです。


ハラル関連注目銘柄は?

 現時点で、国内でハラル体制に力を入れている上場企業というのは見当たりません。しかし、アウトバウンド(インバウンドの反対で、ここでは、日本企業の外国での生産・営業を意味する)ですでに活躍している日本企業が数多くありますので、それら企業を将来のハラル関連銘柄として注視しておくと良いかもしれません。

 例えば、ハラル認証で評価の高いマレーシアを中心に、ハラル関連売上好調の企業は注目度が高いと見ています。

【資生堂 4911】

 イスラム教の下では、口にするものだけでなく化粧品など肌につけるものもハラル認証が必須。資生堂は、マレーシアやインドネシアで商品販売を行なっており、ハラル認証も取得済み。化粧品大手の資生堂は期待できそうです。

【イオン 8267】

 ハラル認証取得し、マレーシアやインドネシアでPB商品を積極販売するイオン。日本でも同様に、ハラル認証を受けたPB商品を売れば、ムスリム観光客を囲い込むことができるのかと。

【ダイソー(大創産業) 非上場】

 サウジアラビアに店舗を積極展開。日本での価格よりも高く設定されていますが、人気沸騰中です。イスラム教徒は付加価値を重視するらしいですから、価格よりも如何に付加価値があるか。この観点から見て、ダイソーは一定の成果を上げているのでしょう。ムスリムが訪日した時の重要お買物スポットになるかもしれません。

 その他、ハラル認証を取得し現地営業を行なう、【WDI 3068】や【コロワイド 7616】も注目しておきたいところ。

 中国人観光客が訪日外国人のメインとなっていますが、近い将来、スカーフで頭を覆った女性などのムスリム観光客が街をにぎわすかもしれませんね。(執筆者:堀 聖人)

《堀 聖人》
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「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」ことをライフテーマとするアラフォー。銀行にお金を預けるだけでは時間とお金を活かしきれていないと悟り、お金がお金を生む仕組みを独学で学ぶ。投資歴は株式投資8年、FX3年。開設済み証券口座は5口座、FX口座は10口座以上。株式投資、FX投資、クレジットカードをメインに鋭い視点からなるコラム執筆中。日経ヴェリタスなどでもコメント。 <保有資格>:第二種証券外務員資格 <メディア掲載>:日経ヴェリタス 2015年11月15日号、 株完全ガイド(晋遊舎) 寄稿者にメッセージを送る

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